こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。
多分全国的にだと思いますが、やっと春らしい気温になってきました。
個人的には寒いのは嫌いなので嬉しい反面、憎き夏の存在がチラつき始める。
近年、特に日本国内のファンション市場における春夏シーズンというものは、
「夏をいかに快適に過ごすことができるか」
という命題に対して、素材開発やデザインを行っているように思います。
番手に頼らない風抜けや肌離れの良さを実現したコットンやリネン、春夏におけるウールやシルクなどの提案、ナイロンなどの化学繊維をクレバーに使いこなしたテキスタイル。。。
どんどん”日本の夏”に適応するための進化が進んでいるように感じます。
だからこそ、僕たちの夏は快適な選択肢が増えてきている。
今日ご紹介するブランドも、決してそこに対してのアプローチを怠っているわけではありません。
ですが、彼らほど”春夏の洋服を楽しんでいる”ブランドは無いんじゃないかなと思うし、そこがすごく重要なポイント。
半年前、SARTOの26SS展示会で、信じられないようなケタ違いのラインナップを見せつけられました。
ブランドとして継続的に取り組んでいるコットンリバー。
秋冬とは全く異なるアプローチのハンドニット。
山羊と羊の合いの子である”METIS”のスエード。
そして、春夏仕様の手機のツイード。
秋冬シーズンにおけるSARTOの洋服の振り幅の広さは昨年の10月に開催したイベントでご紹介した通りですが、春夏においては絶妙な抜け感と抜群のセンスで秋冬以上に迫力あるコレクションを仕上げている。
夏の暑さだけを意識したものではない、もっとファンションという言葉に孕む直感や衝動を感じるコレクション。
今日は、SARTOのMETISスエードと、手機のツイードをご紹介させてください。

SARTO
[METIS GOAT SUEDE LEATHER] LEATHER HALF COAT
color _ BROWN GOLD
size _ M
まずはこちら。
ブランドでは春夏シーズンにおいて継続的に取り組んでいる、METIS(メティス)。
先述の通り、山羊と羊の交配種らしいのですが、正直SARTO以外で見たことはほとんど無いです。
流通量自体が少ないのでしょうか。
分かりませんが。

レアだから良いとかではなく、このMETISスエードは交配種だからこそ山羊と羊の良いとこ取りが実現しています。
山羊革特有の薄く漉いてもコシが残る質感と、羊革らしい毛並みの美しさとしなやかさ。
だからこそ、このバックショットに写るドレープ感と柔らかな光沢。
触れた感覚ももはやカシミヤやキャメルの織物のような抜群のタッチ。
スエードレザーにありがちな砂っぽさは全くありません。


だからこそこのような型に落とし込んでもカントリーっぽさが強くなりすぎず、しっかりとエレガントな表情を残します。
逆に言えば、これほどまでに美しいデザインとパターンに対して粗野な印象のスエードは噛み合わない。
革質と洋服としてのクオリティが高次元で噛み合っているからこそ。

ボタンホールは全て玉縁のホール。
僕は玉縁を縫ったことはないので知った顔で言うことはできませんが、レザーの玉縁ボタンホールなんて半端じゃなく神経を使いそう、、、
でもこれだけで洋服が纏う空気が変わり、この1着が目指している方向性をよりハッキリと提示しているように思います。

ここの仕様も特徴的。
こういったレザーのジャケットの場合、原皮の大きさの問題でバスト部分や腰部分に接ぎを入れる必要があります。
そうしないと1枚で身頃全体を取ってくることができないから。
今回のSARTOのこのハーフコートはバスト部分に接ぎが入るのですが、その接ぎをうまく利用してフラップ上端を流し込みフラップポケットに。
ただし、腰ポケット同様、袋を表から当てる構造ではありません。


このフラップは、左胸にある内ポケットに外からアクセスする入り口となります。
これは結構感動ディテールでしょ?
とても美しく、考えられた仕様。
だけど、縫製師さんは堪ったもんじゃないと思います。笑

内側から見るとこんな感じ。
バストの接ぎの部分は本来なら一発で縫いきっちゃってコバを押さえればOKだったはずが、ポケット口の開きを残してフラップを流し込んでフラップもろとも押さえたりフラップを避けながら押さえたり、、、
主張の激しい華美なディテールではないですが、SARTOとはどんなブランドなのかを感じることができる素晴らしいポイントです。



大別すればレザージャケットなのですが、よくある堅苦しさや仰々しさは全く無く、カットソーやシャツの上から軽い気持ちで羽織るだけで万事OK。
裏地は付いておりませんが、それは即ち「裏地が必要ないほど美しく、着心地が担保されている」ということです。
着脱時に滑りの悪さを感じることもありません。
マジで完璧。
春夏シーズンにおけるレザージャケットの完成形だと思います。
イタリアのラグジュアリーブランドとかがこんなの作ったら軽く5倍以上の価格になりそうなクオリティですが、僕はSARTOのこの価格はかなり良心的だと思います。
まぁ、高いのは高いっすけど。


SARTO
[METIS GOAT SUEDE LEATHER] LEATHER JACKET
color _ INK NAVY
size _ M
同じMETISスエードで、こちらの型も。
先月ご紹介した”新年スペシャル”のデニムジャケットと同型。のはず。
こちらはとにかく着やすいと思います。


SARTO特有のアームの3次元的なボリューム感が、レザーアイテムでも健在です。

腰のポケット口には、ブランドのシグネチャーとも言える刺繍。


スエードの毛足が整いすぎていて、INK NAVYになるともはや布帛の生地に見える。
だからこそ、ハンガーに掛けているだけで別格の佇まい。

こちらも裏無しで、内ポケット付き。
この辺りの気遣いは豊島さんと池田さんらしい設計。


かなり驚いていただける洋服だと思います、このMETISシリーズ。
サイズはどちらもMのみのご用意ですが、かなり多くの人にハマるサイズなんじゃないかな。
まずは、ぜひ店頭で触れてみてください。


SARTO
[HOME SPUN] OVER SHIRT
color _ SCARLET,ARMY
size _ M
そして、SARTOのファンシーツイードシリーズ。
僕はSARTOがつくるファンシーツイードが大好きで、昨年の春夏も白いノーカラージャケットをご用意し、秋冬はスタッフの中山も着用しているドリズラー型やブラックのツイードをイベントでご覧いただき、今回で3シーズン連続のSARTOツイード。笑
素材や糸の上質さとか、織りの素晴らしさみたいなことは一度置いておいて、とにかく有無を言わさないカッコよさ。
春夏らしいウエイトの中でこのような表現ができるのは天才的だと思います。

SCARLET。
黄色味がかった、鮮烈な赤。
鮮やかな赤と黄色が混ざり合うその奥で、青や水色、紫などの青みを帯びた濃淡がまだらに主張する。

少し離れて見ると、この複雑な配色が生み出す歪なチェック柄がぼんやりと浮かび上がる。
無茶苦茶なことをやっているように見えてある一定の規則性に準じているからこそ、ただただアバンギャルドで突飛なものに終始してしまうことのないバランスに着地しているのだと思います。
怪物級のテキスタイルです。

ARMYカラーになるとチェック柄っぽさがより分かりやすいかな。
まるでフリーハンドで描いたかのような格子模様。
ただし、至近距離で見ると複雑な色構成に目が奪われてしまい、その規則性には気がつくことができない。
まるでモザイクアート。

これだけ芸術点の高い生地なので着づらい洋服なのかと思いきや、天才的なバッキバキパターンとデザインバランスにより、ちゃんと”日常で着てカッコいい洋服”になっている。

静止した時のこの身頃の立体感、肩の傾斜、アームの出方、ヤバすぎます。


ほんでもってカフス裏にはサックスブルーのシャンブレー生地、裏地はマスタードイエロー。

襟裏はアイスグレーのスエード。
豊島さんの人柄も感じられる、天才的な配色センス。
表からは見えないけど、SARTOの醍醐味のひとつ。


SCARLETに比較するとシックにまとめられた(?)ARMY。
ARMYには赤みの効いたオレンジカラーの糸などが混ざり合っているので、結局SCARLETもARMYも合わせる洋服は何を合わせても色が拾えてしまうというミラクルが起こっています。


SARTO
[HOME SPUN] TRUCKER JACKET
color _ ARMY,SCARLET
size _ M
トラッカー型もございます。




春らしくなってきたとはいえ、まだまだ肌寒い期間が続くと思うので、シャツやTシャツの上から適当に羽織ってみてください。
それにしてもNEW BRANDのERLのエイリアンゲロTがいい味出してますね。笑



四季がある国だからこそ、それぞれの季節への心情の変化があり、それに伴う装いの変化があると思います。
気温の変化に対応することももちろん重要ですが、突き抜けた素材遣いとテクニックで”春”や”夏”という季節を情緒的に楽しもうとするSARTOの感性。
それでいて頑張りすぎてる感の無い、肩肘張らないバランス感覚。
技術の高さだけでは真似することのできない、豊島さんと池田さんの感覚やグルーヴから生まれるSARTOの唯一無二のスタイル。
とても直感的な熱量に満ちたコレクションだと思います。
現在店頭ではSARTOの定番的なアイテムから今日ご紹介したようなSARTOを体現するようなピースまで、かなりの幅でSARTOが揃い、SARTOのスタイルを感じていただける空間がご用意できました。
なんか僕が勝手にイベントやってるみたいな空間になってます。笑
CASANOVA&COの26SSシーズンのハイライトとも言える洋服たちが、同じブランドの同じシーズンの同じタイミングででこれだけ揃うことはまず無いでしょう。
ご覧いただけると、SARTOのことを少し感じていただけると思います。
気にかけていただける方は、ご覧いただけましたら幸いです。