最高の素材を挙げるのであれば、必ずその一つに入るシルク。
繊維断面が三角形をしている特殊な繊維で、光学の分野でも論じられるプリズム効果を持ち、他の素材を圧倒するような光沢を持つ素材。
そこには、加えて肌への極上のタッチという全人類共通のメリットがあるんだけど、それはシルク繊維そのものが持つ、フィブロインというもので構成されてるから。
タンパク質でできているフィブロインは、滑らかでしなやかな性質で他の繊維では持ち合わせない絶対的な存在なのよ。
皮膚へ優しく、着ることによって全季節に対応してくれる超絶繊維。
でも、今回は更に一線を画す、シルク生地。
まあ、生地のことについては前のブログを見てくれたらそれで良いんだけど、 最もその生地に適した洋服をつくりましたよ。 お待ちかね。
僕のいうなれば原点とでもいう人であり、この人となら素晴らしいものがつくれると確信していた。
「山内」 その生地が最も映え、相応しい縫製クオリティ、パターンクオリティを有するシルクシャツ。
これまで当店で展開してきた山内のシャツは、衿がないものがほとんどだったけど、今回は特別版。
枯れて灰が混ざったようなピンクのカラーリングに、確実に感じる凄み。
シルクらしからぬ明白な厚みで、そこにペラっとした軽薄さは皆無。 表層的ではなく、ミクロレベルで深層から放たれる光沢。
そして、細かく精緻でインテリジェンスな佇まいに共鳴するような僅かなシルクのネップ。
これみよがしなギラギラな世界ではないけれども、洋服を纏う人間としてはこれこそが至極のラグジュアリー。
付属するボタンさえも、分かりやすく煌びやかな世界とは無縁だけど、一級品の本茶蝶貝。
貝ボタンの中でも、よりグレードがアップする本蝶貝。
その中でも今回のは、深みのあるブラウンの希少種を。
袖は山内クオリティの二枚袖。
ハンガーから輪郭を保ちながら下へ流れ落ちるアウトライン。
そして、少し特殊なのが縦に筋状に入る折れたような線。 このシワは一着ずつの個体差があるのですが、染色の段階で特別な工程を経るためにできるもの。
写真じゃ伝わらないけど、この折れたシワとところどころに現れるシルクのネップが特異な佇まいを醸し出してくれてる。 やはりこれだけのシルクですからね。
あと、箇所箇所のステッチワークの細かさはやっぱり目で追いたくなるほどだし、背筋が伸びるような凛とした空気が流れてる。
このシャツとどのように付き合うかで表情は全然変わってくると思いますよ。 色が色だから太陽や土が似合うし、何も考えずに袖を通していくのがベストですかね。
Tシャツか白いランニングの上にバサッと羽織り、灼熱の太陽に打たれたら腰に巻く。 汚れたら洗濯してこのテクスチャーの進化を存分に楽しんで。
一先ず僕は洗ってみましょうかね。 洗濯表記は念のためクリーニングにしてるけど、興味が湧いて仕方ないから己の性と向き合うこととします。
発売までにまた紹介しますね。洗ったやつ。
ちなみにこちらは、1月2日(木)より店頭にて発売します。
日本でも指折りの機屋さんが所有するデッドストックの僅かなストック全部使い。 二度とは出会えないシャツができたと思います。
またお話させてください。 お楽しみに。