こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。
まず初めにお知らせ、というか改めてのアナウンスですが、CASANOVA&COでは毎週木曜日を定休日としてお休みさせていただくこととなりました。
より我々スタッフのレベルアップと店のクオリティアップのために、このような判断とさせていただきました。
日々ご来店いただいている皆様にはご不便をおかけしてしまうこともあるかもしれませんが、ご理解いただけましたら幸いです。
その分、より楽しんでいただけるように進んでいきますので、何卒よろしくお願いいたします。
ということで、本題。本日のブログ。
久しぶりに納品がありましたよ。
GERNOT LINDNER
当店で取り扱う唯一のメガネ。
GERNOT LINDNERが生み出すメガネの佇まいから、ブランドとして非常に長い歴史があると思っている方もいるかもしれませんが、実はブランドの立ち上げは2017年。
まだブランドとしては誕生から7,8年と、比較的新しいブランド。
ただ、デザイナーのゲルノット・リンドナー氏はレジェンド級の大ベテラン。
御年84歳。くらいだったはず。
つまり、GERNOT LINDNERは、ゲルノット氏が70代半ばにして立ち上げた新たなブランドということ。
それも、自身の名を冠したブランド。
飽くなき探究心と、尽きない情熱がなければそんなことできない。
さらに、それを生涯の片時も忘れることなく継続し続けたからこそ。
僕のような若造が想像しても、遠く及ばないほどの苦悩があったはず。
それでも自身の目指すメガネを追い求め続ける歩みを止めなかった。
直接お会いしたことはありませんが、ゲルノット氏の半生を伺っていると、お客様にお伝えさせていただく身分として本当に本当に背筋が伸びる思いになる。
そんなGERNOT LINDNERのラインナップの中でも、今回納品されたシリーズは、ゲルノット氏のデザインを象徴するものだと僕は考えています。
それが、”リムレス”。
別名、”ツーポイント”とか”スリーピース”なんて呼び方をされる時もあります。
いわゆる、”縁無しメガネ”のことです。
リムレスシリーズから2型ご用意しておりますので、ご紹介させてください。
GERNOT LINDNER
GL-450
color _ SN
size _ 140mm,145mm
GERNOT LINDNER
GL-401
color _ SN
size _ 140mm,145mm
こちらの2型。
基本的な構造、カラー、サイズの展開などは同じです。
異なるのは、玉型。レンズの形ですね。
GL-450は、大袈裟すぎないティアドロップ。
GL-401は、ゲルノット氏らしさを感じる”ほぼ”正円のラウンド型。
ブランドでは、まだまだたくさんのモデルが存在しますが、今回当店がご紹介するのはこの2つです。
GERNOT LINDNERの精神性が注ぎ込まれたリムレスをとことん見て欲しくて頑張って写真を撮ったのですが、なかなかに満足いくメガネの写真を撮ることが難しいことに気付かされました。。。
ちょこちょこピンボケしているような見づらい写真があるかと思いますが、大目に見てください。。。
”ツーポイント”という名称にある通り、リムレスのモデルでは、レンズのテンプル側とブリッジ側の2箇所に直接穴を開けてテンプルとブリッジをジョイントします。
縁のあるメガネはフレームの溝に合わせてレンズに山を作るのが一般的なので、根本的にメガネとして成立するための構造が全く異なる。
その加工方法などに関しては、こちらのリムレスの加工も岡山眼鏡店さんが素晴らしい技術で行ってくださるので、僕から詳細な解説は出来ませんが、長く日常的に使うためにひとりひとりに合わせてとても考えて加工をしていただけます。
なので気になる方はカウンセリングの際に聞いてみてください。
僕からリムレスに関して先にお伝えしておかなければいけないこととしては、強度の問題。
先ほどからお伝えしている通り縁のないメガネなので、縁のあるものと比べると物理的に弱くなってしまう。
日常の生活の中で着用していただくには全く問題ないですが、着用したままスポーツをしたり、寝っ転がったりするとフレームの破損や歪みの原因となるので、理解と配慮が必要です。
ただ、そのようなメガネとしての繊細さすらも、GERNOT LINDNERのリムレスの極限まで削ぎ落とされたものからしか放たれない魅力だと思う。
レンズとテンプルを繋ぐ部分。
少し長めのネジがレンズを貫通しているのがわかると思います。
後ほど載せますが、僕(かなりの強近視)の私物のリムレスでもこのネジの長さでレンズの厚みに対して対応できたので、ほとんどの方がこのネジから変更することなく使っていただけるかと思います。
あ、あと今更ですが、もうお気づきかもしれませんが、このネジとヒンジ部分のマイナスビス以外は全てGERNOT LINDNERオリジナルのスターリングシルバー製です。
なのでここから出てくる写真のほとんどがシルバー925だと思ってもらえたらそれでいいです。
智の部分。
GERNOT LINDNERの100番台やKYOTOシリーズなどのモデルよりも智やテンプルを担うパーツは線が細いものとなります。
また、100番台やKYOTOシリーズと異なる点として、智のカーブ。
表面をえぐるようにして逆アールの曲面になっていたそれらのモデルに比べ、リムレスモデルではレンズに寄り添う箇所とビスのねじ山に当たる部分が一体となる柔らかなアールの智からテンプルへと繋がる。
そして折り畳まれた状態からテンプルをキチンと開くと、ヒンジ部分は完全にツライチになり、智とテンプルの境界線を示す細い線が生まれるだけとなる。
この精度を、スターリングシルバーでやっているのがGERNOT LINDNER。
今度はブリッジ側。
ここもネジ以外が全てスターリングシルバーだと思うとゾクゾクする。
あ、今回リムレスモデルにはGERNOT LINDNERオリジナルのノーズパッドを付けてもらいました。
このノーズパッドは着脱可能なので一山ブリッジとして着用いただくこともできるのですが、リムレスならではの各パーツとレンズのウエイトバランスや、日常での着用の快適性を考えてパッドをつけた状態をお勧めしています。
このパッドも勿論スターリングシルバーなので、そこに心惹かれたというのがだいぶ大きいんだけど、、、笑
見えにくいですが、パッドの内側にはちゃんと”925”の刻印。
この925の刻印、両テンプル、ブリッジ、ノーズパッドの全てに入っています。
ミドルブリッジの曲線、レンズに寄り添う箇所へとつながりその途中にはノーズパッドが嵌め込まれる。
ノーズパッドとブリッジの連結はスパナのような形状で、反対側はレンズに貫通するビスを使って共締め。
スパナのような形状の中間部分からパッドへと繋がる曲線が連続したパーツが伸び、鼻に当たるパッドの根本に繋がる。
パッドは根本を起点にして角度が稼働するので、しっかりと着用感をサポートしてくれるでしょう。
、、、これが全てオリジナルのシルバー925パーツ。
本当にすごいものづくりだと思う。
ここまでのことを、80歳を超えていまだに進化させながらつくり続けているのは、凄すぎて理解や想像が及ばないレベル。
メガネとしてのひとつの極致と断言できるほど、物として震えるほどに技術と熱を感じる。
けれど、僕が思うGERNOT LINDNERの凄さはそこだけじゃない。
もちろん技術や素材開発は誰にも真似できないし、卓越している。
デザインも、ゲルノット氏が10代からアンティークのメガネを蒐集してきたからこそできること。これも一朝一夕で真似できることではない。
でも、そんな誰も真似できないような芸当を”そこに作為性を感じさせない、ように見せている”ことこそ、GERNOT LINDNERの真髄なんじゃないかと思っている。
言い換えれば、”そうなるしかなかった”みたいな顔をしている。みたいな。
もっと言い換えれば、現代にプラトンが生きていたらGERNOT LINDNERこそがメガネのイデアとなっていたであろうほど、否定することすらできない存在というか。
それくらい”完璧なデザイン”をしていると思うし、それが流行などの一過性のものではなく、時代に流されることのない普遍的なものだと思う。
それなのに、GERNOT LINDNERのメガネからは作為性を感じさせない凄みがあるし、
だからこそ、GERNOT LINDNERのメガネからは作為性を感じさせない親しみやすさがある。
僕はデザインをすることはないので、”それなのに”なのか”だからこそ”なのかはわからないが、、、
ゲルノット氏はひとつひとつのメガネに対して、シルバーという素材が持つメリットとデメリットを天秤にかけながら、すべての箇所に”デザイン”をしている。
惰性で「ここはこんな感じにしておこうか」とか「ここはあっちのモデルのデザインを流用しようか」みたいなことは絶対にしない。
共通するパーツはあるけど、そのひとつひとつが、完成されている。
だからこそ、そのようなパーツが集合体としてメガネになった時、その背景にはとてつもない”デザイン”の作業があるはず。
ゲルノット氏の長い長いキャリアがとてもとても注がれた、ゲルノット氏の生き写しとも呼べるようなGERNOT LINDNER。
ゲルノット氏の”血”が力強く流れている。
ただ、それなのに、GERNOT LINDNERは”血生臭さ”が無い。
この”血生臭さ”が”作為性”の正体だと思っている。
GERNOT LINDNERは先述したようなゲルノット氏の作り込みがあり、本来作為性の塊なはずなのに、その匂いを感じさせない。
これは本当に稀有なことだと思う。
ただ、やっぱり血の湧き上がるようなドロドロとした濃厚なものづくりももちろん大好きだし、僕たちはそのような人とものに賛同しているから、こういうお店をさせていただいている。
なんだけど、1年間365日を常に自分と共にするものには、それと同時に親しみやすさも必要。
目の悪い僕にとって、メガネは小学生の頃から毎日かけていたし、メガネがなければ生活することすらままならない。
だからかもしれないが、あまりにも”他人の血の匂い”が強すぎるものは、常には身につけていられない。
これ、今の所1ヶ月半毎日共にしているmy GERNOT LINDNER。
最初にかけた瞬間から”異物”感はなかったけど、シルバーの変化が進み、僕の”血”となってきた。
レンズが厚いのはご愛嬌です。
あと調光レンズだからか、少しグレー味がかってます。
実物よりもさらにくすんで写ってしまっています。
実際はもう少し光沢が残ってます。
これで着用1ヶ月半くらいかな。
先述した通り、ネジの長さはギリギリ。笑
いかにレンズを薄く作るか、という悩みに高屈折で高額なレンズを入れるというのが強近視の人あるあるだと思うのですが、今回はメガネの強度を保つためにもあえて少し厚みを残したレンズにしています。
この考え方は、自分にとってはとてもパラダイムシフトだった。
高屈折=良いレンズ、くらいに思い込んでしまっていたから、ケースバイケースで向き不向きがあり、適切な選択をしていかなければいけないことを思い知らされた。
岡山眼鏡店さんは、このようなことを理由まで含めてきちんとアドバイスしてくださるので、本当に安心してお持ち込みいただければ大丈夫だと思います。
メガネの顔となるフロント側からも。
やっぱりこうやってシルバーが黒ずんでいった表情がとても魅力的。
リムレス特有の繊細さと素材の変化の大胆さがとても美しい。
最後に少しだけ着用を。
レンズはGERNOT LINDNERらしく控えめな大きさ。
ですが100番台とかKYOTOに比べると少し大きめかな。
テンプルサイズは、僕は140mm。
ほとんどの方が140mmと145mmでカバーできると思います。
リムレスはどんなレンズを持ってくるかによって、大きく印象が変わるのも魅力。
色を入れてレンズの輪郭をはっきりさせるのも良いし、反射にこだわったりするのも良いと思います。
色々と想像を巡らせながら考えていただくのは面白いと思いますよ。
気にしていただける方は是非ご覧ください。
あ、GERNOT LINDNERはオンラインストアへの掲載は行いません。
ご遠方にお住まいの方は、メールかお電話にてご相談いただけましたら幸いです。