こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。
タイトルだけでお察しの方もいるかもしれませんが、今日は手袋の話。
当店では、2年ほど前からPost ProductionのMil Glovesというディアスキンの手袋をご紹介しておりました。
グリップ力に優れたフィンランドのディアと、肌あたり最高なカシミヤライニングの贅沢な手袋で、コストパフォーマンスも抜群。
それはそれは良い手袋でして、お客様からもとても反響をいただきました。
ただね、このMil Gloves、僕自身も持っていて昨年の冬に大活躍したのですが、自分の中で小さな課題が見つかった。
それは、「暖かすぎた」ということ。
いやこれは本来はメリットだし全然課題じゃないんだけど。笑
ただ、通勤の往復約20分間ほど自転車を爆漕ぎするし、もともと手汗も多いタイプだし、カシミヤライニングがべちゃべちゃになるくらいには真冬に汗をかいてしまう事態が発生。
挙げ句の果てには真冬に手のひらに汗疹ができるというミラクルまで。笑
でも、初詣に行く時とか、真冬に外で体をあまり動かさない活動をするときとかには、やっぱりあったかい手袋があってよかった、とも感じた。
日常の中に潜む小さな不快感と、いざという時に暖かくないのであれば手袋として成り立たないという根本的なニーズの鬩ぎ合い。
ジレンマである。
そこで、”手袋は1つじゃ足りない”理論が僕の中で爆誕したのだ。
あったかい手袋と、あったかすぎない手袋、どっちも要る。
なんとも贅沢な話ではあるが、これしか解決策はない。
そうと決まれば話は早い。
あったかすぎない手袋を買おう。
Mil Glovesを使い始めた2週間後くらいには新たな手袋を買おうとしていた。笑
暖かすぎなくて、自分の服装や精神面にフィットするもの。
でもこれが意外と難しい。
良い手袋を探そうと思うと、ヨーロッパの伝統的なブランドがファーストチョイスとして挙げられると思いますが、少しトラディショナル過ぎて自分のスタイルにはマッチしない。
かといって前衛的なものを求めているわけでもなく、その間に位置するものを見つけることに苦難していた。
そうして冬も終わりに差し掛かってきたとき、徐々にあったかすぎない手袋が欲しいという訳のわからないピンポイントすぎるニーズのことなど忘れ始めていたタイミングで訪れたPost Productionの展示会。
「あったかい手袋は必要だから、今年もMil Glovesは必要だろう」と考えていた矢先に、会場だったブランドのアトリエのデスクに置かれたペッカリーの手袋が目に飛び込んできた。
反射的に手袋の中を確認した。
カシミヤのライニングがついていた。
考えるより先に「このライニング、無しにできないですか?」と聞いてしまっていた。
甲斐さんも「いや、ライニングないと暖かくないですよ」と親切に教えてくれた。
「あったかくない手袋が欲しいんですよ」と喉元まで出かけたが、変なことを言おうとしているという客観的な視点に気づき、やめた。
世の中的に、「ペッカリーはアンライニングが通っしょ」という言説があることもなんとなく理解している。
が、そういうことではない。
暖かすぎないために、アンライニングである必要があるのだ。

Post Production
Country Gloves Peccary -unlining-
color _ Ice Gray
size _ 24cm

Post Production
Country Gloves Peccary -unlining-
color _ Cork
size _ 24cm

Post Production
Country Gloves Peccary -unlining-
color _ Black
size _ 24cm
ということで、甲斐さんに無理言ってアンライニングにしてもらいました。
結果的にこれがめちゃくちゃ良かったのですが、まずはアイテムとしてのご紹介を。


手の甲には飾りの3本ステッチ。
手袋といえば、のあのブランドが発祥とされているそうですが、このステッチがあるとほんのりドレスチックな印象です。

手首の内側でスナップを留める仕様です。
Mil Glovesはアジャスターを絞る機構になっていましたが、このスナップの感じもMil Glovesのそれとは違ったムードを演出してくれます。


可動域を考慮された親指のパターン、縫い代を外に出した縫製、この辺りも結果的にアンライニングにしたことによって良さを感じやすいものになったように思います。


裏側はアンライニングなのでスエード面が見えます。
ペッカリーはとてもしなやかで強靭なレザーなのですが、とにかくこのスエード面のヌメりが特徴。
手を入れた時の吸い付くような感覚はペッカリーのアンライニングならでは。
そして、3本の飾りステッチの縫い終わりには裏からペッカリーレザーを当てて補強と肌あたりのサポートをしてくれています。
ちなみに写真には写っていないですが縫い始めの方は3箇所全て接着芯でカバーしてくれています。
指の関節が近い部分なので、より厚みの出ないサポートの仕方で処理してくれているのでしょう。
とても細かな部分まで手が込められていることが見えるのもアンライニングならではですね。
また、本来ついていたライニングを採用しないということで、アンライニング用にサイズを微調整していただきました。
レザーならではの伸びや馴染みもダイレクトに感じると思います。
サイズ感に関しては店頭にて詳しくご案内いたしますが、Mil Glovesでは少しタイトだった方にも着用してもらえるんじゃないかと思っています。


着用するとこんな感じ。
アンライニングだからこそムチムチ感がなくなって見た目もシュッとします。
見た目においてもMil Glovesとの使い分けができそう。

まぁあとは本当に店頭で付けてみてください。
ペッカリーのモチモチ感と手に吸い付く感覚は、カシミヤライニングとは違った心地よさがありますよ。
ただ、どっちが良いとかどっちが通だとかそういうことを言うつもりはなくて、どっちも良さがあってそれぞれを知ることでより豊かになるよねって話。
そこから先は好みの部分になるので、お好きな方を選びましょう。
あ、肝心の暖かくなさに関しては、めちゃくちゃちょうどいいです。笑
しっかり風をストップしてくれるけど、体温を蓄熱することはなくヌケがある。
ただ、暑がりな方なら、日本の気候ならアンライニングでも全然余裕だと思います。
まぁ、一番いいのは使い分けることだと思いますけれども。
なので、極寒の時に着用する手袋をお探しの方にはオススメしませんが、日常的に着用した状態で何か活動することを前提とする方にはとても良いものだと思います。
あと、スタイリングの1ピースとして手袋を考えるなら、アンライニングがスマートかもしれません。
明日から店頭にて販売開始しますので、気にしていただける方は是非見てみてください。