先日からお知らせをしている山内とのヤクウールの洋服。
発売前から問い合わせやご連絡を多く頂き、とてもありがたく嬉しく思っています。
以前、山内さんと、奥さんの知美さんとインスタライブをしたのですが、その反響は僕らの予想以上のものでした。
山内さんは、普段から完成した洋服にその全てを"込める"方なのですが、ただ、山内さんの言葉を聞いてきっと心に刺さるっていうか、心動かされるような方もいるんじゃないかと思います。
だから、今回は僕らが日頃から話しているようなことを改めてインタビューとして行い、文字として皆様に見て頂けるようにしようと思いました。
是非、ご覧ください。
福田:まず、今回つくってもらった洋服の生地、すごいですね。
この肌触り。
生地をつくってる葛利毛織さんについて教えてください。
山内:私が使用しているウール生地は、全て葛利毛織さんで織り上げられたものなんです。
その出会いは、もう何年も前になるんですけど、私はずっとウールを使ってこなかったんです。
何でウールを使わなかったかというのは、ブランドを知って頂いている方はご存知かもしれないですけど、羊に対して行う「ミュールシング」という行為に反対しているからなんです。
だから、使ってこなかったんです。
福田:はい。そうですよね。
CASANOVA&Co.でも最初は山内の洋服でウールのものはありませんでした。
山内:そうなんです。
そのミュールシングを軽く説明すると、オーストラリア以外の国では禁止されている行為です。
羊の毛を刈るときに、お尻の周りの毛は、どうしても羊の糞尿で汚れてしまって、商品価値がなくなるので、子羊の生まれたてのときに”肉を剥ぎ取る”、つまりは毛が生えないようにする工程があって、それでショック死してしまう羊もいるんですよ。
そういうことを聞くとどうしてもなかなか使えずにいたんです。
福田:ショック死まで。。。
山内:そうなんです。
そのミュールシングをしていない羊だけで毛織物ができればとずっと考えていたんですが、その考えに賛同してくれる機屋さんがなかなか見つからずにいたんですよ。
福田:それはやはりオーストラリアが世界でもウールの一大産地と言うのもあって。
山内:そうですね。
国内の毛織物の大半はオーストラリアのウールを使っているというのもあって。
ただ、葛利毛織さんだけがすぐに賛同してくれて、社長の葛谷さんが「自分たちもそういう視点でものづくりってことをやってこなかったけど、すごく山内さんのその考え方には共感できる」って言ってくれて、すぐに取り掛かってくれたんですよ。
それでも、難しい工程を踏まないといけなかったですし、毛織物は様々な農場の羊毛をミックスするので、100%ミュールシングを行っていないウールだけを集めるルートを確保するのが難しかったので、それに何年かかかりました。
ただ、そのおかげで今私が使っているウールはミュールシングをしていない証明書付きのウールのみです。
福田:それがノーミュールシングウールですね。
山内:そうですね。
でも、葛利毛織さんって愛知県一宮市でも一番古い歴史を持った毛織物屋さんで、創業110年程の老舗の機屋さんなんです。
そうやって私みたいな小さいブランドの少量のために動いてくれるってすごく感動して。
それで、そこの織機は創業当初から変わらず、100年前にドイツで開発されたションヘル織機を使ってるんですよ。
今回のヤクウールの生地も同じションヘル織機を使用してますね。
福田:そもそもションヘル織機っていわゆる古い織機で現存する数も少ないとかなんですか?
山内:いや、実はそれがそうでもないみたいですよ。結構数はあって、低価格で取引されてる織機らしいです。
福田:へぇ〜。それは意外ですね。
山内:そうなんです。
ただ、それを設置して、メンテナンスして、操って使い続けることが難しいので、結局廃棄されているみたいです。
だから、葛利毛織さんの社長さんに「山内くん、全然売ってあげるからやったら」って言われるんですけど、「いや、できないです(笑)」って言ってます。
福田:笑。
山内:聞いたことがあるのが、ションヘル織機ってすごく織り上げる構造としては単純だそうですけどね。
福田:だから、手織りに近いということですか。
手織り機ってかなり単純な構造ですもんね。
山内:そう、ただ、ミシンと同じでメンテナンスして使い続けられる人はすごく少ない。
それに、葛利毛織の社長の葛谷さんはノーミュールシングウールに共感してくれたように、すごく熱意を持ってものづくりをされているし、それに同じ気持ちのベクトルを向けて一緒にやって頂けている方です。
今の日本は、短期的な売上ばかりを目指してものをつくってる人が多い気がしています。
それは、お店でも同じなのではないでしょうか?
福田:そうですね。
それは、僕もすごく思います。
もちろん、何事も利益を上げていかないと継続していくことは難しいじゃないですか。
でも、それが一番に先行してしまったら良いものは生まれないと思うんですよ。
山内:そうですよね。
そういったところだけではなく、もっと違う目線の熱量を持っている方じゃないとノーミュールシングウールのようなものは生まれないと思います。
福田:それが山内さんが葛利毛織さんの生地を使い続ける理由ということですか。
山内:そうですね。すごく良い出逢いでした。
今回のヤクウールの生地は、梳毛のヤクを織り上げるのは葛利毛織さんでしかできないことですし、葛利毛織さんもこういった生地をつくっても、使うところが最近ではすごく少ないらしいんです。
どうしても価格も高くなってしまうし。
でも、梳毛のヤクウールに挑戦をしてみたかったからつくったそうで、とても熱量のこもった生地だと思いますよ。
福田:そうですよね。この生地は、僕も人生で指折りの驚きでした。
山内:うんうん。
やっぱりこの生地を織り上げることも葛利毛織さんしかできないことですし、このヤクとウールの繊維を紡績することも葛利毛織さんと取引のある糸屋さんしかできない。
葛谷さんがよく謙遜して言っているのが、「自分たちはこれしかできないからやり続けてる。」って話すんですよ。
昔は、一宮市の一帯も機屋さんが本当にたくさん存在したのですが、今では極僅かしか残っていないし、古くからあった他の機屋さんも時代の流れで新しいビジネスに切り替えていったそうなんです。 そういった方と話をしていていつも思うのが、その「強み」を伸ばしていくっていう方向性をしっかり考えられているところは、やっぱり長く続きますし、短期的な大きな成長はもしかしたらないかもしれないけど、これだけ100年も続く企業にはならなかったと言ってます。
福田:あ〜確かに、確かに、確かに、そうですね。
山内:世の中の会社だと、四半世紀の売上目標を立てて、それをクリアしていくぞ!みたいな目先の売上を立てていくことがほとんどですが、葛利毛織さんはそれをしなかったと。
結局それが100年続いていったとおっしゃってますね。
それを今の企業の考え方でいくと、短期的な三ヶ月で結果が出る仕事じゃないとみんな打ち込まなくなるし、成果主義・実力主義の給料体制、しかもそれが短期間で数字が上がるようなビジネスしかしなくなると、そこで集まるチームも単発的なチームになってしまうし、その結果、長く取り組んでいって成果が出るような仕事はきっと後回しになってしまうと思うんですよ。
福田:いや本当にそうなるでしょうね。
山内:成果が何年後に出るか分からないものに対しては、誰もそんなに熱量を込めてやらないじゃないですか。
だから、その辺りは自分のブランドでいつも考えていることで、あんまり革新めいたことを考えるより、今やっていることを成熟させよう、続けていこうって思っています。
そうすると、人に感動を与えられるものになるんじゃないかと信じています。
福田:僕もすごく同じように思います。
短期的な単発的な売上先行よりも、誠実に実直に向き合ってつくっていくからこそ、結果的に評価されるものって出来上がると思うんですよね。
いや〜、やはりいつもそうなんですが、山内さんと話をしてるとあっという間にどんどん時間経っちゃうんですよね。
本当は、今回使ってる生地のことを山内さんにも詳しく話をしてもらいたかったんですけど、それはもう僕がブログで生地のこと書いてるんで、それ見てもらいましょうか。笑
それにほぼ書いてるんで。
福田:では、今回山内さんにつくってもらった洋服についてですが、ジャケット・コート・パンツ、この3種類のものをつくってもらいました。
以前は、正月にシャツをつくってもらったんですが、今回は僕の中でそれを超えたかったんです。
それで、あとは今まで僕たちではあまり展開をしてこなかったジャケットスタイルというものも山内さんとだからこそ生み出したかったんですよ。
だから、この3種類でお願いをしました。
めちゃめちゃ悩んだんですけどね。
何回も山内さんに相談させてもらいましたね。笑
山内:そうですね。
今シーズン、コレクションのほうでは今までで、一番考えたのかな、このジャケットは。
なので、ちゃんとした場、例えば何かの会食とかでも着てもらえるイメージのジャケットでつくりました。
福田:今まで山内さんのコレクションであったジャケットは、もう少し軽いものでしたよね。
今までのものよりも、前身頃には全面に芯地が据えてあったり、肩もすごくしっかりとつくってますよね。
これまでよりもすごく本格的なジャケットになってますよね。
山内:そうですね。
テーラーさんとはつくりも違うのですが、年々歳も重ねてきて、ジャケットを着る機会とか増えてきましたし、ジャケットが気になるようになってきたんですよ。
やっぱり、そういうものなんだなってつくづく思うんですけど。
で、その中で今回良いものができたと思っているんです。
福田:本当にそうですよね。僕なんかは山内さんと比べてもまだまだ若輩者ですが、僕も丁度ジャケットスタイルというものをやっていきたいと数年前から考えていたんです。
だから、今回とても楽しみなんですよ。
山内:それでも、シャツでもそうだし、ジャケットでもそうだし、昔から存在する服の完成されたものの黄金比ってあって、綺麗だって思えるところに山内らしさを出すことがすごく難しいですね。
敢えてそこで何か目新しいデザインを入れるとかじゃなく、山内らしく、よく見たら他と違うかもしれないってところに落とし込みたいといつも考えています。
福田:それが今回は、特に肩とステッチですね。
山内:そうですね。
肩パッドを入れずにどうやって男らしい綺麗な肩周り、袖周りをつくろうかと思ったときに、”似せ割り”仕様というものにしました。
福田:僕は山内さんから初めて教えてもらいました。似せ割り。
山内:基本ジャケットは、肩パッドを入れているものでも、そうではないものでも”いせ込み”を入れるんですが、そこで運動量が確保されるというのもありますし、ジャケットってカジュアルなブルゾンとかと違って、運動すること前提じゃなくて、立った時に一番綺麗に見えるような設定なので、あんまり袖山が低いわけじゃなくて、高いんです。
それでも、ある程度の動きやすさを出すために袖山には、「いせ」が入るんです。
少し専門的になりますが、ジャケットの身頃と袖を縫うときに、袖の方に縫い代を倒して、袖を高くするというのが普通のつくり方。
それで、ジャケットの肩はポコッと膨らみが出るようになります。
福田:それが肩高というジャケット特有の仕様ですね。
山内:それがもっともっといって、いせ込みもすごく多く入れて、ギャザーのようにすると女性のパフスリーブのような、袖がポコーンと出ているような。
で、身頃の方が肩よりも高くなってくるっていうのが、カジュアルな服。
それが一般的に言われるんですけど、その中間を狙っています。
縫い代を、袖にも身頃にも入れることによって、身頃と肩を真っ直ぐ同じ高さになるようにしているのが「似せ割り」でこのジャケットの特徴にしています。
福田:これは本来、縫い代ができない身頃側にも表地と同じ生地を入れているんですよね。
割り縫いに似せているから「似せ割り」。
フラットでとても綺麗な肩ですよね。
山内:そうですね。そうすることで肩パッドは入れないけど、男らしい肩ができあがっていると思います。
もちろんそれで、運動量が減ってるっていうわけでもありません。
福田:そうですよね。
肩パッドが入ってるとどうしても肩が浮いちゃって日常では着にくいけど、これはデイリーユースもイケるような肩だし、でも、ある程度きちんとした場でも問題なく使えるジャケットになってると思います。
そもそも「似せ割り」ってジャケットであったりする仕様なんですかね?
僕は山内さんから初めて聞いたので、あまり分からないんですけど。
山内:いえ、メンズのジャケットでは滅多にないんじゃないかと思いますね。珍しいと思います。
肩をこうしてスクエアにしているのは。
ブルゾンなんかでもないと思います。
福田:やっぱりそうなんですね。
だから聞いたことなかった仕様だったんですね。
あとはステッチですよね。このジャケット。
とても珍しいステッチの仕様だと思います。
山内:そうですね。
普通は、カジュアルなものになればなるほどステッチは表に出てくるんです。
ジャケットはフォーマルというかドレスなものなので、そういうものは、本来はステッチって表に出ないんですよ。
でも、私はステッチが好きですし、山内らしさということを考えたときに、ジャケット全体の雰囲気は壊さないようにしながら、綺麗なステッチを入れるためにこのコバステッチをラペルや袖口、裾に入れています。
福田:生地の端から2mmにステッチを入れてますよね。
山内:いえ、2mmじゃないんですよ。1.5mm。
本当に分からないんですが、普通はコバステッチは1.6mmのところにステッチを入れるんです。山内では1.5mmの通常よりも0.1mm狭めたコバステッチを目指しています。
福田:1.5mm!ヤバいっすね。2mmかと思ってました。
でも、それをジャケットの要所に入れているのが山内オリジナルですね。
山内:そうですね。
ジャケットはもともとフォーマルな服ですし、ステッチってそんなに表に入らないんですが、先ほども言ったように洋服の雰囲気を損なわないようにしながら、山内らしさを入れるためにコバステッチを入れています。
コバステッチは裏側のステッチが落ちてしまう可能性があるので、ジャケットではまずしませんね。
あとは、コバステッチというのは縫い代を抑えるのには不十分ですから、生地端をきちんと抑えるためにルイスミシンでまつっています。
だから、通常よりは手間としては2倍かかってしまっていますかね。
福田:なるほど。それは知らなかったですね。
コバステッチだけではなく、見えない内側でもルイスミシンをしているっていう。
山内:そうですね。
それは、良くも悪くも山内の特徴だとは思います。
サンプルの製作は全てアトリエで行っていて、工場に出していないので、通常のありきたりのジャケットではなく、山内らしさを常に考えています。
そういったことから考えるととても山内らしくあるジャケットだと思います。
福田:コートはどうでしょうか? ジャケットに比べるとまたつくりが大きく違いますね。
袖と身頃の部分もジャケットが肩高だったのに、コートのほうは身頃高です。
あとは、本来のオーバーコートのようなサイズ感ですし、芯地の入れ方もジャケットよりもすごく軽いつくりですよね。
山内:そうですね。
コートは袖や身幅にゆとりを持たせているので、肩にそれほどまでに運動量を確保する必要はありませんし、身頃高っていうので、そこまでこれは硬くつくっていないです。
コートに対して気にしたところは、あの生地の特性をどれだけ丈の長いコートで利用して、損なわずに仕立てられるかっていうところでしたね。
だから、ジャケットは総裏ですが、コートは総裏にはしてなくて。
芯地も衿など部分部分は入ってますけど、歩くと綺麗にドレープが出る生地なので、それを損なわないように一枚でいけるところは一枚でという仕立て方にしています。
だけど、要所要所に山内らしさを入れるためにコバ+7mmのステッチを入れています。
福田:そうですよね。
ふんだんにコバ+7mmのダブルステッチが入ってるじゃないですか。
それに場所によっては背中とか4本のステッチが入ってたり。
山内:肩も4本入ってるし。
私は本当にステッチ好きで。
綺麗なステッチを入れたい欲が。笑
福田:ハハハ。笑
山内:つくり込むアイテムになればなるほどステッチを入れたくなっちゃう。笑
あの〜、ジャケットと同じになっちゃうんですけど、綺麗なアイテムにステッチを入れて山内らしさのところで留めるっていう共通した考え方があるので、このコートも綺麗なところで収めて、だけど随所随所は男っぽくステッチが何本も走ってるっていうところですね。
福田:このコートのステッチやドレープはすごく山内さんが狙っているところが上手く出ているのを感じます。
福田:最後にパンツはどうでしょうか?今回はこの生地の特徴を最高に活かせるように少し無茶なお願いをしてパターンを一からつくってもらいましたが。
山内:この生地の良さ、ドレープを最大限に活かせるように外のシームを排除しました。
やっぱりシームってあればあるほど、その箇所は硬くなるので。
福田:そうですよね。
さっきのジャケットとコートとは反対の考え方のパンツですね。
このパンツは、山内さんのコレクションであるシームレスのイージーパンツをベースにしてもらいましたが、ジャケットとのセットアップということでも考えられるように、前開きやベルトループを付けてもらって新たなパターンでやってもらってすごく良い出来になってますよね。
前開きにしたことで少しドレープの出方の心配もありましたが、それも見事に解消されて。
山内:このパンツは、とにかく生地のドレープを活かせるように考えたのですが、外側のシームがないので、それに合わせて全体のステッチをとにかく少なくしました。
あとは、厳密に言うと外側のシームがないために内側だけでクセをとる必要があったので、パターン的にはすごく難しい処理をしていったのですが、見た目ではすごく綺麗なパンツに仕上がっていると思います。
ウエストのゴムの入れ方っていうのも全部その辺りはコレクションであるものとは違っています。
福田:それでいてこの綺麗な裾に向かって細くなっていく形はすごく綺麗ですね。
複雑なことをしているけど、削ぎ落されてる。
あとは、僕たちで迷ったところ。
裏地を無くしたこと。
山内:正解でしたね。
福田:どうしようか迷ったんですが、葛利毛織さんのこの生地の良さがもの凄く引き立ってると思います。
すごい穿き心地。僕も本当に驚きました。
山内:そうですね。
これは本当にこの生地の良さが感じられると思います。
皆さんに是非穿いて肌で感じてみて欲しいですね。
<縫製者さんのこと、ブランドのこと>
福田:山内さんといえば縫製者タグを品質表示のところに付けているのも特徴ですが、今回の洋服はそれぞれどなたでしょうか。
山内:そうですね。
ジャケットは、岡本さん。
コートは、成清さん。
パンツは、原田さん・佐藤さんにお願いをしました。
福田:成清さんと言えば、以前にインスタライブをやったときにも隣で作業をされていた方で、山内さんの服でよく目にする名前の方ですね。
山内:何年もうちでやってくれている方で、しっかりした技術を持っている方なんですよ。
私は、縫製はその方の性格が出ると思っていますので、その方が縫うとそういうものができるだろうなってイメージしてお願いをしています。
福田:成清さんはコートを縫ってることが多い印象ですが。
山内:皆さんそれぞれオールマイティーになんでも縫える方なのですが、成清さんは特に縫製では数少ない男の方ですね。
男の方が縫製をされるっていうのは珍しいことなのですが、その中でもすごく高い技術を持ってる数少ない貴重な方で、コートなどのヘビーなもの縫うのがとても似合います。
コートはやはり重さもあり、力を使って縫うので、力強い印象にも仕上げたいと思いますし、成清さんにお願いしていることが多いですね。
女性の方だとシャツなどはすごく繊細に仕上がって良いんですよ。
福田:なるほど。そうなんですね。
最後に山内さん、いつも頻繁に話をさせてもらっていますが、今後のことや考えていることを聞かせてください。
山内:最終目標は、先ほど話にも出た、技術ある縫製者さんを会社として迎え入れることなんです。
長年考えているのですが、全て自社生産するというのを目標にしていますので、今はそこに向かっているところです。
それが私が今やっていっている一番のモチベーションというのはあれですけど、それがすごく目標です。
先ほども話をしましたが、日本は行くとこまで行ってるんじゃないかと思います。
短期的な利益ばかりを優先してしまい、長くやっていくチームというものがなくなっている。
このままでは収拾がつかなくなってしまうんじゃないかと思っています。
「今だけ・金だけ・自分だけ」って言葉あるじゃないですか。
そういう考え方が当たり前になってしまっているんじゃないでしょうか。
その人が年収いくら稼いでいるかで評価されているように感じます。
周りの人を食いつぶす商売の考え方では長くやっていけないと思います。
そのために、私は目先の考え方ではなく、国内でどうやってやり続けていけるのかっていうのを考えているのと、長く一緒にやっていけるチームでものづくりをやっていきたいと思っています。
福田:先日もその話をさせてもらいましたが、僕も自分の原点は山内さんにあり、頻繁にこういった話をしていますし、これからも一緒になってやっていきたいと思っています。
それでは、長い時間ありがとうございました。
山内:ありがとうございました。宜しくお願いします。