こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。
今日もこちらのイベントに関して。
LUGGAGE LABEL limited store -温故知新-
2025.12.06(SAT) ~ 2025.12.14(SUN)
昨日は、カバンを構成するすべてが天然由来の生分解性を備えた本藍染めのTRUE BLUEをご紹介しました。
ショルダー系の形が多かったTRUE BLUEに比べて、本日ご紹介するのはトートがメインかな。
”FILAMENT”。
これもかなりぶっちぎったシリーズです。

発明家エジソンが白熱電球のフィラメントに竹を用いて実用化を成功させたことは有名な話。
ですが、竹のフィラメントにたどり着くまでにはとにかく様々な素材でテストを行なった試行錯誤があったのだそう。
しかし、耐久性や連続点灯時間などの点から満足いくクオリティには程遠い。
そこで抜擢されたのが、石清水八幡宮の八幡竹だったと言われています。
この八幡竹は白熱電球のフィラメントに最適な太さや耐久性を持ち合わせていたそうで、エジソンはこれを用いることで連続点灯時間を1200時間へと大幅に伸ばして、翌年の白熱電球の量産化へと繋がった。
そうして世界を照らした日本の竹ですが、日本人にとってはエジソンの発明以前から生活の中に溶け込んでいた存在。
時に建築資材として、時に農具として、はたまた器や花器として、さらには竹籠などの民藝品として。
様々な姿に形を変えながら、日本人の生活と密接に関わっていた”竹”。
現代ではそれらの竹製品はプラスチックや金属製のものに置き換わっていることも多いかと思いますが、”FILAMENT”ではもう一度そんな日本人として”竹”という素材と向き合うことにした。
竹が持つ情緒や美意識に目を向け、さらにはカバンにおける機能性にも一役買った構造。
ただのバンブーハンドルとは異なる、とても日本的で、とてもLUGGAGE LABELらしいバッグとなりました。

LUGGAGE LABEL
”FILAMENT” TOTE BAG
color _ sand

LUGGAGE LABEL
”FILAMENT” TOTE BAG
color _ black
まずはベーシックなトートバッグ。
FILAMENTは全てこのsandとblackの2色展開となります。

まずやはり最大の特徴は、ハンドル部分の竹。
この竹が、間口の広いトートバッグの骨となり、荷物を入れて持ち運ぶ際の負担を軽減します。

ハンドルは片側には竹が付き、もう片方にはレザーハンドルが付きます。
このレザーハンドルを写真のように竹にくぐらせて使用する。

持つとこんな感じ。
帆布の生地自体にかなり硬さがあるのと、竹がフレームとしてカバンの構造を保持するので、手に持っても形が崩れることなくキャンバスバッグなのにかなり凛としたエレガントな佇まい。
あと、細かなポイントだけどレザー部分の補強として入る刻印入りの真鍮リベットが効いてる。
見た目としてもすごくバランスの良いカバンだと思いますよ、これ。

LUGGAGE LABEL
”FILAMENT” VERTICAL TOTE BAG
color _ sand

LUGGAGE LABEL
”FILAMENT” VERTICAL TOTE BAG
color _ black
先ほどのTOTE BAGの、縦長バージョン。
縦長って言っても、ほぼ正方形くらいのバランスだけど。

FILAMENT全型共通のディテールとして、特徴的なのが底面まで一続きにつながるテープが走っている。
表からはそのステッチしか確認することはできないが、これだけの硬さのキャンバスにこのような仕様を施せば、鬼に金棒。
ちょっとやそっとじゃ壊れないし、安定感も抜群。
TRUE BLUEもそうだったけど、底面やハンドル部分に対しての補強の入れ方を見ると、𠮷田カバンらしさを感じます。
長年カバンづくりとユーザーたちの声に向き合い蓄積してきた経験やデータ、そして何より使う人への想いやり。
ユーザーはきっとこのような使い方や動作をするだろうと予測して、長い目線で見て摩耗しやすい部分や負荷がかかる部分にはきちんと補強を入れる。
それも、それぞれの素材やムードに合わせた手法で。
こういうところはレジェンドならではの円熟味のあるものづくりです。

内側の構造もよく考えられてる。
写真じゃ見えにくいけど、斜めにカットされた表地よりも薄手のキャンバスが互い違いになるように2枚合わせられて中央で縦に縫い合わせられ、その両サイドにスマホなどを分けて収納できるポケットになる空間が生まれている。
、、、僕の言語で描写する能力が乏しくて全然わかんないと思うけど、まぁ実物見てみてください。笑
とても考えられていて、見えない部分でカバンの佇まいの美くしさに作用しているディテールです。


今回のLUGGAGE LABELの3シリーズの中で一番エレガントなカバンだと思います。
無駄がなく、シンプルな形ゆえに素材使いと細かな部分で大きな差が生まれる。
静かだけど、とても強いカバン。

LUGGAGE LABEL
”FILAMENT” 2WAY SHOUULDER BAG
color _ sand

LUGGAGE LABEL
”FILAMENT” 2WAY SHOUULDER BAG
color _ black
最後はこちら。
共地のショルダーストラップが付くモデル。

ユニオンジャックのようなステッチで半端じゃなく堅牢に作られたショルダーストラップ。
幅は太めで、長さの調整はできません。
器用なカバンではないかもしれませんが、そのような機構を叶えようとパーツを増やすのではなく、削ぎ落とした先にある美しさを目指している。
先述のようなコンセプトを持つ”FILAMENT”だから、その姿を目指すことが自然。

これ縫うのむっちゃ大変そうだな、、、と思いながら半年ほど前にサンプルを見せていただいたのですが、これまた生産のハードルが非常に高かったそうで、夏前にはローンチできると聞いていたのに結果的に直営店でローンチされたのは9月に入ってから。
そりゃそうなるよ、この生地にこの縫製で、焼いた竹まで付けちゃってんだから。笑
本当に量産に向かないことばかりやってるLUGGAGE LABEL。
でも間違いなく、そこに生まれる空気は一般的なカバンとは別物だと思います。

ここも見るからにタフ。
壊そうと思っても壊せないレベルでしょ。

薄着だったら肩から斜めがけしてニュースペーパーバッグみたいな持ち方もできると思います。
コートとかニット着ちゃってると、ちょっと厳しいかも。


ショルダーストラップは、使わないときは内側に流し込むことで蓋のような感じで機能します。
こういうところまで見ていくと、ショルダーストラップの長さも狙い澄ましたものになっているのだと実感します。
LUGGAGE LABELの3シリーズは、様々な機能が盛り込まれたギア的なカバンというわけではありません。
ただ、使用する上で必要な機能性に対して過不足なく、そしてそれを美しく備えることに徹したカバンだと思います。
だから、機能を蔑ろにすることもないし、機能を追求しすぎて美しさに歪みが生まれることもない。
そんなLUGGAGE LABELの中でも、日本人の生活を支え、世界の人々の生活を煌々と照らした竹にフォーカスを当てた”FILAMENT”。
竹から連想されるような日本的な美しさと、しなやかで柔軟に形を変える竹の汎用性。
そこに𠮷田カバンが培ったカバンづくりの知恵を吹き込んで、使う人の暮らしを明るく照らす。
世界的に評価されている𠮷田カバンチームですが、海外から見た逆輸入的な評価軸ではなく、もう一度日本人としてその素材とストーリーに真っ向勝負で向き合った。
それが”FILAMENT”なのかなと思います。
実物は持ってみるとかなりいい表情していますよ。
ぜひ見てみてください。
明日は、最後にOLDNEWをご紹介します。