こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。
本日も”SARTO - andante -”について。
昨日に引き続き、着用している写真をベースにご紹介させていただければと思います。
SARTO - andante - No.6
昨日のブログではマシンニットをご紹介しましたが、SARTOではハンドニットのアイテムも継続的に展開しています。
こちらは確か24AWで展開されたハンドニットだったはず。
うねるような凹凸。
編み地の方向は変幻自在に変化。
それだけでなく、随所に散りばめられたガラスビーズ。
ハンドニットのほっこりとしたイメージとは対局の、キレッキレなムード。
やばすぎる。
フロントホックはいつもSARTOのコンチョボタンを制作しているsomeyaさんによるもの。
先日のブログではシルバーと表記しておりましたが、正しくはピューター(錫)です。
シルバーよりもコストを抑えられるということですが、既製のパーツでは絶対に出せない強烈な強さ。
前から見ても、後ろから見ても死角のないハンドニット。
フィッティングはタイトめですが、まぁハンドニットなので体で馴染ませていってください。
スタイリングは自由に着てもらえればいいのですが、個人的には黒でまとめてしまうのが良いかなぁ。
その分、ハンドニットの凹凸もガラスビーズの煌めきもホックの強さも引き立った上で纏まる気がする。
まぁ、自由に着てみてください。
SARTO - andante - No.7
先ほどのハンドニットを脱ぐと、こんなかんじ。
中に着ていたのは、ブラックデニム生地のウエスタンシャツ。
これ、完成度が半端なく高いと思います。
個人的にウエスタンシャツというアイテムが昔からあまり得意ではなかった。
なんでだろう、なんか、着丈に対しての身幅とかアームホールのバランスにしっくりくるものに出会ったことがなかったからなのかな。
あとはなんとなくイメージ的にこってりしちゃうというか。
なんだか馴染めなかったんですよね、ウエスタンシャツ。
ただ、SARTOのこのウエスタンシャツは、着た瞬間に違った。
どこがどう違うかみたいなことを挙げたらキリがないと思うのだけれど、洋服が纏う空気がアメリカ西部劇のそれとはまるで違う。
なんかウエスタンな生まれで、都会の空気に長いこと揉まれて洗練されて帰ってきた感じ。
でも都会に魂売った感じではない。笑
トップボタンにシルバーのコンチョボタンが付いていたりするけど、ウエスタンのこってり感を助長するのではなく、シャツ全体のムードを引き締めてくれている。
なんだか不思議です。
腕まくりをすると分かりますが、カフスの裏はステッチで硬さが出されている。
こんな感じで。
ウエスタンシャツを通って無さすぎて教養がないのが大変お恥ずかしいのですが、これってウエスタンシャツの定番的なディテールなのでしょうか???
とにかく、バランスが秀逸なウエスタン。
これはぜひ試してみてください。
SARTO - andante - No.8
SARTOのシグネチャーデニムのワイドバージョン。
25SSで店頭でもご紹介していたモデルですね。
ただ、その時からは色味が変わっています。
ただインディゴの濃い薄いという違いだけではなくて、ほんのりとオーバーダイをかけて赤みを出したり、黄味をコントロールしたり、シーズンによって”トッピング”を変えています。
今シーズンはなんだったかな、、、
忘れました。笑
かなりズドンと太い、バギーのようなイメージ。
SARTOが定番的に展開するボトムの中では一番太いんじゃないかな。
そして、サイドにはブランドの代名詞的な刺繍。
バギーなデニムなんですがとても形が整っていて、アメカジらしい感じが出過ぎてしまうことはありません。
ただ、いわゆるデニム地のスラックスみたいな、硬さのあるフォルムのものにデニムを乗せたパンツとも違う。
SARTOらしい”気取らない”、でもきちんと品があるデニムだと思いますよ。
SARTO - andante - No.9
こっちはSARTOが提案し続けているチノパン。
未洗いのリジッド状態で展開されていることが多いのですが、こちらはウォッシュをかけた状態です。
先日のSARTO26SS展示会にて、パタンナーの池田さんがずっと履いているこのチノパンがエイジングサンプルとして展示してあって、それがめちゃくちゃかっこよかったのが、僕の記憶にだけ新しいのですが、久しぶりにチノパンを履きたいと思いましたね。
腰回りからゆとりのあるシルエットで、サイドにはSARTOを象徴する刺繍。
デニムの場合は本体の配色ステッチに合わせた色味の刺繍なのでかなり存在感を主張しますが、チノパンになると生地と同色のステッチカラーでとても纏まりがある。
バックショットを見るだけでも形の美しさがわかる。
先ほどのデニムに比較すると、こちらのチノはほんのりとだけテーパードがかかっています。
糸を多本取りして立体感が生まれる刺繍、その脇を走るトリプルステッチ、バックポケットにも刺繍、無駄のないヒップのフォルム。
もうこの写真だけでこのパンツが最高なのが伝わっちゃう。
SARTO - andante - No.10
さて、ここからはリバー3連発です。
まずは、春夏シーズンに展開されているコットンのリバー縫製のリバーシブルコート。
コットンのリバー縫製????ってなりますよね。
一般的にリバー縫製は、ウールのダブルフェイスのような獣毛系の二重織り素材に対して行うテクニック。
接結糸と呼ばれる2枚の生地をつなぎ合わせる糸をカットし、二重織りの生地の端を割くようにして2枚に剥がす。
その2枚の生地端を内側に折り込んで、手まつりで縫い合わせていく。
これがリバー縫製というものなのですが、これをコットンの二重織りで行うなんていうことは基本的にはあり得ない。というか出来ない。
ウールメルトンのような二重織りを割くことですらとても時間と技術が必要な仕様なのですが、それがコットンツイルの二重織りともなれば段違いに薄くしなやかなので、生地を割くのも手でまつるのもほぼ不可能。
日本国内でリバー縫製を行えるのは数えるほどの工場さんしかないという話を聞いたことがありますが、コットンという素材に対してはもはや基本的にお断り領域だと思います。
それでもSARTOのリバーを担当している職人さんのチームは、継続的にこのコットンのリバー縫製に取り組み続けている。
職人さんの高齢化が進み、技術の伝承が難しい世界だからこそ、年々このような技術を必要とする洋服をつくることができる人は少なくなってしまっているそう。
特にリバー縫製に関しては、そのような話をよく耳にします。
僕たちのような洋服屋の力ではそのような時間の流れや技術の衰退に抗うことはできないのかもしれないけれど、このようなことを少しだけ知っておいていただきたいというのが僕の思いです。
だから、SARTOのリバー縫製が良いからとかすごいからとか、そんな平べったい話ではなくって、もっとイマジネーションを膨らませて、僕たちが洋服から感じさせてもらえることとか見えるようになることってどこまで広がるんだろうって。
僕たちはそういうところにも目を向けなきゃいけないって思ってます。
SARTOのリバーを担当するチームでも先述のような問題に直面していて、でもそれを打開しようと技術の伝承や新たな挑戦を続けているとSARTOチームから聞きました。
そういう粋な心に洋服を通じて出会っていくことができれば、未来に繋がっていくと思うのです。
昨今いろんなブランドでリバー縫製のものを目にしますが、他のブランドのリバー縫製の背景と比較してどうこうって話でもなく、SARTOはこのようであるということを受け止めた上でご紹介させてください。
一応、この着用している面が裏面になります。
なので、ポケット部分には袋が付くような仕様になっておりますが、ちゃんとこちらの面からもアクセスできます。
また、リバーシブルのアウターによくあるどちらの面からポケットにアクセスしても同じ部屋に繋がるパターンではありません。
ちゃんと仕切られていてそれぞれに独立したポケットの部屋が用意されています。
これ、個人的には嬉しいポイント。
コットンのリバー縫製だからこそシームが軽くしなやかに仕上がるので、シーム箇所が骨のようになってアウトラインを支えているというよりは、シーム箇所までを含めて生地全体が”面”となって膨らみ、フォルムを生み出している感じ。
それによってSARTO特有のアウトラインがとても際立ちます。
表にも裏にも縫い代の重なりが無いのがよく分かります。
袖口のアジャスターもリバーシブル対応。
SARTOは他にもリバーシブルのアイテムを展開しているのですが、とにかくリバーシブルに対応させる構造がとても上手で、めちゃくちゃ工夫されている。
裏っ返すとこんな感じ。
一応こっちが表かな。
洗いがかけられたコットンのコートとは思えないような上品なフォルム。
ウエストをベルトで絞ってあげることで、かなりクラシカルなムードが出てくる。
素晴らしいコートです。
SARTO - andante - No.11
お次はこちらのジャケット。
こちらはカシミヤジャージーのリバー縫製リバーシブルジャケット。
ジャージーのリバー縫製って、これが初見でした。
比較的コンパクトなバランスだけど、ジャージーのダブルフェイスなので程よく伸縮性があり、体を動かしても付いて来てくれる。
素材はカシミヤなのでめちゃくちゃ滑らかでとろみのあるタッチですが、ダブルフェイスになることで形の維持に一役買っている。
だからこそのシルエット。
襟はレザーですね。
裏っ返すと少し優しいカラーリング。
ボタンは、ヨーヨーみたいに2つのボタンが背中合わせで一つになっているので、こちらもリバーシブル対応です。
信じられないほど軽いので、そのまま車を運転したりしても疲れないと思います。
とても岡山向きなアウターかもしれません。
SARTO - andante - No.12
本日のラストはこちら。
リバー縫製ですが、リバーシブルではありません。
このアーム。
いつの時代のどこの国のコートなんだろうと思ってしまう。
ただ、それでいてタイムレスで、仮に50年後にこのコートを見ても美しいと思えると思う。
オーセンティックな枠組みから逸脱しない程度にウィットに富んだシルエット。
とてもエレガントだけど、その佇まいを着る人に背負わせすぎない柔和さもある。
ポケットに手を突っ込んだ時の腕のたわみすら美しい。
着る人を矯正するのではなく、自然な所作すらも美しいものに変えてしまうからこそ”気取らない”エレガントがあるのかもしれません。
イベント時はこれらの他にもかなりの数のリバー縫製のアイテムが並びます。
ここまでの数が一気に見ていただけることは、まずありえない。
期待していてもらっていいと思います。
ぜひ楽しみにしていてください。
今日、待ち侘びていた今シーズンのパワーピースが到着したので、明日はそれをご紹介しますね。
スエードのパンツと、手機ツイードのジップジャケットと、リバー縫製のテーラードジャケット。
三者三様で全く違うカテゴリーですが、それぞれ抜きん出たクオリティ。
1つのブランドでこれ全部やってんの?って言いたくなると思います。
それくらいそれぞれに素晴らしい洋服たちです。
果たして1回のブログで書き切れるのか...笑
楽しみにしていてください。