こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。
本日も、今週末からの”SARTO - andante -”について。
前回のブログを書いた日曜日から2日。
引き続きSARTOからはアイテムが届き続けている状況。笑
150着に迫るアイテム数とお伝えしましたが、これは150じゃ収まらないか...
さすがにちょっと焦ってきた。笑
店頭には全て並べられないと思うので、「こんなものないですか?」みたいな感じで皆さんからご要望いただいたら引っ張り出してくるみたいなスタイルになるものもあるかも。
まぁその辺はコミュニケーションでいきましょう。
ただ、なるべく多くのSARTOの洋服を皆様に見ていただきたいし、それによってSARTOの洋服づくりの真髄の輪郭が見えてくると思うので、今日からのブログでは着用写真をベースにその写真で着ているものをご紹介するスタイルとさせてください。
1着1着撮ってたら追いつかねぇんです。。。
日曜日に掲載したものも含めてそれぞれのスタイリングにナンバリングしてくので、お問合せいただく際や店頭で「これが見たい!」って時にそのナンバーでお伝えいただけるようにしようと思います。
それでは、いきましょう。
SARTO - andante - No.1
こちらでは、アウターで着用しているカバーオールをご紹介させてください。
コットンのキャンバス生地にサルファーダイ。
いわゆる硫化染料ですね。
エイジングの加減と、SARTO特有のフォルムによって、ただのワークウェア由来のカバーオールとは明らかに違う品を持ってる。
後ろ姿を見るとその違いは歴然。
身頃がスッと流れていて、肩線からアームにかけて肘の曲がる方向に合わせて3次元的に湾曲する腕。
めちゃくちゃ美しいです。
襟はレザーに切り替え。
正直最近色々なブランドが”襟レザー”の羽織ものをつくっていると思いますが、SARTOは一味違う。
襟を立てた時の外側に来るのは、ボディーと同じキャンバス生地。
つまり、襟を折り返した時には”襟レザー”になる。
もう一度この写真。
そして、裏側。
これは、何が言いたいかというと、一度キャンバスの生地で表裏2枚貼り合わせの襟を成型して、製品加工をかけてから内側のキャンバス生地だけを剥がし取り、レザーを合わせて縫っている。
すごく手間のかかることだけど、この方がペライチのレザーを叩きつけて襟にした時よりも、どんな着方をしても美しい。
本当に手が込んでいるし、考えられている。
そして、その工程によって生じるポケット部分のアタリの濃淡を生かして、あえてポケットをずらして付け直している。
写真のように左裾はレザーポケット。
右裾はキャンバスで、右胸はポケットすらなくなっている。
一度4つポケットのカバーオールとして洋服の形となり、加工後に外されているということですね。
さらに襟とポケットのレザーは、当たり前だけど普通のミシンで縫うわけではないので、レザーを縫える工場に出し直している。
そしてもっと言うと、レザーポケットの内側はコーデュロイが当てられていて、手を突っ込んだり物を入れたりしてもダレにくいしスエード面のボソボソした繊維が付いてしまうこともない。
ワークウェアの空気感やニュアンスを、とても丁寧な仕事でSARTO流に落とし込んでいる。
ただし、ワークなものが持つ”抜け”はそのままに。
SARTOの洋服づくりにおける考え方を感じていただくにはうってつけの1着だと思います。
SARTO - andante - No.2
SARTOのシグネチャーとも言えるシャツとパンツを合わせていますが、こちらではパンツについて少し。
先日も簡単にご紹介しましたが、この変形のカーゴポケットはSARTOがずっと継続しているディテール。
言葉で説明するのがとても難しいのですが、一般的なフラップ付きのカーゴポケットに対して、その外側に縦に開くポケットを、そして内側に少し小さなポケットを追加して、ポケットが3部屋ある状態になっています。
僕自身もここ1ヶ月くらいはこのパンツを履くことが多かったのですが、かなり使い勝手がいい。
カーゴポケットが付くパンツが好きな僕はカーゴポケットになんでも詰め込んでしまう疾患でして、学生の頃海外に行く時の空港の保安検査でM-65のカーゴポケットにいろんなもの詰め込んでパンパンにしてたら別室に連れてかれそうになったことがあるくらいな僕ですが、3部屋もあったらいろんなものを分けて収納できるので超便利。
同じ構造のポケットが左右に付くので、合計6部屋。
スマホ、タバコとライター、AirPods、財布、カードケース。
これくらいだったら割と余裕。
決して僕みたいにポケットをパンパンにするのはお勧めしませんが、それくらい面白くて実用的なポケットディテール。
あと、継続的に展開している形だと言いましたが、実は今回パターンが変更されています。
簡単に言うと、501のような開脚状態のパターンから、スラックスのような曲線的なパターンになった。
それによって小股部分のもたつきが無くなり、よりシャープな輪郭を描くようになったと思います。
ただ、開脚のパターンが悪いものであるというわけではないのでそこは誤解のなき様ご理解いただけたらと思うのですが、前述のようなカーゴディテールとの良いアンバランスさがこの1着の魅力になっていると思うので、僕はとても好きです。
SARTO - andante - No.3
パンツが続きますが、今度はデニム。
これも、SARTOの定番で展開されているアイテムです。
シュッと細身なセミフレア。
ここ数年はワイドなものばかりに傾倒していたので忘れかけていたのですが、細身なブラックデニムは男性のファッションにおいて必須なアイテムだと個人的には思っていて。
ただそこで、ピタッと気味の細身のテーパード、にするんじゃなくてセミフレアのこのバランスに着地させるところがSARTOらしい”気取らなさ”だなと感じます。
おケツから太ももにかけてがちゃんと細いのが個人的には嬉しい。
膝から下は、自然と靴に繋がるようなほんのりフレア。
個人的にはSARTOのスタイルには細身なパンツはマストだと思っているので、ぜひ店頭でさまざまな洋服をご試着いただく中で試してみてください。
SARTO - andante - No.4
全身で見るとこんな感じ。なんだけど、お次はニットです。
前回のブログでは簡単にではありますがハンドニットをご紹介しましたが、こちらはマシンニットですね。
ただ、このニット、めちゃくちゃ面白いです。
写真から伝わることとしては、ジップアップだとかそういうことはもちろんなのですが、かなりハリとコシが強いのがわかるシルエットを描いていると思います。
その秘密は、糸番手とゲージの掛け合わせ。
こちらのニットジャケットでは、24番双糸を4本取で使っています。
つまり、24/2(双糸)=12 → 12/4(本取)=3といったイメージで、24番双糸の4本取は実質的には3番手と同等の太さの糸になる。
となると、糸番手に対応して適正ゲージは3ゲージとなるので、3ゲージのマシンに糸をかけるのが一般的。
ただ、SARTOは、そこで遊んでいる。
24番双糸の4本取を、7ゲージのマシンに無理矢理突っ込んで編み上げているのです。
ハイゲージ、ローゲージという言葉があるように、ゲージは数値が高くなればなるほど編みが細かくなり、適正な糸が細くなります。
(もっと厳密に言うと、1インチ間か1センチ間に落ちる針の本数がゲージという単位だったはず)(間違ってたらマジごめん)
つまり、3ゲージが適正なのに7ゲージに24番双糸の4本取を突っ込んでいるということは、その分糸同士の密度が増し、むちむちなハリが生まれるということにつながります。
これが、先ほどのシルエットの秘密。
ただ、このような”糸番手とゲージの遊び”は誰でもできるテクニックというわけではないそう。
もっと言うと、同じ糸番手同じゲージでも糸が違えば出来る出来ないが分かれるそうで、デザイナーの豊島さんが信頼を置くニッターさんとお互いの技術と経験と感覚をぶつけ合って辿り着いたバランス。
豊島さんは、”職人さんとのセッション”という言葉で表現していたけど、本当にそうだと思います。
なんですが、僕が一番感動したのはそのプロセスというよりも、シルエットに対しての”軽さ”。
これは実物を着てみてもらわないとお伝えできないのですが、触れただけでわかる密度に対して、来た瞬間に軽やかさを感じて脳がバグる。笑
僕が今まで出会ってきたハリコシの強いニットの共通点は、度詰にしているということ。
もちろんSARTOのこのニットも普通よりは度目を詰めているのだとは思いますが、先述の通りの糸番手とゲージの掛け合わせで密度を上げることによって、1着あたりの糸量を一般的な度詰めよりも抑えているのだと思う。多分。
じゃなきゃウール100であの軽さはおかしい。
黒を合わせちゃって超わかりにくいですが、袖先と裾だけ配色になってます。
このタイプであと2色ご用意ができる予定なので、ぜひ店頭で着てみてください。
驚いていただけると思います。
SARTO - andante - No.5
ニットでもうひと型。
先ほどがウール100だったのに対して、こちらはモヘアをメインとしたカーディガン。
組成としては、キッドモヘア55%、ウール15%、ナイロン30%といった感じ。
こちらも”糸番手とゲージの遊び”が込められてます。
13番手単糸を5本取して、7ゲージに突っ込んでいるのですが、
13/5=2.6≒3ゲージ、となるので、7ゲージは適正ゲージからは大きく外れている。
そして今回は主となる素材がモヘアということもあり、ただでさえマシンにかけるのは難しくなる。
そこで、天竺という一番シンプルな編みを用いているのだそう。
というか、それしか難しいらしい。
ニットは本当に奥が深いっす。
No.3でのセミフレアのデニムに合わせて。
カーディガン自体は少し着丈が長めなので、アウター感覚でバサっと羽織ってもらうのにも最適だと思います。
これはロングってほどでもないけど、着丈長いカーディガンでモヘアなんだけど、グランジっぽくなりすぎてない感じはやはりニッティングの妙。
ウール100%のジップアップのようにハリやコシを狙ったというよりも、ギュッと詰まったモヘアの塊みたいな感じで、モヘアニットにありがちな甘めのふんわり感がないので、とても高級感に溢れてる。
スタイル的に好き嫌いははっきり分かれるかもしれないけど、この感じもめちゃSARTOらしいと思っています。
今日はNo.1からNo.5まで。
多分明日と明後日もやるかな。笑
着ているもの全てに対して言葉をきちんと添えてご紹介できないのが悔しいけど、気になるものなどございましたらお気軽にご連絡いただけましたらご紹介させていただきます。
それでは、また明日。