今日は、当店では、久しぶりインスタグラムでのインスタライブをスタッフの野口と竹本の2人にやってもらいましたが、ご覧頂けた方がいましたらありがとうございました。
少し長時間にはなってしまいましたが、楽しんでもらえた方がいたら嬉しいです。
今日は、The CLASIKを紹介しますね。
The CLASIKもここに書くのは少し久しぶりなんですけどね、今回はブランドでも最近の中では、最も"手"を入れた仕様のものをつくってると思う。
ダブルのジャケットです。
The CLASIK
DOUBLE BREASTED BLAZER
face material _ WOOL 100%
lining material _ CUPRO 100%
color _ FOX TWEED GLEN CHECK
size _ 46,48
これ。 2020年の春夏だったかな?
いや、19年か?
ブランドデビュー。
僕もThe CLASIKの田中さんに出会ったのは、そのデビューコレクション展示会が初めてだったのですが、その時には、全てアウターだけだった。
アウター10型のみのコレクションだった。 春夏なのに。
ただ、そのどれもがハイレベルだったんですよ。
今では、トータルでコレクションラインナップは展開されてるけど、やはりファーストシーズンは、ブランドの礎を感じたんですよ。
いわゆる、分かりやすく言うと、The CLASIKの田中さんが表現しようとしてることがとても明確に伝わってきたの。
それでね、今回のジャケットは、その時のマインドが、より濃厚に僕の中でフラッシュバックしてきた。
そういうジャケット。
衿先が尖ったピークドラペル。
そして、パッチポケット。
これは、前合わせがダブルのジャケットでは、とても珍しい組み合わせなの。
通常は、ピークドラペルタイプの衿型でダブルのジャケットは、ウエストのシェイプもかなり利いてるし、ポケットもフラップ付きの両玉or片玉縁が王道のクラシカル。
でも、今回のThe CLASIKのはそういうのじゃないの。
ヨーロッパの特にイギリスの伝統的な洋服ディテールにとても精通してる、The CLASIKの田中さんだけど、その古くからの洋服を単純にリプロしてる感じじゃないんですよ。
それも、かなりのハイレベルで。
そこがね、今回のDOUBLE BREASTED BLAZERにはすごく感じるの。
で、このジャケット、The CLASIKもテーラーさんではないから、そこのベクトルではないんだけど、とてもよく考えられてる。
ジャケットという洋服の重要な部分、それは、"内蔵物"が大きな鍵を握ってると思ってる。
もちろん、表地やパターンワーク、縫製も重要なんだけど、でも"将来的"なことも見据えた上で、着心地を左右してくるから。
"内蔵物" = "芯地" 芯地というのは、全ての洋服の見えない内側に必ず入ってると思ってもらえたら良いです。
Tシャツでも入ってるものあるし、洋服としての形状、性能を維持するために必要なもの。
まず、これには、肩パッドが入っていません。
その代わりに、肩に乗る部分の内側には、"毛芯"を入れてる。
毛芯っていうのは、ウールや獣毛などを使った織り生地を"芯地"として使ったもの。
だから、着た時に"肩"が強調されず、馴染みの良い見た目になるんですが、しっかりと保形される。
そして、肩のつくりも大事。
これは"袖付け"という要素にもなるんですが、身頃と袖とをつなぎ合わせる"縫い代"。 この縫い代は、内側に隠れますね。
それが、身頃の縫い代は、身頃に。
袖の縫い代は、袖方向に。 それぞれが均等に"割り縫い"。
今では、ジャケットと言いつつも、カバーオールのような"身頃高"のジャケットが多いけど、やはりそれだと軽い印象になっちゃうんですよね。
でも、昔ながらの"袖高"だと時には、硬すぎる。
今回のThe CLASIKのジャケットは、そもそもトラウザーの生産はないため、普段使いのジャケットということを目指されてる。
フォーマル用じゃないの。
だから、これが肩の袖付けが"割り縫い"であることは、かなり好印象なんですよ。
そして、このジャケットは、前身頃や必要な箇所に全て"毛芯"を内蔵させてる。
これが毛芯ではなく、生産の都合の良い"接着芯"を使うと、表地と芯地が接着剤でくっついたまんま。
それはそれで、生産効率は上がるけど、"毛芯"というのは、表地と芯地(毛芯)それぞれが分離して独立した状態。
だから、それが着続けることによって、徐々に生地同士が擦れ、着用者の体にピッタリなように一体になってくる。
そして、更にそれが柔らかくなってくる。
これが"着馴染み"ということ。
もうこうなるとパラダイス。
新品よりも使い続けたものの方が着心地が柔らかで、心地いい。
フィットも増すし、もう脱げない。
そういう、"将来性"がとても高いジャケットなんですよ。
袖口には、ボタンもホールも、開きもありません。
理由は、ここを本切羽にしてしまうと、あたかもテーラーメイドみたいな感じになっちゃうから。
これは田中さんのバランスのとり方。
ラペルの上衿にはクラシカルなウール生地が貼られてる。
そして、表地。
これは、イギリスのFOX BROTHERSのツイードですね。
近くで見ると、ネイビーやグレー、カーキ、ブラックなどの複数の先染めウール糸が使われてる。
そのグレンチェック。
表地のタッチとしては、FOX BROTHERSのツイードということもあり、オールドブリティッシュなニュアンスもあるので、しっかりと硬さのある生地ですね。
だから、毛芯使いということも含めて、まずは3年間ほどは、とにかく着続けて、この"硬さ"をとるプロセスが必要になるかも。
まあ、そういうこともきちんとしたジャケットならではの必要工程ですよ。
昔の偉人の言葉で、 "ツイードのジャケットはポケットに石を詰めて、軒先に干す。
それで、長い年月を雨風に晒されて、クタクタになった頃が着始めるタイミングだ。"
って言ってたのを見たことがあるから。
だから、これはまずは、とにかく着て使うことが重要ですね。
そうしてたら、少しずつ少しずつ、自分のものになっていくから。
それで、気付いた頃には、一体化。
そういうスローな洋服との付き合い方も良いものですよね。
バックは、サイドベンツです。
裏は、背抜きですね。 総裏ではありません。 縫製に力を入れた証です。
The CLASIKネームの下には、FOX TWEEDのネーム。
見返しのボタン裏にも水牛の力ボタン配置。
この見返しをめくると、、、
毛芯が登場。 毛芯の縫い付けは、ミシン付けになるのかな?
これが手縫いだとプライスが超跳ね上がっちゃうから。
それでも、余白がしっかりとある芯地の取り付けは、この先への恩恵が大きい。
腰ポケットのパッチポケットは丸い形状です。
この手のジャケットなので、カジュアルには寄らないように、ポケット抑えのステッチは入りません。
ポケット内側には別布内蔵。
ポケット生地端の処理もきちんとオーバーロックがかかってますね。
先述の通り、袖開きはないのですが、袖口のこの幅分。
指で示してる範囲くらい。
この部分にも毛芯を入れてるみたい。
こうすると袖口の柔らかい膨らみと、保形が生まれるとThe CLASIKの田中さんが言ってた。
袖裏は、キュプラです。
ツイードですからね。
生地そのものの厚みも結構ある。
本水牛ボタン。
しっかり厚みが健在。
手付けの安心感も健在。
ポケット袋布の処理や、糸ループ、毛芯など、時間をかけて一着をつくってるのがとても目に見える内側の箇所。
こう持ってみるとね、毛芯だけだけど、しっかりと保形されてるのがよく分かる。
そうそう、毛芯は後身頃側には入っていません。
毛芯仕立ての場合は、後身頃の肩周りにも入れることが中心なんですが、保形しつつも、硬すぎる見た目は避けるために設計されてる。
これ、着た感じ。
身長174cmで体重忘れたけど、細身の竹本が着てます。
ダブルだけど、シェイプを強く入れてない分、身幅の余白がとても効果的。
こうね、ボクシーなアウトライン。
洋服として、昔ながらの古き良きムードも残りながら、デザイン性があったり、カジュアルなパンツと相性が良いように設計されてる。
そう言った見た目の部分でも、すごく良いバランスが取れてると思いますよ。
今はね、いろんなジャケットがあるけど、これも見てみてください。
The CLASIKのこのジャケットにしかないものが、きっと感じてもらえると思ってる。