こんにちは。
CASANOVA&COの中山です。
Instagramでも載せましたが、スタッフ総出で店頭をガラリと変えCASANOVA&COの秋冬がよりググッと深まりました。
今年は残暑も控えめなのか秋らしい穏やかさを感じる様になってきました。
今回はその中でも個人的にとても楽しみにしていたものをご紹介です。
PETROSOLAUM
H chukker
material _ Kudu
color _ brown
size _ 39H,40,40H,41
当店の取り扱いとしては珍しくPETROSOLAUMの茶靴です。
PETROSOLAUMのラインナップとしても25AWの新作。
H chukker。
25AWのラインナップの中で直感的にとても惹かれた。
僕自身、今年はブーツを履くぞって言う心構えだったこともあるでしょう。
PETROSOLAUMの革靴でwhole cutという比較的クラシックな短靴のモデルを履き、2年経過したこともあるでしょう。
新境地を見たくなっていた。
僕の性格上、シャープでエレガントな所謂ブーツの型はかっこいいなとは思いつつも自分が履くとなると気恥ずかしくって少しこそばゆい感覚だったんですよ。
だからこそ、03 last(side goreや僕が持ってるwhole cutと同じ)の木型を採用しつつ、シュータンが一体化したチロリアンシューズの様な履き口を搭載し、マウンテンブーツのような可愛さのあるH chukkerに射抜かれてしまった。
革靴の形状が放つムードを正確に解釈し、抜けの持たせ方がやりすぎてない。
遊びすぎず、けれど、大胆に。
とても難解な落とし所に踏み込んだ緻密なデザインだと感じました。
長くパリに挑戦し続けているし、海外の洋服ブランドとも共に活動し続けていることも要因としてあるのでしょう。
わからないけど。そう感じる。
あたかも、もともと存在していたかのようなデザインということが僕にはとても惹かれた。
先述した想いの通りあんまりブーツに馴染みもなかったからどう落とし込んだものかと実物が届くまで想像できないながらも想像していた。
けど、意味なかった笑笑。
実物を見て自ずと僕の中で答えが出た。
カジュアルに落とし込めるユーモアの豊富な子にしようと。
これは完全にPETROSOLAUMの卓越した靴づくりだからこそできる楽しみ方なんじゃないかと直感した。
それとPETROSOLAUMがつくるブーツは、やはりシャフトの高さがとても良いバランスなのもありますね。
ブランドのラインナップとしてはシャフトが高いものもございます。
外側のくるぶしがちょうど隠れるくらいのこの高さは発明的ですよ。
ピーキー感がまるでない。
だから、安心してスタイルありきで参ることにした。
決して僕の履き方が正解な訳はないですが、とにかく革靴の安心感に任せちゃって色々と模索することが楽しいですよってことです。
だからこそ、この革靴の要素たちをくまなくお伝えしていきたい。
まずは、レザー。
ベースのブラウンカラーの中に鱗のような濃淡がつき、ところどころに傷の跡が見えるワイルドなレザー。
クードゥーレザーと言います。
クーズーとも言うみたいです。
??
となって、すぐさま調べると、とてもユニークな動物のレザーでした。
立派な勇ましい角が特徴で顔つきはシカ。
骨格はゴツく、体つきはウシ。
分類としてはウシ科になるのだそう。
お住まいは南アフリカ。
ところどころに刻まれた傷は逞しく生き抜いた勲章のようなもので、大自然で生ける動物のレザーだからだそうです。
この表情がいい奥行きを持たせてる。
近くで見るとワイルド。
光沢のあるレザーではないですが、角度によってぬるっとした艶のある表情を見せる。
そんな男っぽさ。
ソールのコバもレザーの質感に合わせて若干スエード調に仕上げてくれています。
これ、かなり重要だと思いますよ。
主役のアッパーレザーと馴染みつつ引き立てる名脇役ですから。
次に、H chukkerの特徴的なディティール。
内側に折り畳むようにしてシューレースが結ばれる履き口。
この部分はアッパーのクードゥーレザー1枚の仕様。
大胆なデザインながら、これ、レザーの特性をきちんと捉えた上での合理的なデザインでもあるのではないかと思っています。
クードゥーは鹿の顔を持ち、牛の体を持つ動物。
驚くべきことに、レザーの質感の特徴もまさにそんな感じで、牛革のような弾力とタフさは持ちつつ鹿革にも似たしなやかさを感じます。
この弾力としなやかさが相まって、折り畳まれる様が柔らかく膨らみがあって、足の甲に優しく包んでくれつつホールドしてくれる。
プロダクト的な側面である履き心地とレザーらしさを引き出した驚異的な着地点だ。
PETROSOLAUMの靴つくりの根幹としている、レザーの特性を見抜き最大限に引き出された革靴をつくる精神が表れているところのように感じます。
折り畳まれた先端の部分の膨らみがたまりませんね。
この履き口仕様でサイドビューも綺麗なのはさすがすぎる。
足首にかけてのこのなだらかなラインが、パンツの裾と綺麗なつながり魅せてくれます。
ソールも美しい磨きをかけてくれています。
PETROSOLAUMの新品を見るたびに毎回仕上げの美しさに感動してしまう。
しっかりと打ち込まれた”木釘”とヒドゥンチャネルはPETROSOLAUMならでは。
ムラっぽい色合いもクードゥーレザーとGoodな相性。
今回も製法はマッケイになりますね。
僕自身はH chukkerを履き始めてまだ1ヶ月ほどですが、2日履いて1日休ませてくらいのペースで履き続けアッパーは馴染んできましたね。
ソールは徐々にといった具合で、ゆっくりと沈みこみが表れ始めました。
9月30日時点の中山モデルの成長ぶり。
履く日のスタイルや状況に応じて少し緩めに履いたりもしているので履き口は僕の足首の形になってきています。
折り畳まれ方も僕の歩く癖や足の形に沿って、内側が若干変形しました。
そして、僕はH chukkerをスタイルとして履いていきたいと思ったので、自分がしっくりくる相性を考えて付属する平紐に変えました。
デニムやカーゴパンツのようなカジュアルにもスラックスやモードなブランドのパンツにも馴染むポテンシャルを感じ、革靴のキャラとしては可能な限り癖を取り払いたかった。
クードゥーレザーのワイルドな表情に釣り合いを持たせるために細めの平紐という選択を取りました。
履きじわは鱗のようなレザー本来のシボにそって細かく入る感じ。
元々の表情に馴染む入り方で実際の見た目は写真ほど目立っていません。
新品と比べるとこんな感じ。
手前が中山モデルで奥が新品のH chukker。
雰囲気でお伝えすることしかできませんが、柔らかく馴染んでる感じがするでしょ。
履き始めた時からも強烈な痛みを伴うことは僕はありませんでしたが、PETROSOLAUMの代名詞でもあるコードヴァンバットレザーに比べると馴染みは早かったように思います。
撮影をした時に私物と新品を初めてじっくり比べたのですが、若干色合いにも深みが増したように思います。
手前が中山モデル。
奥が新品H chukker。
写真の中でもしかしたら気が付いたかもしれませんが、僕はハーフラバーとソールラバーを貼りました。
理由は幾つかあるのでさらっと下に書いておきますが、どう履いていきたいかによって選ばれるのが良いことと新品時のソールの仕上げ方にもブランドのスタンスを感じていただけるので新品は貼っていません。
・ハーフラバーの革靴を履いてこなかったから知りたかった。
・スタイルとしてタフに履いていきたかったから、どんな路面でも気にならないように。
・色合いのバランスとしてヒールラバーによって若干ブラックが入ることが良さそうに思った。
理由は大体こんな感じです。
中でも1番の理由は3つ目の色のバランスですね。
シューレースを平紐に変えた理由と同じですが、クードゥーレザーの印象との釣り合いを考え、色合いにブラックが加わりラバーの質感が入ることでプロダクト感を加えたかった。
とはいえ、かなり細かな違いなんですけどね笑
ちなみに、クードゥーレザーのワイルドな質感がお好みの方は、革靴らしいレザーソールの状態で履かれるのもとても良いです。
PETROSOLAUMのクードゥーレザーの特徴として、履くその人の傷も残る。
現に僕はスーパーカブ(故障中)に跨って通勤をするのでつま先に中山の生活の痕跡が刻まれた。
これからも少しずつ、いつの間にか刻まれていくのだろうが、クードゥーの生きている間の勲章の中にここからは中山の生活での自然な表情が残っていくことはクードゥーレザーだからこそポジティブに捉えることができました。
最終仕上げのような感覚で超個人的な履き方の落とし所考えると、革靴の印象と自身なりの意味合いが変わる懐の深さがH chukkerの面白みのひとつだなぁと僕は思います。
そんな色々と考えたH chukkerが届くまでで理想としていたスタイルはかなり狙い通りに落ちてくれました。
パンツはcalmlenceのDOUBLE PLEATED EASY TAPERED。
ウールとシルクに洗いのかかった質感にも負けないクードゥーレザー。
僕の相棒、山内のカーゴパンツももちろん想定していた。
パンツが変わるとH chukkerの印象も変わる。けど、馴染んでいる。
変幻自在な感じというよりは、懐が深く面白いやつって感じ。
ロングシャツが覗くとまた少し印象が変わる。
僕としてはH chukkerをこう履きたかった。
クードゥーレザーの質感や特性が最大限に引き出されたブーツ、H chukker。
PETROSOLAUMが生み出してくれたこの革靴をどう履いていくのか。
履いていく僕もブランドが仕上げたH chukkerに向き合い、履き方としての自身の最大限を叩き出したいと心が勝手に動いていました。
ブランドが靴つくりにかける想いが無意識下で伝わっていたのかもしれないとブログを書きながら思いました。
気にしてくださる方でご質問やご相談がありましたら、お問い合わせフォームからでもInstagramからでもお電話からでもお気軽にお申し付けください。
また、ハーフラバー・ヒールラバーにつきましてもお気軽にご相談下さい。
サイズ感の目安につきましては商品ページに記載しております。
ご覧頂けましたら幸いです。