un/unbient
アン
2020SSシーズン、最初はこのコートから。
ウールとコットンのウェザークロス。
馬布のようにガサッとした芯のある硬さが特徴的な生地。
ただ、そこにはウールも入っている分、特有の毛羽立ち。 身幅も分量をとっているし、アームも太い。 いかにも古びたような雰囲気が漂っているアトリエコート。
完成後にウォッシュがかけられて、よりそのオールドな雰囲気が一層深まっている。
色はネイビー。
限りなく黒に見える。
ただ、よくよく目を凝らすとネイビー。
でも、褪せて白っぽくなり始めたような、あの黒の質感にすごく似ている。
ディテールはいたってシンプル。 腰にパッチポケットが二つのみ。 フロントのボタンは比翼仕様で、ボタンを閉じればこのコートの個性を決定づけるのは、深みのある生地と分量のたっぷりしたパターン。
でも、そこがこのコートの醍醐味。
先述の通り、コートが完成後に洗いをかけている分、一着一着に特有のシワが入る。 そのシワとこの素材の良さが組み合わさり、非常にポテンシャルの高さを感じる。
ほとんど黒だけど、ところどころ顔を覗かせるネイビーのカラーリング。
そして感じられる毛羽立ち。
繰り返し着て、よく擦れる部分から毛羽がとれていき、更に白くなっていく。
毛羽立ちがなくなっていった箇所から、よりワンランク上の変貌が始まっていく。 その姿を容易に想像させる潜在能力を持ち得たこの生地。
裏は半裏の仕様で、袖部分も肘下までの裏地。
袖口にはボタンも付属しないから、軽く着たときに袖を捲っても良いでしょう。
そういうあたかも作業用の洋服のような着方が似合うと思う。
ただ、ラフに着るのが相応しいコートなんだけど、つくりはラフではない。
un/unbientというブランドに必要な要素は欠くことなくつくりあげられてる。
例えば、裏地の処理。 こういう裏付きのものは大体裏地の端が表地とくっついてるんだけど、これは半裏だし、袖裏も肘下までだから、ループで留め付けられてる。 裏が半分の仕様だし、裏地が体の動きに合わせて動き、服自体に負荷がかからないようにする仕組み。
あとは、変わらずボタンホールのかがり目の細やかさや丁寧な処理は健在。
腰には大きなパチポケ。
今はまだ寒いから、質の良いセーターや多少やれたスウェットの上から着るのが良いかな。暖かくなってきたら、Tシャツの上からまるでシャツかのように袖を捲くって着るのがお勧め。
で、着るときは最初はとにかく何も考えずに着るのが良いと思いますよ。 まるで新品のリジッドのジーパンみたいな感覚で。
とりあえずは今から春まで楽しんで、次の秋にできるだけ風貌を変えてあげられるように頑張りましょう。
もちろん、ときどきは水通しもしてあげて。 まだまだ新品の硬さはあるけど、でも、こういうの好きな人にはその伸びしろの豊富さがムンムンに感じてもらえると思います。 雨が降れば積極的に打たれて、ポケットには物を詰め込んで、最初は多少の負荷をかけてあげるくらいで良いでしょう。 それもこのアトリエコートの楽しみ方の一つかな。
好きな人は見てみてください。