こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。
今日は、タイトルの通り、Nomàtについて。
今シーズンの幕開けとしてNomàtの松煙染めのシャツをご紹介しましたが、あれから早3ヶ月。。。
だいぶ気温も下がってきて、僕たちもようやく秋冬の本気モード。
そんなタイミングでNomàtから良いものが納品されたので、少し前から並べていたアイテムと併せてご紹介させてください。

Nomàt
YAK Double Breasted Knit Coat
color _ Brown
size _ 1,2
25AWシーズンのNomàtを象徴するアイテム。
無染色のブラウンヤクを使用した、”ニットのコート”。
今シーズンのNomàtは、素材や洋服の形が持つ”硬さ”と”柔らかさ”に着目しました。
素材や洋服の持つ”柔らかさ”を、Nomàtの表現したい姿に合わせてどのように”硬く”するか。
または、その逆も然り。
こちらのヤクのニットコートは、素材の状態では柔らかすぎて形がバシッと決まらないのですが、度目を詰めた分厚い編み地にしてコートに使うことで、しなやかで立体的なフォルムを実現したというもの。
これ、結構やばいです。
布帛のコート(というか普通は布帛なんだけど)では辿り着けないところに辿り着いてしまった感がある。

わかりやすいのは、まずこの後ろ姿。
ニット特有のしなやかさと下に落ちようとする程よい重みによって、肩から肩甲骨周りまではピタッと寄り添いながら、柔らかーくドレープが生まれる。

より自然な状態で、こんな感じ。
歩いていたらこれがゆったりと揺れるのだから、そりゃ美しいに決まってる。

あともう一個わかりやすいのは、アームのライン。
アームが下に落ちようとする力とアームホールの縫製による硬さが互いに作用しているのだと思うけれど、アームホール付近で少し腕がキュッと細くなる。
そしてそこから筒状に張ったアームがストンと落ちる。
サイドから見た背中周りもかなり美しい。
この肩から背中周りとアームの流れ方は、布帛のコートでは感じたことのない柔らかさと力強さ。

しなやかで軽い原料に対して、編み地の構成とパターンワークで力強さを与える。
コレクションに”Paradox Texture”というタイトルが付けられたストーリーが見えてきます。

細かな仕様面としては、編み地であるということがネガティブに働かないように、ボタンの裏にはヘリンボーンテープと力ボタンの合わせ技。

肩周りを見るとわかるけど、基本的に縫い代は重ならないように全部リンキングで仕上げています。
なので、着用した時のゴロつきや、見た目にシームの硬さが出てしまう、みたいなことは一切ありません。
細かいところだけど、こういうところが一回気になっちゃうと永遠に気になり続ける僕みたいな人間にとってはすごく重要なポイントだと思う。

あと、ニットのコートの最大の特徴として、中に着ているものの硬さやフォルムに依存するという点。
これはネガティブに捉える人もいるかもしれないけれど、僕はとても面白いポイントだと思っている。
今回の着用写真では、Olde HomesteaderのINTERLOCKシリーズの上に、Olde H & Daughtterのドライバーズベストを着用して、コートを羽織っている。
これによって、本来とても薄い骨格の僕の上半身と、なで肩なラインに補正をかけることに成功している。
さらに今回のニットコートの特徴的なアームのラインを膨張させる事なく着用できるので、個人的にはニットベストとの合わせが一番綺麗なんじゃないかと思っている。
その上でもう一度先ほどの写真たちを見てみてほしい。



コートで全てを包み隠すのではなくて、コートから透けて出る体のラインに美しさを演出する。
考え方ひとつで、何と合わせて着るのかの判断基準に新たな尺度が生まれると思います。

Nomàt
YAK Short Stole
color _ Brown
size _F
同素材のストールもございます。

当たり前のように首から巻いてもよし。

腰に巻いてもよし。
写真は撮ってないけど、頭に巻いても良いでしょう。
自由に使っていただければ、それでOKです。

あ、そうそう。
コートのサイズ感について、こちらのコートは生地端を縫い返さずフラットに処理しているので、写真のように袖だけ捲って縫い留めてしまえば、ほとんどの方が着用できると考えています。
今回、178cm63kgでサイズ2を着用しておりますが、サイズ1が女性サイズでサイズ2が男性サイズ、くらいのざっくりとした感覚で大丈夫です。
全体のボリュームや、合わせる洋服によって決めていただければ面白いと思います。

Nomàt
COTTON Hand Painted Militery Jacket
color _ Brown
size _ 2
お次は”硬い”服。

ベージュカラーのコットンの生地に、ブラウンの樹脂を刷毛でハンドペイント。
そのため、洋服の内側は本来の生地の色と手触りがそのまま残っています。

元々の生地はコットンの柔らかな風合いを残したテクスチャですが、樹脂のペイントによってかなりハードな印象に。
一見するとレザーのようにも見えるのですが、肌にあたる面はソフト。
”硬さ”と”柔らかさ”の相反する性質を両立させることを目指したテキスタイルです。


実際に新品の状態ではかなりハードでソリッドですが、着込んでいくとしっかりと馴染んでゆくそうです。
またその際は、ペンキのペイントのようにポロポロと剥がれていくようなことも起こらないとのこと。
それもまた不思議です。

サイドにはアジャスター。
ポケット口の手前にボタンが付きます。
着込んで柔らかくなった時にアジャスターでギュッと絞って着用すると、いいギャップが生まれそう。

刷毛で手摺りしているからこその自然なムラが、よりレザーのような天然の素材の規則性の無さを連想させる。


フィッティングとしては比較的ゆとりのあるバランスですが、着込んでほぐしていくのがベストです。
その点、レザーではないのでガンガン着まくって崩していきましょう。

Nomàt
WOOL COTTON Straight Pants
color _ Brown
size _ 1,2
最後にこちら。
これは”硬い”とか”柔らかい”とかっていうよりも、展示会の時に不思議な魅力を感じた1着。

実は、Straight Pantsとは名ばかりで、膝あたりでビミョーーーに絞りを効かせている。
つまり、膝から裾にかけては、ほんの少しだけフレアになっているということ。
写真では全然わかんないんだけど、実物を見てもほとんど分かんない。
でもこれがきっと、不思議と惹かれてしまった魅力。


とても自然な範疇で立ち姿がエレガントに見える。
細かな理由は全然わかんないけど、街中に溶け込んだ時にとても目を惹くと思います。

生地はウールとコットンのライトなデニム。
経糸がインディゴのコットンで、緯糸がブラウン系のウール。
緯糸は多分3色くらいのブラウンを撚り杢ってます。

裾はカットオフ。
ただステッチで留めてあるので、これ以上緯糸が抜けてフリンジっぽくなっちゃくことはないと思います。
飛び出した経糸からはインディゴカラーの面影を感じます。
この配色や素材づかいも、フレアでカットオフなのにヒッピーっぽくならずにエレガントにまとめ上げている所以。
ここから履き込めばコットンの褪色が起こるはずなので、独特な変化をしていくと思います。
このパンツは私でサイズ2がギリギリです。
なので、サイズ1は本当に女性向けかも。
細身な男性や女性の方にはぜひご覧いただけましたら嬉しいです。
秋冬のNomàt、ぜひお楽しみください。