こんにちは。
CASANOVA&COの中山です。
今回はタイトルにもある通りですがSARTOです。
2025SSの当店でのSARTOのラインナップは今回で最後。
なぜ、前回から少し時差があるかと言いますとですね。
ご紹介する洋服に適した時期を待っていたこと。
自分の中でSARTOを理解する時間が欲しかったからです。
SARTOの全てをなんてことはとてもじゃないけど言いませんし、そもそも全てとかないと思いますし。
洋服は人それぞれの視点で人それぞれの解釈ができることも面白いのですから。
ただ、僕の中で整理がついたこともありこのタイミングとなりました。
もし、お待ち頂いていたとしたらすいませんでした。遅くなりました。
結論はSARTOのブログを書き始めたときに思っていたことと大きくは変わらないですが、着飾るということを改められました。
洋服が持つ楽しさの一つとして着飾るということ。
もしかすると着飾るということに抵抗感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。
そのくらい、着飾るということは勇気のいることだと僕は思います。
自分のセンスを曝け出すということですから。
自分で勝負するわけですから、周りからの賛否両論は間違いなく生まれる。
賛否両論を受けることをするのには勇気がいります。
なんたって”否”を受け取るのは辛いんですもん。
そこで起きる、自らのパッションと恥ずかしさの対立。
心の中でどう着飾るかの会議が勃発。
自らの思いのままにパッションを爆発させようぜ。
パッション派の僕がいう。
いやいや、少しは抑えていこうぜ。
穏健派の僕が言う。
このブログを読んでくれる皆様や僕らのようなお店で洋服を見られる方は少なからず着飾ることは意識されていると思いますのできっとわかってくれるのではないでしょうか。
どうか、伝わって。
青二才、若造な僕ですが、学生のうちとかはパッションを爆発させとくことが大事なんだと思ってました。
が、
今はそうするのも少し居心地が悪いなと感じます。
決してパッションを無視して落ち着こうとしているわけではありません。
僕も洋服には自身の内なるパッションを大切に尊重したいと思っています。
ただ、着飾ることに対して考えておきたいことが増えた。
年齢を重ねていくにつれて爆発させるだけではいけないということを知った。
世の中は相補性があるということを。
自己主張と他者理解で成り立つ社会。
”着飾る”ということは自分を曝け出すことから始まり誰かに見てもらうまでがセット。
自分と他人の関係性が必ず必要となる。
そんなことを思えるようになってきた時に出会ったSARTO。
SARTOからは洋服が担う人と人とを繋ぐ役割をとても暖かく形にされていると感じました。
”着飾る”ことに起こるパッションと恥ずかしさの対立を優しくすくい取ってくれることをSARTOの洋服からは着続けてきた中で感じました。
SARTOの洋服は着用者自身に高揚感を感じさせる手の込んだつくり込みと着心地があり、側から見た時の馴染み方や印象は、精度の高い造形と様々なディテールの調整で見事に着用者を美しく見せるバランスになっています。
だから、SARTOの洋服を知って頂く上では洋服だけではなく必ず着用する人がいないと知って頂けない。
秘めたパッションを持つのも人間ですから。
店頭で気にして頂ける方はどんどん着て・見てほしいと思っています。
まずは羽織ってみてほしいと強く思います。
そんなSARTOの2025SSの当店で残すは2型。
シャツとショーツ。
着飾ることをまっすぐ捉えつつも相補性を持った洋服へと仕立てられています。
これはSARTOじゃなきゃ難しいだろう。
と、僕は感じました。
SARTO
OPEN COLLAR BLOUSE
color _ BLACK/O.WHITE
size _ S,M,L
SARTO
EMBROIDERY SHORTS
color _ RED BRICK
size _ M,L
ドット&赤ショーツ。
柄や色合いに反して奇抜や派手では言い表したことにならない洋服です。
好みで分かれることはあるかと思いますが、お好きな方はこのバランスの妙はなんだと感じると思います。
順番に1着ずつ。
誰しもが知っているはずなのに、着ることがほとんどないドット柄。
僕もまさにそうでした。
なんなら避けていた。
ドレスの世界でのドット柄であればですが、カジュアルな洋服の世界となるとドット柄をかっこいいと思えることはほぼほぼありませんでしたし、着る事もなかった。
中学生の時にネイビーで白いドットが入った、カーディガンとシャツが合体したみたいな服を着ていたことがあるくらい。
その時はトリコロールカラーにどハマりしていたから嫌いではなかったんですけどね。
それ以来となりました。
SARTOの展示会の写真を見た後で今回のドットシャツか以前にご紹介したツイードのジャケットのどちらかは必ずやらせてくださいと言っていました。
そしたら、どっちもになったので自分はこれを。
冒頭にも話しましたが、着ていると高揚感がマシマシ。
つくり込み具合が半端じゃない。
まず着てみて頂くと、首回りの馴染み方に違いを感じると思います。
首にシャツが乗る。
平置きの状態でこの立体感。
注目して頂きたいのは膨らみのあるところから緩やかにフロントに馴染む美しいライン。
着用時に驚くほど首回りに馴染むオープンカラー。
この立体感の秘密のひとつがこれ。
キュプラの裏地が貼られた月腰。
台衿じゃ無いんですよ。
うなじに当たる部分になるため裏地が貼られており、ぷくっと膨らみを持った芯材が入っており見事に首の丸みに沿ってくれる。
これが、シャツが首に乗る。
襟の自立感も美しいのでご安心を。
アームの造形もSARTOしてます。
毎度ながらほんとに素晴らしいつくり込み。
サイドビューからして普通じゃない。
たっぷりと分量が現れるところから、生地の収まるカフスまでが無理なく繋がる。
美しい。
SARTOのテクニックと丁寧な手の混み具合。
カフスはタックで生地を収める。
アームホールはギャザーで。
しかもこのアーム、全体的にぽわんと膨らむんじゃ無いからすごい。
着用時にどこに分量が現れたら美しいのかをきちんと考え抜かれてます。
ドット柄に埋もれて非常に見にくいのですがこのアームの構造が見たことない二枚袖。
非常に見にくいので赤い線を引いています。
赤い線のところにシームがあるんですよ。
アームの前側に。
だから、このシームの上側から背面ぐるりは一枚の布。
だから生地がドレープに応じて自由に動き、先ほどの自然な膨らみが生まれちゃう。
ドレッシーさの中に馴染みが生まれている感じ。
着心地もバッチリ。
膨らみ通りの優しい空間が広がってます。
後ほど着用写真を載せてますので、袖の膨らみに注目してみて下さい。
そして最も驚いたのが、このシャツの顔とも言えるドットの生地。
ほとんどの方が見たことがあるであろうドット柄。
首元にのぞく生地の裏側を見ると様子がおかしいですよね。
少し寄りましょうか。
表に現れるドットと裏には白いストライプ。
なんじゃこれは。
多くの方が見たことがあるであろうドット柄のそのほとんどは生地の表面にドット柄のプリントを施してつくられる。
よっぽどのことがない限りは柄シャツも基本的には同じ。
物理的にいうと生地の上に絵柄が”乗っかる”状態。
ほんの少しだけ絵柄が生地よりも盛り上がることになる。
ただ、SARTOのドット柄のつくり方は生地にBLACKの糸とO.WHITEの糸を使い白い糸の現れ方をドット柄になるように制御している。
織りによってつくられたドット。
だから生地の上に絵柄が”乗っかる”ということが起きない。
このほんの少しの違いにも思えることが、生地に溶け込むようにドット柄がみえ印象を和らげてくれていると感じます。
さらにカラーリング。
BLACK/O.WHITE。
O.WHITEというのがまた効いてると思います。
WHITEの真っ白だとBLACKとコントラストが効きすぎて目がチカチカ。
なので肉眼で見ると目がチカチカする感じのあるドット柄が、やけにぬるっとして見えるんですよ。
パッションを尊重してくれる柄でありながら、周りからの印象も品を感じる工夫されたつくり込み。
ドット柄にここまでしちゃうSARTO。
着飾ることへの楽しさをものすごく尊重してくれつつ、しれっとネガティブな側面をサポートしてくれる。
わぁお、ジェントル。
ときめいちゃう。
着飾ることが好きな僕はカフスの作りはたまりませんでしたね。
キュッと絞られてふわっと広がる袖口。
おしゃれすぎませんか。
こういった要所要所で今時では見なくなった仕様を盛り込んで、1着としてきちんと男服になり男に馴染むのだからすごいんですよ。
とてもエレガントでドレッシー。
着用するとこんな感じ。
写真は僕の私物で、一度お洗濯をしたものです。
表記上は洗濯NGになっていますが、生地的にいけそうだなと思い洗ってみました。
畳んでネットに入れて手洗いモードの洗濯機へ。
けれど、僕的には洗ってよかったと思っています。
生地が解れ、芯材の硬さが取れて、美しい造形が自然な状態でより美しく現れてくれました。
なので、僕的には柔らかく変化をさせたい方は洗濯機での洗濯もありかなと思います。
最初の風合いをそのまま楽しみたい方はクリーニングをお勧めします。
話が逸れてしまいましたが、着用写真です。
リタッチしたてのゴールデンヘアーなのでスタイリングとかは全く参考にならないかもしれませんが、シャツに注目して。
ポケットに手を突っ込んでる左手。
このアームの膨らみ。
ハンギングの状態で見るよりも全然男らしいでしょ。
全然触れてませんでしたが、胸ポケットが左右につきます。
ただのフラップ付きのポケットじゃない、手が込んだ作りになってますよ。
後ろから見た時。
アームホールのギャザーが肘にかけて分量が広がってますね。
この造形こそSARTOの男らしさとエレガンス。
サイドビュー。
アームの造形に目が行きますが、襟の立ち方も見て。
うなじの起立具合から、緩やかに身頃に添うようにしてデコルテゾーンにスッと落ちる。
細かな造形のテクニックが、着飾る事に加えてシルエットを美しく見せ着用者と側から見る人とを柔らかに繋ぐ。
着用者は美しくなれて、見る側の人は美しいものを見れる。
素敵すぎる。
後ろ姿もとても良い男らしさを感じます。
意外にも身頃がすっきりと見え、袖口にかけて膨らみを持たせたアームといいコントラスト。
ネック周りのタックにより肩周りや肩甲骨の可動域は驚くほどノンストレス。
生地の分量を綺麗に収めているからこそ、骨格のアウトラインを拾うところもあって男らしさを感じさせる。
2着目となるのがショーツ。
もう一度見ましょう。
赤い。赤いぞ。
最近やっとガンダムを見はじめたのですが、この赤はシャア大佐よりも赤いですね。
真紅。
ネタっぽくいってしまいましたが、こーゆー色味って色彩の彩度が非常に重要なんですよ。
ミスると途端に少年スタイルですから。
つまりは大人の赤と言いたいのです。
色合いと生地の相性が良いのですが、この生地を夏に着るからこそ着飾ってる。
ただ赤いショーツを履くだけじゃなく、この生地を履くから着飾るという事になってる。
そう。
超細畝コーデュロイ。
生地感もしなやかでトロッとしてる。
夏のコーデュロイ。
響きだけで高揚してしまう。
冷静に分析すると、ほんとに色味と相性が良いんですよ。
コーデュロイを思い出して頂きたいのですが、起毛感があるじゃないですか。
このショーツのコーデュロイは超細畝なので起毛感がすごく細かくベルベットに近い感じなんですよ。
ということは、毛足の動きによって光の反射具合が変わってとても奥行きのある表情を生み出す。
ショーツなのにエレガントに思えます。
ただ、やっぱりそこはつくるのがSARTOですからね。
ストレートなエレガントショーツに仕立てるわけじゃない。
SARTOといえばのアレが入っているし、ついている。
アレですよ。
刺繍&ターコイズ。
しかもターコイズはバックポケットも。
丁寧で精度の高い刺繍とガチターコイズだからこそ感じる本気具合。
単純にショーツの造形としてもすごい綺麗なんですよ。
着飾ることへの高揚感はもちろん感じますし、仕立ての良さから溢れ出てくる品の良さ。
只者じゃない赤いショーツですよ。
今回でSARTOの当店の全ラインナップをご紹介し終えました。
1着1着がとても濃厚ながら、素直に着ても高揚感が湧き上がってくる。
僕もでしたが、ご自身の体が入ることでSARTOのものつくりを感じていただけると思っています。
着飾ることでの心の高揚感と、欲しかった安心感。
少しでも気にして頂けましたらぜひ見てみてやってください。
CASANOVA&CO
中山