こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。
当店では冬の風物詩的な存在となっているMOTHER HAND artisanから、ブランドの核となるウールアンゴラ素材の縮絨セーターが到着いたしました。
当店でもこの縮絨シリーズは何度かご紹介したことがありますが、とにかくホントに暖かい。
今週くらいから店頭では様々なブランドのセーターたちを並べているのですが、おそらく群を抜いて暖かい。
僕が私物で着用しているのは縮絨していないモデルなのですが、4年間の着用によってかなり仕上がっておりまして、さながらセルフ縮絨とでも呼べる状態。
これが本当にあったかくて、冬の快適さが変わりました。
ウールのベースレイヤーにそのセルフ縮絨セーターを着て、あとはウインドストッパーとしてのアウターとカシミヤのストールがあればそれでOK。
寒がりのくせに厚着をするのが苦手な僕は、昨年の冬にMOTHER HAND artisanとWONDER ROOMのWHALEをローテーションしてカシミヤストールを装着することを覚えたことで冬のスタイリングが変わり、ファッション的な意味でも身体的な意味でもぐんと自由度を増した。
この縮絨シリーズは、4年間かけてセルフ縮絨しなくても最初からその暖かさを味わえて、なおかつさらにここから育てていく伸び代も備えたシリーズってわけです。
だから今年は、最高のニットを楽しく着てもらえたらと思い、少しポップな色合いにしてラインナップしました。
形は2型。
それぞれに2色の展開です。

MOTHER HAND artisan
GEEL (PLUS FIT)
material _ wool (super 100's) 75%,angora 25%
color _ SMERALDO
size _ 4,5,6

MOTHER HAND artisan
GEEL (PLUS FIT)
material _ wool (super 100's) 75%,angora 25%
color _ GRIGIO 6
size _ 4,5,6
まずは昨年も展開したモックネックタイプ”GEEL”です。
スメラルドという原色のグリーンをワントーンだけライトにしたような濃いエメラルドグリーンと、グリジオ6という黒に近いチャコールグレーの2色。
本当は、グリジオ6の方は当店のラインナップの中には含まれていなかったのだけれど、色々あってピンチヒッターとして昨年に引き続き登場。
このあと出てくる2色も明るい色だから、結果的にグリジオ6が加わったことで安心感は増したかも。笑

MOTHER HAND artisanのセーターは全て家庭用の手横編み機でつくられます。
”家庭用”と名にある通り、大量生産して販売するような今日のアパレル産業の構造がまだなかった時代の機械(というよりも道具という表現の方が正しいかもしれません)なので、生産の効率はとても低い。
ただその代わりに、アナログな道具だからこそ、その使い方次第でさまざまな応用を効かせることが可能だそうです。
まぁ、それが使いこなせる”腕”があることが大前提なのですが。。。
そのため、MOTHER HAND artisanのセーターは、一般的なセーターの生産背景では不可能なセオリーに倣っていない部分が多い。
だからこそ他のセーターでは体験できないような感覚を体験していただけます。

縮絨シリーズは、セーターを編み上げるときに、実際の製品の寸法よりも大きくつくり、それを細かく確認と微調整を行いながら縮絨作業を行います。
それにより、ニットの編み目がギュッと詰まりサイズが縮み、フェルトのようなテクスチャが生まれます。
またそれによって防風性も高まるため、より一層の保温力が備わる。
厚みだけではベビーウェイトなセーターだとは感じにくいですが、1着を大きく編み上げたセーターを縮絨しているため、単純に使用している糸の量は多くなります。
その分質量としては重くなっているはずなのに、そのように感じさせない。
だから、着ていても全くストレスを感じないんです。

MOTHER HAND artisanのセーターは、形もとても綺麗。
洋服の中でも形をつくる上での制約が最も大きいニットセーターというカテゴリーで、ここまでソリッドな顔つきをしたセーターはまず無い。
着用して鏡の前に立つと、とても立ち姿の美しいセーターだと感じていただけると思います。
一般的なセーターではどうしても肩から背中にかけて、そして脇下から袖にかけてにもたつきが生まれてしまいます。
そのため全体にボリュームを持たせ、袖先や裾にリブを効かせ丸くシルエットをつくるものが多いのですが、MOTHERHAND artisanはそもそもの理論が違う。
それを可能にするのはやはり永井さんご夫婦の腕と、手横編み機という存在。
その必然性は、着てみていただくとご理解いただけると思います。
そして、もう1型。

MOTHER HAND artisan
LEUVEN (WIDE FIT)
material _ wool (super 100's) 75%,angora 25%
color _ NIGER
size _ 4,5,6

MOTHER HAND artisan
LEUVEN (WIDE FIT)
material _ wool (super 100's) 75%,angora 25%
color _ ROSSO
size _ 4,5,6
Vネックなんだけど、鋭角になりすぎていなくて、開きのあるクルーネックとの中間くらいのイメージのLEUVEN。
僕は勝手に”ゆるV”と呼んでいる。
僕は今までネックの形状や開き具合に対して特に拘ったことがなかった。
別に開いていいても詰まっていいても、VでもUでもYでもWでも、その1着の全体としてバランスが整っていればそれでOKって感じ。
だったんだけど、このLEUVENの”ゆるV”には、なぜかとても心惹かれた。
展示会の時にも、永井さんと「最近Vネックに追い風を感じますよね」とか「いやでもやっぱVネックはオシャレすぎるんじゃない?」とか色々話しながら3回くらい試着した記憶がある。
3回着ても、やっぱり良くって、やっぱり心惹かれた。
あまりうまく言葉にはできないが、それまで僕があまり重要視してこなかったネックの具合が、Vでもクルーでもなく、詰まっても開きすぎてもないこのLEUVENの匙加減に、そのピンポイントにしかない色気を感じた。
これ以上詰まっても開いてもダメだし、やりすぎな新スタイルのネックを求めているわけでもない。
その匙加減が絶妙だと感じました。
そしてもう一つ、今回とても重要だったのは、肩幅と身幅。
こちらのLEUVENはWIDE FITという新しいフィティングでのご用意となります。
WIDE FITは4,5,6の3サイズで肩幅と身幅、ネック寸法は統一。
寸法が変わるのは着丈と袖丈だけ、という設定です。
従来のSLIM FITや、ここ数年主流になりつつあるPLUS FITと比べても、かなり広く設計された肩幅と身幅。
これによって、MOTHER HAND artisan特有のフォルムの美しさに程よく余白が添えられて、”ゆるV”の隙のある表情がとても際立って見えた。
まぁ、言葉じゃ伝わらないので、ぜひ着てみてください。

いつものMOTHER HAND artisanのセーターと比べると、ネック周りはカーリングが抑えられています。
このフラットな見え方も、”ゆるV”が綺麗に見える理由の一つだと思います。

裾や袖口はほんのりとカーリングしていますが、縮絨によってほとんどフラットに。
一般的なセーターでリブ編みに切り替えられる部分がこのようになっているだけで、ホント見え方変わります。

肩はほとんどの方がドロップするような設定。

先ほどのPLUS FITのGEELと比べてみても、その差は歴然。
ただ、WIDE FITとはいえ、昨今のオーバーサイズなバランスとは全く異なります。
イメージ的にはシルクモヘアの方のバランスに近いイメージ。
なので、よっぽどタイトなアウターじゃない限りは余裕で収まるし、中にシャツをレイヤードしても飲み込んでくれるくらいのちょうど良いボリューム感といった感じです。

簡単な写真しか用意していないけど、LEUVENは着用するとこんな感じです。
めちゃくちゃモダンなVネックでしょ?

僕はずっと、Vネックセーターの中にレギュラーカラーのシャツを着るのがなんだか小っ恥ずかしかったのですが、LEUVENならこうやって着たい。
もちろんクルーネックのカットソーをチラッと見せて着るのもとても素敵。
このNIGERというカラー、別にどこにでもありそうなベージュに見えるのですが、縮絨をかけることで化けたと思ってる。
縮絨による目の詰まりと毛羽立ちが、編み地が表に浮いて見える部分と隠れる部分があるように見せる。

腕を広げると、身幅の広さがよくわかる。
身幅が広いということは、その分裾や肩に対して分量を収束させていく必要がある。
それは増し目とか減らし目とか言われるテクニックを用いてコントロールするわけですが、ここまで極端な造形にすることを目的として、さらには家庭用の手横編み機を操ってこのようなことをしているのがMOTHER HAND artisan。
逆説的に言えば、そうじゃなきゃこのようにはなりません。
永井さんご夫婦の卓越した技術と特殊な道具が、過不足なく、それでいて惜しみなく注ぎ込まれたからこその美しいセーターだと言える。
明日、11月8日土曜日から販売開始いたします。
MOTHER HAND artisanは永井さんご夫婦お二人で全ての生産を行っており、生産数に限りがあるため、当店でもそれぞれごく少量の入荷となります。
週明けくらいには在庫のご用意があるものはオンラインサイトにも掲載致します。
あ、そうそう、当店のシルクモヘアは12月ごろの納品予定ですので、今回のデリバリーでは縮絨シリーズのみとなります。
シルバーのニットを目指して色を調整してもらいましたので、いい感じになっていると思います。多分。
まずは、縮絨のウールアンゴラ、お楽しみいただけましたら幸いです。