こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。
現在店頭はIRENISAとのLIMITED STOREの真っ最中。
初日と2日目だけの”特別なもの”をご覧いただけた方はありがとうございました。
すでに店頭からは姿を消していますが、ここではその”特別なもの”がなんだったのかは言いません。
現地に行ってこそ知ることができるようなサプライズも素敵じゃないですか。と思うので。
まぁとはいえ、さまざまなブランド様からデリバリーが立て続けに届いて、今日もこうやってここで紹介してしまう矛盾なのですが。。。
さて、本日の本題。
PETROSOLAUM。
我々の足元を支えてくれていて、絶大に信頼しているレザーシューズブランド。
今まで当店ではオーダーイベントなどを含め、さまざまなスタイルのPETROSOLAUMのレザーシューズをご紹介してきました。
その中でも軸としてご紹介していたのが、通称「03LAST (ゼロサンラスト)」。
ブランドの中でも最も複雑かつ立体的なラスト(木型)で、ビスポークシューズなどで用いられる仕様や技法が詰まったもの。
僕自身もこの数年は03LASTのhidden derbyというモデルをしこたま履いてきていたのですが、とにかく良い。
何がいいってもう履き心地がやばい。
何百回と履いてるのに、今なお「こんなに立体的だったっけ!?」って足を入れるたびに思うくらい靴が足を押し上げてくる。
でも、その5分後には足が靴を思い出し、靴が足を思い出し、ピタッと寄り添ってフィットする。
それが03LAST。
ほんとにすごい靴だと思います。
だから僕は「次もPETROSOLAUMを買うなら03だな」と思ってた。
けれど、それを覆すものがあった。
今日ご紹介する、ブランドでは「O-LAST (オーラスト)」と呼ばれるシリーズ。
PETROSOLAUMはさまざまなスタイルのシューズをつくることができます。
オーセンティックなダービーシューズもあれば、透けるレザーを使ったシューズまで、ジャンルの垣根を超えて本当に多種多様。
アメリカやヨーロッパの由緒正しきレザーシューズメーカーではありえないほど。
そんなPETROSOLAUMの中でも異彩を放つ、O-LAST。
はちゃめちゃに独創的なフォルムや素材遣いでいて、道具としての側面を非常に高いクオリティで兼ね備えている。
これは本当に自分自身で履いてみてめちゃくちゃ実感した。
とんでもないダークホース。
O-LASTから4モデル紹介させてください。
PETROSOLAUM
Drawstring
material _ Horse oil shrink
color _ black
size _ 40,41,42
まずはこちら。
ドローストリングと名付けられたモデル。
PETROSOLAUM以外の靴では見たことのない形状ですが、巾着袋をイメージにしているとか。
トゥの手前から2本のドレープが大きく立ち上がりながら履き口へと向かいます。
シューレースを解くとこんな感じ。
アッパーを2回貫通するようにしてシューレースが通っているので、紐を絞るとドレープの部分が内側に倒れてヒダが閉じたようになる構造。
なので、履き口から見るとこんな感じ。
造形の見た目的にも唯一無二で面白いのですが、構造として足の甲の部分に丸みが出て、シューレースの絞り具合で甲の圧迫感をかなり調整できるので、甲高な足の方にも履いていただきやすいと思います。
レザーは、Horse oil shrink。
文字通り、馬革です。
ただ、これもかなり手の込んだマニアックレザー。
一般的なシュリンクレザーは、鞣しの工程を経た後に薬品による加工や型押しを行なってシボを出すのですが、このHorse oil shrinkはその逆。
鞣しの工程の前、つまり原皮の段階でシュリンクを行う。
それによって一般的なシュリンク加工よりもシボが深く入り、靴の形に吊り込みを行った後でもシボが伸びて平になってしまうことがない。
つまり、靴の状態になっても均一で強いシボの表情を保つことができるということ。
さらにさらに、このHorse oil shrinkは、1頭分の原皮を裁断することなくまるっとシュリンクさせているそう。
馬や牛のレザーは体が大きいため、背中で半分に裁断してからシュリンクや鞣しを行うのが一般的なのですが、本来は裁断を入れない方が均一で綺麗なシボが入る。
だからPETROSOLAUMでは、小さな個体の原皮を選び抜き、まるっとそのままシュリンクさせ、鞣しているのです。
さらにさらにさらに、このHorse oil shrinkはPETROSOLAUMの象徴的レザーであるcordvan buttと同じく新喜皮革さんのレザーなので、ピット鞣しのホースレザーとなります。
短時間で効率的に鞣すのには、ドラムと呼ばれる樽のようなものに皮と鞣し剤を入れて回していく方法が一般的ですが、よりじっくりとタンニンを染み込ませていくことができるピット鞣しによって、レザーの風合いが格段に変わる。
つまり、時間もかかるし工程も面倒だしとにかく大変なんですが、PETROSOLAUMではシュリンクと鞣しの工程をそのようにコントロールしてHorse oil shrinkはつくられている。
そのことを踏まえてもう一度。
まるでエレファントレザーかのような、ど迫力のシボ感。
それでいて荒々しすぎず凛々しさも持った表情。
吊り込みの影響で革が伸びやすいアウトソール付近もバチバチにシボっております。
先ほども言いましたが、ホースレザーなのにエキゾチックレザーにも見えるような迫力。
それでいてプライスはエキゾチックよりもかなり抑えられているので、こういう質感がお好きな方にはとても良いと思います。
PETROSOLAUM
Drawstring
material _ Ostrich
color _ black
size _ 40,41,42
※サイズ41は完売いたしました。
よりエキゾチックなものを求める方は、こちら。
オーストリッチ。
ダチョウですね。
オーストリッチといえば、クイルマークと呼ばれる突起が特徴的。
元々はダチョウの毛穴なのですが、ダチョウの革の全体にあるものではありません。
それをPETROSOLAUMでは、Drawstringのワンピース仕様(一枚革)に合わせて、外くるぶしからヒール部分にかけてクイルマークの無いゾーンに革質が変化していくように使用しています。
こんな感じですね。
オーストリッチはしなやかですが、とってもタフな革でもあるので、靴としてガンガン履いていくにはピッタリ。
なんとなく履いた時の見え方がイメージできるかなと思って撮ってみましたが、あんまよくわかんないっすね。笑
とにかくオリジナリティ溢れるフォルムとレザーのクオリティと着用感が高い次元でマッチしている靴だということです。
着用感やサイズ選びに関しては後述しますので、頑張って全部読んでください。笑
PETROSOLAUM
Tyrolean
material _ Horse×Horse reverse
color _ black
size _ 40,41,42
お次はこちらのモデル。チロリアン。
元々はチロリアンってオーセンティックというか、靴の形としては定番的に存在するものですが、やはりこちらもPETROSOLAUMのムードを纏ってる。
レザーは、ホースレザーの表と裏を使い分けたコンビネーション。
甲の部分と履き口のパイピングのようになっている部分が表で、それ以外が裏。
新品の状態だとツルッとしてますが、履き込んでいくといい意味で豹変します。
アウトソールはDrawstringもTyroleanもVibramです。
(写真はHorse oil shrinkのDrawstringです。これでしかソールの写真撮ってませんでした。スミマセン。)
このビブラム、当たり前ですが全然滑らない。
雨の日の地下鉄の駅構内を急に走っても全然滑らなかった。
レザーソールにはレザーソールの良さがありますが、やっぱりこういう安心感がある靴が一足あると良い。
Drawstringのように膨らんだ形状ではありませんが、ポテっと丸みのあるトゥ。
ですがモカシン縫いのホワイトのステッチが程よく輪郭をシャープに見せてくれるので、野暮ったさは感じませんね。
一番負荷のかかる部分まで、ギュッと。
見るからに堅牢につくってある。
そして、このTyroleanも、もう1素材。
PETROSOLAUM
Tyrolean
material _ Crocodile×Horse reverse
color _ black
size _ 40
クロコダイルとのコンビネーション。
世の中のクロコダイルが使われた靴で、こんな靴は見たことない。
クロコダイルの中でも、腑の形が整った部分をきちんと使ってる。
クロコダイルのお腹部分から離れていくと、腑の大きさが小さくなり、形もまばらになるので、クロコダイルレザーの一番高価な部分を贅沢に使っている証。
その点だけでも素晴らしいのですが、クロコチロリアンに関してのみモカシン縫いはデザイナーの荻野さん、もしくは弟の亮さんの手縫いという仕様。
素材が素材なので、失敗は許されないですからね。
デザイナー張本人が、責任を持ってつくりあげているシューズというわけです。
さらに、この部分。
履き口のクロコテープ(と僕は呼んでる)がヤバい。
ここまでクロコダイルを使う人いないでしょ、って思います。
なぜかと言うと、まず長さ。
写真のように、履き口をぐるっと一周なぞって縫い付けられているので、直線距離にして約30cmものテープが必要になります。
さらに、内くるぶし側から外側にかけての腑の変化が均一になるように、左右の足で裁断してくる位置を揃えている。
個体の大きい牛や馬ならそこまで大きなコストにはならないかもしれませんが、クロコダイルでこのテープを使うことだけでも相当なコストになることは想像に容易いと思います。
そして、長さの他にも、薄さも問題。
テープ状にして履き口に縫い付けるため、厚みを抑えて薄く漉かなければいけないのですが、これもまたクロコダイルという素材は難儀なところがある。
それは、クロコダイルの象徴である腑なのですが、この腑の凹凸があることによって革表面の厚みが均一ではなく、薄く漉こうとすると簡単に穴が空いてしまうそう。
さらに腑の入り方も徐々に変化していくため、それに合わせて漉き方もコントロールしなければいけない。
もちろん、穴が開けばそのクロコダイルは使えない。
革を漉くだけでもめちゃくちゃに繊細な仕事。
そのため、モカシン縫いの部分同様、このクロコテープも荻野さんの手によって仕上げています。
ただ、そこまでしてでも、このクロコテープでなければこの1足は成り立たないと、荻野さんは話します。
足の甲を包むクロコダイル、荻野さん手縫いの白いモカ縫い、クロコテープ。
狙い澄まされた、ここしかないというバランスだと思います。
あとこのチロリアン、写真で伝えるのが難しかったので断念しちゃったのですが、着脱がワンアクションでめちゃくちゃ楽。
靴としてずば抜けた完成度を誇っていながら、プロダクト的にも優れたデザインだと思ってる。
写真の通り、アイレットは2つ。
蝶々結びを解いて、結び目の下に見えるシューレースが横一文字になっている部分を引き上げると、一気にシューレースが緩んで履き口が開き簡単に足が抜ける。
だからシューホーンも必要なくて、居酒屋で座敷の席に案内されたときもスムーズにビールが飲めるし、スムーズにトイレに行ける。
僕の場合は、展示会に行くと1日で100回くらいパンツを履き替えることがあるから、履くのに時間がかかる靴は死活問題。
なのでこのチロリアンは最近の僕の相棒です。
せっかくなので、僕の相棒も見てください。
しっかりとオイルの入ったHorse reverseが荒々しく毛羽立ち、ムラの強い光沢が出始めている。
クロコダイルは特段大きな変化はまだないです。
自転車に乗るので、トゥの部分が少し潰れ始めたくらいですかね。
こんな感じで。
でもクロコダイルは素材自体が超ハイパワーだから、これくらいラフに履いてる方がカッコいいと思う。
だから僕はHorse reverse部分もブラッシングとかしてませんが、しっかりやったら綺麗に整うと思いますよ。
僕はやらないけどね。
前述したビブラムソールは屈曲性も抜群。
正直履き始める前はこの屈曲性に少し懸念してた。
というのも、アウトソールが柔らかすぎる靴は長時間歩くと土踏まずが痛くなるというのが僕の経験上としてあった。
だから、柔らかいのはいいんだけど、キックバックというか、ちゃんと跳ね返りがないと足に負担がかかるだろうなぁと思ってた。
、、、杞憂でしたね。
もうさすがPETROSOLAUMって感じで超感動しましたよ。
1日で3万歩くらい歩いても全然痛みや疲れがない。
強いて言えば、履き初めの1週間くらいだけ、履き口のテープ部分の硬さがくるぶしに当たって少し痛んだくらい。
今はもう無敵の靴になった。
(鏡自撮りなので、あんまいい写真じゃなくてすみません。。。)
今までPETROSOLAUMの03LASTやヨーロッパのオーセンティックな革靴を履いていた方にとっては、O-LASTはかなりチャレンジングな選択肢であると思います。
が、そのような革靴とは全く違う立ち位置で、全く違う感動を与えてくれると思いますよ。
まず足入れした瞬間にびっくりすると思う。
めちゃくちゃフッカフカなので。
気にしていただける方は、試してみてください。
最後に簡単にサイズ選びに関して。
僕はPETROSOLAUMだと01LASTで40H、03LASTで40を履いていて、03LASTの40はかなりビタビタなフィッティングです。
それでO-LASTは41がジャスト。
なので、少し小さめの作りだと考えて、いつものサイズからハーフ上げくらいがベストだと考えてください。
気にしていただける方には、足の実寸など教えていただけましたらより詳細にご案内いたしますので、お気軽にご連絡くださいね。
それでは。