こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。
ここ数日の30度に迫る外気温。
やってきましたよ。
夏が。
多くの人に忌み嫌われている夏の存在ですが、僕は存外嫌いではない。
確かに汗はたくさんかくけど、洗える洋服を好んで着ているから汗をかいたら洗えばいいだけだし、なにより薄着だからこそ感じることができる心地良さを知ってしまったから。
そのきっかけになったのは、5年ほど前にOLDE HOMESTEADERの"EXTRA COTTON JERSEY"のシリーズを着たことだと思う。
それまでは僕自身が夏との共生を諦めてしまっていたので、快適に過ごすための手段を放棄して無理やり通年モノの長袖シャツを着たりしてた。
別にそれはそれで嫌ではなかったしファッションを楽しんでるなって感じだけれど、間違いなくそこには我慢が伴っていた。
でも、"EXTRA COTTON JERSEY"のカーディガンを着て過ごした初めての夏は、我慢よりも心地よさにハッとする瞬間が多かったように思います。
そこで気がついたのは、”暑さを感じないための服装”よりも”心地よさを感じるための服装”の方が精神的に快適であるということ。
これは冬にも同じことが言えると思っていて、とにかく寒さを感じないようにすることを目的とするなら、ごっつい生地のコートの下にたくさんの洋服を着込んで発熱するインナーをベースレイヤーにすればいいと思うけど、たぶんこれは不快。
重いし、なんなら暑いし、ヌケがなくて蒸れるし。
ただ一つメリットがあるとすれば、寒さを感じなくて済むという点。
これを夏に置き換えて考えてみると、そもそもの話、暑さを感じない状態は日本にいる限り不可能だと思う。
北海道はワンチャン可能なのかな?行ったことないからわからんですが。
本州および四国九州沖縄の真夏では、全裸のフルチンで歩いてても汗をかく。
その状態で体を覆う洋服を着なければいけないのだから、”洋服を着ることによって暑さを凌ぐ”という考え方自体が破綻しているように思う。
であれば、いかに暑さの中に心地よい瞬間を生み出すか。こっちに考え方をシフトチェンジした方がいいのではないか。
たとえば、コンクリートジャングルの中の木陰。
たとえば、ビルの入り口から漏れ出てくる冷気。
たとえば、フラッと立ち寄ったコンビニの加減を知らない冷房具合。
さながら砂漠の中のオアシス。あるいは新幹線の中の喫煙所。
オアシスがあるという事実が、オアシスから遠ざかっている間の精神的な支えとなるのです。
洋服においても同じ。
心地よい瞬間があるという事実が、蒸せるような暑さの中を闘う希望となるのです。
まぁ、新幹線からは”オアシス”は消えましたが。。。
...すみません、久しぶりのブログで楽しくなってしまい脱線したままかなりの距離を走行していました。
まぁ、つまりは夏には”暑くない洋服”を求めるよりも”心地いい洋服”を求めた方が快適ですよ。ということです。
そしてまさにそれを感じていただけるシリーズが、今年も到着しました。
いや、厳密には少し前に到着してました。
FAUVESのホップサック。
夏のFAUVESの代名詞的存在だと思います。
ご紹介させてください。

FAUVES
NUVO (Hopsack)
color _ Black
size _ 3,4,5
※サイズ4は完売いたしました
まずはFAUVEの最もスタンダードな形、NUVO。
細身なストレートの5ポケット型です。

そもそも、このホップサックシリーズ、やっぱり生地がめちゃくちゃ異端児。
似た生地を見たことがないから例えようがないのですが、誤解を恐れずに例えるなら、僕は3年ほど前に初めて見た時は「網戸みたいな生地だな」と思いました。
糸の1本1本が肉眼でも見えるほど太く、撚糸もかなり強いので触れると強いざらつきを感じる。
その糸を用いて網戸のように隙間が空いたざっくりとした密度で織りあげているので、硬さや厚みは感じるけど隙間があることで物性としてはしなやか。
硬いんだか柔らかいんだか、分厚いんだか薄いんだか、ぱっと見ではよく分からないと思います。
ただ、これがほんっとに夏に心地よいのです。
僕の”キッカケ”になった"EXTRA COTTON JERSEY"もそうなのですが、FAUVESのホップサックにおいてもターゲットにした季節に対してとても深いところで適性を持たせてある。
それは原料の掛け合わせ方や紡績/撚糸、織りや編みの組織、密度、仕上げ、とにかく全てにおいて福原さんの”総合演出”で成り立っている、というイメージ。
この”総合演出”のバランスが、本当に凄い。
ただ、その”総合演出”に関してもそうだけど、福原さんのつくる洋服は”何がどうなっているか”を詳しくお話できないことも多い。
話しちゃうと”攻略本”が出来ちゃうから。
たくさんのトライアンドエラーと時間をかけて福原さん自身が辿りいついた唯一無二のスタイルは、流布させるわけにはいかないですからね。
なのでここからはある程度写真に写っていることベースの話になります。
というか、それ以上のことは実物に触れて、日常で付き合って、洋服が懐いてきた時にしか伝わらないかもしれません。
それくらい難解です。福原さんの洋服は。
でも、だからこそ、かなり楽しいですよ。

ポケットの袋布が透けて見えていますが、履くと気にならないです。
さらに、洗うともっと気にならなくなります。
ただし、透けて見えるという事実が表すように、そこには隙間がきちんとあるということになります。
そのため夏場に着用していると、屋内の空調の効いた場所に入った瞬間に衣服内のぽっかぽかな空気が一瞬でシャキッと冷えてくれる感覚を味わえる。
僕は、こういう瞬間が真夏のオアシスなんじゃないかと思う。



これはFAUVESの製品全てに言えることですが、縫製もかなり異端。
ウエスト周りだけで何色の糸を使ってるんだろう、、、
ジーパンにおいてオレンジとイエローを使い分けることはセオリーとしてありますが、あくまであれは大量生産の基盤があることもそうだし、ルーツとして箇所によって縫い糸を使い分けて強度を担保していた背景があるからこそ。
FAUVESは形こそ近しいけれど、そのような想いのものではないと思う。
ではなぜ雑多とも見てとれるほどの多色使いの縫製にしているのか。
福原さんの真意はわからないけど、僕は”長く残っていくものにするため”だと思っている。
そもそも僕が感じているFAUVESらしさというのは、縫製の色使いを含め細かな”イレギュラー”が積み重なったプロセスの先で”レギュラー”なものにアウトプットしていること。
つまり、普遍的であるための”イレギュラー”を重ねているということ。
ただ、その普遍は匿名的ではなく、FAUVESという実態が強く感じられるものでなきゃけない。
言い換えれば、FAUVESという実態が強く感じられるうえに普遍的なものであれば、きっと長く残っていくものになる。
そういうことを狙った仕様の積み重ねなのだと僕は感じます。
だから、「シンプルなものをめちゃくちゃ上質につくりました」では辿りつかないところにFAUVESがあるのだと思う。

FAUVES
710 EXTRAS (Hopsack)
color _ Brown
size _ 2,3,4,5
ブログを書き始めて2時間経ったのにまだ1型しか進んでないことに気がついて焦ったので次行きます。笑
こちらは新型です。
FAUVESの中で僕が大好きなPEG TOPという型のパンツがあるのですが、この710 EXTRASは、そのPEG TOPのワイドバージョンといったイメージ。
PEG TOPがゆったりとした腰回りから裾にかけてテーパードがかかるのに対して、710 EXTRASは腰回りからそのままズドン。
今までのFAUVESのパンツの中では最も裾幅が広いモデルだと思います。
ただしさすがそこは福原さん、野暮ったさは全くなく、むしろワイドなのに自然な色気がある。


PEG TOP同様、腰には2タックでウエスト帯はありません。
個人的にPEG TOPの好きなところが、ウエスト内側のつくり。
これは710 EXTRASでも踏襲されています。
先ほどの一枚目の写真の上の方を目を凝らしてもらうとギリ見えるのですが、ウエスト帯が無い分ウエスト内側に見返し布が付くのですが、ここが共地なの。
これだけでも普通のパンツより腰部分の安心感がある。
さらになんならベルトループ位置も大好きなのですが、ウエスト上端から1.5cmほど落としたところにベルトループが付いてるの。
ベルトで締めた時の収まりも抜群。
この腰回りの安心感は最高です。
このようなポイントは、とにかく日常的にしこたま履いてみると、ふとした時に感じていただけると思います。

写真では見えにくいですが、FAUVESのホップサックの生地は単色ではありません。
色の表記としてはBrownですが、微かにブルーが混ざっているのが見えるかと思います。
このあたりも先ほどの”細かなイレギュラー”のひとつですが、これがあるからこそ縫製のブルーの糸が浮かないという作用もありそうです。
ただ”細かなイレギュラー”を散りばめるのではなく、それらが相互にどう作用するかバランスを設計しながら、最終的に”レギュラー”な着地で伏線回収。
複雑な設計でシンプルなものをつくっているFAUVESの独特なバランスを感じていただけると思います。

FAUVES
RANCH (Hopsack)
color _ Beige
size _ 2,3,4
※サイズ4は完売いたしました
こちらのRANCHは少しウエスタンな空気感。

ベルトループやフラップの形状からもウエスタンな空気を感じます。

腰回りの構造としては710 EXTRASと同様にウエスト帯の無いつくりですが、シルエットは腰のボリュームは少なく、ほぼ真っ直ぐに落ちる形。
NUVOほど細くないですが、かなりシャープなラインのパンツだと思います。
夏って細身なパンツを履くのがしんどくなるのですが、この生地なら常に衣服の外の空気に触れている感覚なので寧ろ心地いいかもしれません。

FAUVESはファスナーやボタンもオリジナルです。
特にこのブランドネームの入ったジップの引き手、僕はめちゃくちゃ好きです。
絶妙に昔のアメリカのワークウェアブランド感があって良い。

FAUVES
CPO (Hopsack)
color _ Beige
size _ 5,7
最後はCPOジャケット。
当店でのホップサックシリーズで唯一の上半身です。
ジャケットとして真夏にわざわざこれを着るという日は多くはないかもしれませんが、その分、今くらいの最高気温30度前後の日には最高だと思います。

このBeigeカラーのホップサックは、ほんのりとイエローがミックスされています。
先ほどのRANCHも同様です。

ジャケットは首元にパッチが付きます。
パッチも洗っていくと柔らかくなるので、首に当たる感じは気にしなくて良いと思います。

新品の時は動きに生地が付いて来ず、ボコボコとした形に見えるかもしれません。
ただし、1発洗うとかなり化けます。
ということで、1回だけ洗いました。
1回の洗濯は、手にしていただける方のこの先の長い楽しみに比べると1歩目でしかありませんが、これを見ていただければなんとなくこの先の変化の方法性が感じていただけると思います。

710 EXTRASのサイズ3を洗って着用しています。
178cm65kgでジャスト・オブ・ジャストって感じのサイズ感です
新品の状態では少し余白を感じていましたが、洗うことで縦に5cmほど、ウエストでも5cmほどの縮みが起こり、良いサイズ感になりました。
ウエストの縮みは着用すると元のサイズまで戻ると考えていただければ大丈夫ですが、新品状態でピッタピタのジャストサイズはあまり推奨はしないかな、という感じです。
あ、あと洗濯機で洗ったり脱水したりする場合は、畳んでネットに入れるのはもちろん、タオルなどを緩衝材として挟むように一緒に入れてあげてください。
少々世話の焼ける子ではありますが、その分期待には応えてくれると思います。


洗うことで余計な硬さが抜けて、ナチュラルなフォルムが出ます。
綺麗で品があるんだけど、固っ苦しくない感じ。

洗った時のこの凹凸感もとても良い表情だと思います。
さらに着用と洗濯を繰り返すと、この凹凸に加えて毛羽立ちが生じて、とても夏に履けるコットン100には見えないハードなテクスチャが生まれます。
展示会の時には福原さんが育てまくった着用サンプルが置いてあるのですが、それはそれで圧巻の仕上がり。
新品と見比べたら、100人中100人が「これがこうなるんですか!?」となるレベル。
なので個人的には、FAUVESの洋服は皆さんで付き合い方のペース配分をしていただくのが良いと思っています。
実際に僕も秋冬に履いたツイードのPEG TOPは5回目くらいまでは洗濯機でガンガン洗ったけど、それくらいのタイミングで理想的な表情になったからそれ以降の洗濯は手洗いにして変化のスピードを緩めてあげた。
そんな感じでゴールを決めて育てるもよし、ひたすらに行けるとこまで行くスタイルでもよし、皆さんで付き合い方のペースも決めてあげてください。
その方がきっと長いお付き合いになると思うので。

実際に屋外で履いていると、めちゃくちゃ涼しいとかひんやりするとかではないけれど、ほのかに風が肌に当たるのを感じます。
この風が当たる感覚の心地よさと、それによって衣服内の空気の循環の快適さは気温が高ければ高いほど感じることができると思います。
あと、生地の見た目的にも迫力があるのにどこかドライで軽やかに見えるのもグッドポイント。
NUVOのBlackもそうですが、暗いトーンの色でも見た目に重苦しさがありません。



汗をかいたら洗う。
洗えば育つ。
育て方の匙加減すら楽しみになる。
そんなルーティンの中で無意識に履いてると、ふとした時に心地よさに気が付く。
心地よさに気がつくと、また無意識で履いてしまう。
そしたらまた洗って育てるルーティンも動き出す。
洗濯後の710 EXTRASも店頭にて展示販売しておりますので、お好きな方はぜひご覧頂けましたら幸いです。