久しぶりにまともにこのブログを書きますね。
皆様に紹介したくてしたくてウズウズしてましたよ。
見てもらいたくて見てもらいたくて、やっとですよ。
書きますね。山内。
この長いブログ。
今日は、2つのものを紹介します。
シャツとパンツです。
どっちもフツーじゃないですよ。
かなりのシロモノ。
もうね、感動して。
シャツは、僕も自分で知り尽くしてる生地のシャツですよ。
そして、パンツはこの感じのは人生で初の遭遇。
そういう洋服ですね。
紹介しますね。
山内
ヤクウール・スタンダードシャツ
material _ YAK 50%,SUPER 120S WOOL 50%
color _ YAK BEIGE(無染色)
size _ 2,3,4,5
まずこれ。
生地は、愛知県の葛利毛織さんの"ヤクウール"。
18.5ミクロンのヤクと、スーパー120のウールが"混紡"され、"梳毛"の糸になったもの。
その"平織り"ですね。
3年?いや、4年か?まあ、どっちでも良いけど、それくらい前に山内と"ヤクウール"の生地での3ピースをつくったことがあったんですよ。
少し昔から当店を見てくれているお客様がこのブログを見てくれていたら、なんとなくピンときてもらえる方もいるはず。
その時の"ヤクウール"と同じ生地です。これ。
当時の別注では、葛利毛織さんに「梳毛にできる"ヤク"のワタ(糸になる前の原料のこと)がもう手に入らないから」って言われて、葛利毛織さんで持っていた生地を全量使わせてもらって、コート・ジャケット・パンツの3種類の洋服をつくったんですよ。
もう手に入らない生地だ。と思って。
そうしたらね、それから数年後。
同じクオリティの原料のヤクが手に入ったみたい。葛利さん。笑
ということで、復活。
当時、当店でもつくることがなかった"シャツ"。
名前の通り、スタンダードシャツという名前が付いてるんですけどね、過去数シーズンの山内は少しサイジングが大きめだったけど、印象としては、以前のサイズ感に戻った感じで、ジャストサイズですかね。
生地の品質、縫製のレベルが際立ったシャツが登場。
見た目はスタンダード。
でもね、この生地、すんごいから。
当時の当店の別注の洋服をお持ちの方は、現在も使ってくれてるのを目にするし、僕自身でも、あまりに心地良くて、今ももの凄く使ってる。
先述の通り、18.5ミクロンのヤクと、それと同等の細さとなるSUPER 120Sのウールのミックス。
どちらも無染色状態で、繊維そのものの色合いでできてるんですが、染めてない分、原料のポテンシャルが溢れてる。
"梳毛"を専業にする葛利毛織さんですからね。
葛利さんクオリティが実現できる、ヤクの最大量を入れた50%の混率。
その平織り。
もうね、誰がどこをどう触っても、全員がそのとろける生地のタッチを感じてもらえると思います。
そして、僕もこの生地のメーター単価を知ってるんですけど、かなり高額な生地。
でも、それ以上のオーラをまとった生地ですね。
繊維の段階では、さっきも言ったけど、"18.5ミクロンのヤク"と"SUPER 120S"なんですけど、糸は、"60番手双糸"。
つまりは、細い原料ですが、結構厚みがある。
着用時は、その糸の太さと目の詰まりから、軽やかなんだけど、重量を感じてもらえると思います。
生地としては、ムラがなく、しっかりと目が整って、流れ落ちる。
葛利毛織さんならではの滑らかさと、平織りの反発、心地よい重量。
無染色の生地だけが持つ素材特有の色合いと輝き。
"絶品"ですよ。これ。
自分で着てて思うけど、マジで、これ、全員着てみて。
すんごい生地だから。
写真で分かりますかね?
この生地の自然な落ちる様。
ただね、生地だけじゃないの。
それをどう洋服に形づくるのか、ということがスーパー山内クオリティ。
しっかりと角が立った衿先。
そして、この運針のピッチ。
梳毛の生地に対して、3cm間に"21針"という細かさで全てを縫い上げてる。
実物はね、生地の膨らみもあって、もう点ですから、縫い糸、点。
ボタンは、無染色のヤクウールに合わせて、茶蝶貝ボタン。
ナチュラルなブラウンカラーが特徴。
ボタン付けは、見る人が見たら一発で分かっちゃうから、隠さずに言うけど、今回は、ミシン付けになってますね。
これまで山内のシャツはボタン付けは、全て手付けだったけど、ものによってというか、誰が縫うのかということで、ボタン付けが、手付けかミシン付けかで変わります。
まあ、これも色々ありますが、シャツにおいては僕はボタン付けはミシンで充分だと思います。
袖開きとカフスも同様の茶蝶貝。
袖口の開きは、二枚袖の切り替えを利用した仕様です。
それにしても袖口も狂いのないきちんとしたレベルの縫製。
カフスには、生地に合わせて自然な柔らかさの芯地が入ってる。
それで、裏。
裏も文句ないですよ。
それぞれの箇所において最もベストな縫製仕様で縫い上げられてます。
裏のネックの衿付けも見事。
袋縫いや、細かいオーバーロック、折り伏せ縫いなどが混在してる。
まあ、すごくちゃんと手が行き届いて細かく縫ってる。って思ってもらえたらそれで良いです。
縫製はね、お馴染み、埼玉県のファッションいずみの水出さん。
数ヶ月前に初めて一緒に水出さんと飲んだんですけどね、水出さんにも遂に当店に立ってもらえるときが実現しそうです。笑
やはりファッションいずみの水出さんの縫製クオリティは、とても良いものですよ。
そしてね、このシャツ。
注目は、ここ。
そう、洗濯オーケーなの。
ここはすごく重要。
僕も自分で持ってる山内との別注のヤクウールのパンツを洗ってみたんですけどね、もの凄くとろけるんですよ。
しかも縮みもかなり安定してる。
葛利毛織さんの設計でションヘル織機で織り上げられた、そのレベルの梳毛生地は、洗うと更なる飛躍を遂げる。
超絶レベルアップ。
だから、このシャツは、そういうのが好きな方は、洗って使うのがすごく良いと思いますよ。
そしたら、どんどんどんどん、生地のクオリティ、素材のレベルがビンビンに感じられるようになってくると思うから。
今はまだ日中の気温は高いけど、涼しくなったら、ウルトラヘビーユースできるシャツだと思ってる。
葛利毛織さんの生地の良さ、ファッションいずみさんの縫製レベルの高さ、そしてそれをあまりにも細か過ぎるほどに設計する山内。
フツーに着れるし、名前もスタンダードって付いてるけど、たくさん使ってもらえたら、全っっっ然フツーじゃないシャツの魅力を最高潮にご体感頂けると思いますよ。
そして、これ。
山内
本藍染ウール・イージーテーパードパンツ
material _ WOOL 100%
color _ AI
size _ 2,3,4
これ。
先ほどのヤクウールのシャツと同様に、葛利毛織さんのションヘル織機で織り上げた梳毛だけど膨らみのあるウール100。
その生地を、"本藍染め"で、"生地染め"したパンツ。
これ。
超絶パンツ。
山内では、今回のコレクションで初めて"藍染め"を行ってるものがあるのですが、これもその一つ。
"本藍染め"。
そもそも藍染めは、"正藍染め(しょうあいぞめ)"や"本藍染め(ほんあいぞめ)"と言い方が区別されることがあるのですが、それは、どこの地域で藍染めを行うのかで言い方が変わるみたい。
今回ブランドで行ったのが、奈良県の若い職人さんによる藍染めだそうです。
染工場の裏に、畑を持ち、その畑で藍染めの原料となる"蓼藍(たであい)"を育てている職人さんだそう。
蓼藍を育てるところから、発酵させる"藍建て(あいだて)"、実際に染色を行うことまで、時間をかけて一人でするそうです。
今まで山内さんは、濃い藍染め特有の"赤み"が苦手だったそうです。
だから、ブランドで藍染めの染色は行ってこなかった。
ただ、奈良県の職人さんは、濃い藍染めでも、"深い青"を出すことを探究している職人だそう。
でも、それには先述の通り、時間がかかるそうで、通常では一週間かかる藍建ての工程を、倍の"二週間"かけて"低温"でじっくりと行う方だそうです。
そして、それに加えて、完成した洋服は、濃色の藍色であるのにも関わらず、極限まで赤みを抑えるために、"薄い藍染め"を何度も何度も繰り返して、更なる時間をかけて染色を施してるの。
その"何度も何度も"というのは、一度薄い藍染めを施すと、そこには、"乾かす"という工程もあるから、"薄く染色・乾かす"という作業が何度も何度も繰り返される。
それにより、赤みができる限り抑えられた"深い青"の藍染めが実現し、その上、天然染めによくある"色落ち"までも、極力抑えられてるの。
山内で目指した深い青の藍染め。
一目では藍染めと分からないほどの深い色合い。
これぞ、"限界濃度の藍色"。
その生地は、途轍もなく深いところで、迫力あるオーラを持つ。
そして、完成したパンツを見るとパーツ毎に色が違う。
これも山内ならではのもの。
2mちょっとにカットされた生地は、その生地ごとに藍染めが施される。
その生地が一つのパンツとなる。
つまり、一つのパンツは、全て同じロットの生地だけで構成されるのだ。
ただ、それでも僅かに色合いが異なるのがこのパンツの特徴。
2m少しの生地で、僅かに色合いの違いが起こるのは天然染色ならではのこと。
それをそのまま活かし、一点のパンツをつくりあげてる。
この色のムラは、1点ずつ異なります。
ただ、全部が深い藍色でつくられてる。
この色合いもこのパンツだけが持つものとして楽しんで。
パンツの形状としては、ウエスト帯が開かないイージーパンツ仕様です。
ベースの生地でいうと、葛利毛織さんのものなのですが、確かSUPER 120Sだったと思います。
この生地も。
山内さんが言うには、ウールのクオリティが高いほど、深い色合いが実現できるそうなので、葛利毛織さんの生地を藍染めしたのは、目指す洋服にピッタリのものだった。
写真は、バッチバチ自然光が入るとこで、ありのままの生地の風合いが見てもらえるように撮影してるのですが、あまりにも深い色合いと、ウール生地のそのものの良さがふんだんに現れてる。
生地そのものは、秋冬にとても適した膨らみがある梳毛の生地なのですが、繰り返し藍染めが施されたことで、より一層の目の詰まりがあるように思います。
この手の天然染色系のものは、染色後の生地がカサっと乾いたようなタッチに仕上がることが通例ですが、今回の山内のものはノンノンノン。
全然乾いてない。
葛利さんの生地のレベルだから、ヌメっとした質感と、輝きがすごく生きてる。
深い藍色の奥から、重厚な生地のドレープと、光沢が顔を覗かせる。
"葛利毛織 × 限界濃度の藍染め"
これは、夢のコラボレーションだ。笑
まあ、プライスはプライスですけどね。
それでも、アラシャンカシミヤやフェレイラモヘアほどの販売価格ではないですね。全然。
ただ、オーラは一級品。
フロントは、エクセラファスナーでの開閉。
ベルトループもとても細かい縫製。
そして、裏。
裏の縫製仕様も文句ない。
ご覧のように、裏地が付きません。
もちろん、足あたりの不快感も皆無ですね。
もの凄い気持ち良いと感じてもらえるはず。
裏のウエスト仕様は、驚きの山内仕様です。
これは、山内オリジナルなのですが、着用時のウエストのフィッティング、安心感を重要視していることもあり、見返し仕様です。
ウエスト裏に別布のコットン100の黒い生地を縫い付けてる。それが見返しと言うもの。
その見返しの裏には、更に、見返しが付く。
ウエストの裏には、見返しの見返しまでつくという仕様。
通常は、そんな設計のパンツありえない。
工程数が大幅に増えるし、手はかかるし、時間もそれに伴ってかかってくるけど、簡単につくることをしない。
そうすることで、着心地の向上や、長年の着用への耐久性を大幅にあげる。
それが山内の山内さんの狙い。
このパンツも穿いてもらえると、その瞬間に誰もが安心感をご体感頂けると思う。
それが山内クオリティの洋服です。
とにかく丁寧につくり込まれてる。
シンプルな見た目をしてるけど、洋服の設計でとにかく細かいところまで手を入れてる。
それだからこそ、手にしてもらえた方には、臆することなくヘビーユースしてもらい続けることができる。
ブランドがとても大切に考えていることがよく現れてる部分ですね。裏の仕様は。
着用。
身長167cm、体重52kgで、シャツはサイズ3、パンツはサイズ2を着てる。
パンツは、僕で少しレングスは長いけど、写真ではかなりウエストを上まであげて穿いてますね。
パンツの設計は、裾の生地が少し靴に溜まることを考えられているので、秋冬にはベストバランスだと思います。
まあ、レングスが長く感じられる方は裾上げしたら問題ないですが、ほとんどの方がこれで良いなって思ってもらえると思う。
シャツは、ヤクウールの落ち感を最大限に体感したかったのと、洗うことを考えると、縮みは安定しているとは言え、僅かだけ縮みは出ると思うし、僕は分量を出して、サイズ3が良いなって思って3のサイズを着ています。
パンツは、かなり男前なアウトラインをしてると思いますよ。
ワイドパンツが好きなんだっていう方以外は、大人の漢は全員気に入ってもらえる形してるんじゃないかと思ってる。派手さはないけど。いい意味で。
葛利毛織さんの生地のクオリティが現れ、ブランドの細かく行き届いた設計でつくられたシャツとパンツですからね。
どちらもかなりのレベルしてると思いますよ。
手にしてもらった方には、超ヘビーユースしてもらえると良いと思う。
シャツもパンツも使えば使うほどに、見た目も着用感も発展を感じてもらえる。
お好きな方は是非ご体感ください。