予定しておりましたイベント、一週間の延期となってしまい、楽しみにして頂いている方には、申し訳ありませんでした。
2年以上の時間をかけて実現した今回のことですので、万全の状態をつくって皆様にご覧頂くことが必要と思っておりましたため、延期致しました。
そして、事前にお知らせする紹介も一時ストップしておりましたので、今日は、前回までの続きを。
nonnotte × カネタ織物 × ファッションいずみ × CASANOVA&CO
"綾織り Drape Twill -Suvin Gold Supreme-"
Suvin Gold Supremeの"綾織りVer"を紹介しますね。
前回、紹介した、、、
"平織り Clear Heavy Broad -Suvin Gold Supreme-"
こちらの生地は、超高級原料の魅力をそのままに活かし、"素材本来の味をお楽しみください。"というもの。
対して、今日のものは、カネタ織物さんが
「素晴らしい原料を、しっかりと味付けして最高の味で召し上がれ」と表現する生地。
そして、以前のブログでも触れましたが、綾織りの洋服は、
・Two Sides of The Same Coat
・Two Sides of The Same Wide Trousers
という、
"two sides of the same coin =表裏一体"
を表現しているように、
どちらもが"二重仕様"です。
着用したら、ずっと着続けていたくなるほどの着用感。
心地良く着ることができる季節になれば、いつも身体が求めてしまうような肌あたりですよ。
あとは、まあ、このような"二重仕様"の洋服は、nonnotteの杉原さんが言うには、安い原料や生地を使い、今回の洋服のような二重仕様にした場合だと、生地同士が"毛羽立ち"によってくっついてしまい、洋服としては成立することができないそうです。
だから、このような"二重仕様"の構造は、関わった我々の自信の現れだと思ってください。
そして、"Drape Twill -Suvin Gold Supreme-"と名付けた綾織りVerは、信じられないような
"輝き"・"落ち感"・"肌あたり"の出来栄え。
二重にしていることで耐久力の安心感も確保でき、この生地を"超次元に活かすことができる洋服"を杉原さんと生み出しました。
紹介しますね。
nonnotte × カネタ織物 × ファッションいずみ × CASANOVA&CO
<Drape Twill -Suvin Gold Supreme->
Two Sides of The Same Coat
material _ Suvin Gold Supreme 100%
color _ Amphora
size _ SM,ML
こちら。
杉原さんのドレーピングテクニックが溢れ出るコート。
ちなみに、前置きとして、、、ディテールが分かることを最優先して撮影した写真ですので、生地の良さが全然出ていません。笑
実物は、今日の写真とは別格のレベルと思ってもらえたら良いですよ。
まず、コートは、"Drape Twill -Suvin Gold Supreme-"という生地の魅力、このことが最高潮に活かされることを大事に考えて、杉原さんがむちゃくちゃ向き合って設計をしてくれました。
だから、生地の動き、迫力を凄まじく感じてもらえる仕上がりです。
そして、細かい点を含めて考えると、僕は、日本人デザイナーが形づくることができる範疇を大きく超えた"驚異の理論"が詰まっていると感じています。
日本人というのは、何事もそうだけど、どうしても決められた範囲の枠組みの中で物事を考えてしまうことが一般的。
それは、洋服をつくるプロセス、設計方法でも同じようなことが言えると思う。
だから、コートといえば、世の中に存在する一般的なドメスティックブランドのものは、その多くが近いルーツのものから来てる。
でも、これは、そういう枠組みを大きく飛び越えることができてると思う。
それは、杉原さんが長年築いてきた"ゼロからのドレーピング"を駆使して、何度も何度も目指す形にトライしてくれたから。
加えて、縫製仕様は、ファッションいずみさんがかなりハードルが高い仕様を見事にクリアし、カネタ織物さんの生地と杉原さんの設計とを一つにしてくれました。
そういう驚愕コート。
誰もが着ることができる洋服ではないかもしれませんが、 数多くない生産数を、気に入って頂ける方々を想像しながら、時間をかけて形にしたものです。
まず、ボタンは、フロントの見える箇所に3つ。
位置としては、コートのバランスから考えるとかなり高い位置に取り付けてる。
まあ、フロントのボタンを3つ全部留めることはないと思いますが。
ボタン留めの位置をここまで高くしたのは、仮にボタンを留めた状態で着用をしても、ドレーピングで分量をとった生地の多くを固定させてしまわないため。
前から見たときに、この生地の分量をストンと落とすことを考えたボタン位置です。
そして、ステッチワークは、コートの縫製箇所は、ほとんどが生地端の"コバステッチ"。
ボタンは、以前にお伝えした通り、水牛の骨を半分焼いたもの。
平織りの生地は、無染色のSuvin Gold Supremeということで、このボタンはすごく馴染みが良いように思います。
対して、綾織りの方は、Amphoraという"古代の陶器の色"とのコントラストが利いてると思っています。
これに関しては、好みが分かれると思いますが、ボタンのニュアンスも強く出したいと思い、水牛の骨を焼いたものを取り付けてる。
ボタンは、フロントのネックの箇所に全部で5つ。
設計としては、深い前合わせのダブルでも、またシングルとして留められるようにしています。
ただ、やはりコートのムードを活かすのは、ボタンは留めずに着るのがベスト。
バサッと羽織るだけみたいな。
生地の輝きと、ファッションいずみさんのコバステッチがとても活きてる後ろ姿。
衿、前後の身頃の切り替え、アームホール。
そして、背中心の割り縫い抑えのステッチ。
Suvin Gold Supreme原料を"最高の味付け"をしたというカネタ織物さんの生地の凄み。
そして、ファッションいずみさんの狂いのないピッチの縫製によるエッジ。
この組み合わせの美しさはハンパない。
実物の方が圧倒的に出来上がりの良さを感じてもらえると思いますけどね。
誰もが触ったことのない強烈過ぎる"Suvin Gold Supreme"のタッチに度肝を抜いて頂けると思いますよ。
凄まじい生地ですから。
マジで、やばい。これは。
そして、袖。
袖口もファッションいずみさんが最も得意とする"シャツ縫製"の技術を活かしたコバステッチ。
もちろん、身頃だけではなく、袖も"二重仕様"なのですが、僕は、このコートを春夏の季節には、"シャツ"のような感覚でも着たいと思ったんですよね。
さっきも言ったけど、バサッと羽織る感じで。
だから、そういう季節には、シャツのように袖口をテキトーに折って、袖を捲って着ることも考えてる。
そのように着ることも構想していたので、袖口にもボタンやアジャストストラップなどは一切付属させていません。
あまりにも、THE コートみたいな感じにはしたくなかった。
あとはね、実はこの"袖"そのものにも"杉原マジック"が隠されてる。
今回、コートを形づくる上で、僕は杉原さんにお願いしていたことがあるのですが、その一つが"アームホール"を小さく設計すること。
その理由は、僕は、分量のある身幅に対して、細いアームホールが好きなんですよ。
もちろん、真冬のコートであれば、インナーを数多く着ることも考えてアームホールを大きめにつくるのは必然。
でも、今回のコートだと、真冬には対応してるつもりはありません。
大きいアームホールだと、僕は、単純にブカブカの袖に見えることがあんまり得意じゃない。
だから、アームホールを、"身頃の分量に対して小さく"つくってもらうことを意識してもらった。
そしたらね、杉原さんが、nonnotte史上、一番アームホールが小さいって言ってました。笑
それくらいの寸法のアームホールですが、不自然な感じとか、極端に小さいアームホールではないので、ご安心ください。
その上で、アーム。
"袖そのもの"。
アームホールは、上記の通り、コンパクトな構造でお願いしたのですが、袖そのものは、細い設計ではないの。
これ、むちゃくちゃ重要なことなんですが、、、
アームホールは、コートの分量と比べて小さい設計なのに、袖そのものは、適度にボリュームがある。
杉原さんの生み出す袖のフォルムは、とても美しいから。
更に、上の写真を見てもらえると分かると思うのですが、写真の右側が前身頃側。
少しだけ、袖が前に自然に流れてる、前に振られてるのが分かると思います。
この仕様は、通常は、"二枚袖"で実現する構造です。
でもね、このコート。
"一枚袖"なんです。
二枚袖、つまりは、二枚のパーツをつなぎ合わせて、前振りの袖をつくることが、通例。
ただ、今回のこのコートは、一枚の生地パーツ(厳密には、裏地も同じ生地がついているので、二枚の生地が重なっています)をそのまま筒状にしてる。
通常、一枚袖の袖の形状は、身頃の脇に沿って、そのまま真っ直ぐズドンと下に直線に落ちることがほとんど。
しかしながら、杉原さんは、"小さいアームホール"から、"袖の分量の膨らみ"を出し、その上、"自然に前に袖が振れる"構造をドレーピングで形にしてくれた。
これすごい。
更にね、このコート、
もう一回見て。
"脇線"という身頃脇のシームが存在しないの。
脇線が存在しない構造で、一枚袖で袖の分量を出しながら、アームのフォルムをつくってる。
通常、脇線を入れることができれば、その続きで、二枚袖にもしやすくなる。
だけど、このコートは、Suvin Gold Supremeの生地をとにかく邪魔しないことを最優先に考えた。杉原さんが。
だから、脇線も存在しない中で、素晴らしい袖のボリューム、フォルムを生み出してくれたの。
でも、でも、でも、
全然それだけじゃない。
ヤバいのはここから。更に飛躍する。
これは、後身頃の中心。
背中心には、切り替えが入ります。
背中心には、切り替えのシーム。でも、脇にはそのようなシームは入らない。
つまり、左右の身頃は、それぞれ一枚ずつの続きの生地で構成されてるの。
でもね、、、
もう一度見てください。
前。
後ろ。
生地の分量、ドレープの出方が前と後ろで、全く別物。
"脇に切り替え"を設けることなく、この前後の違い。
この理由、、、
よく見てください。。。
前の身頃の生地を拡大すると、生地の方向、"地の目"が真っ直ぐ。
対して、、、
こちらは、後ろの背中心の生地の拡大。
分かりますかね??
フロントは、生地の目が真っ直ぐ。
しかし、後ろは、生地が"バイアス使い(斜め45度)"。
しかも、切り替えることなく"続いた一枚の状態"で。
この"後ろをバイアス使い"することで、ただでさえ流れ落ちるような"Suvin Gold Supremeの綾織り生地"のドレープを、より一層のウルトラエゲツないレベルにまで引き上げてるの。
これ。
これだけの流れる生地のドレープは、バイアスに生地の目を設計することで生み出される。
これが通常の、縦方向の地の目だったら、ここまでには絶対にならない。
そして、今回は、後身頃には、ボタンで取り外し可能な共地のベルト付き。
このベルトは、機能のためのベルトではなく、後身頃のドレープを集約させ、"魅せるドレープ"をつくるためのベルト。
このように取り外してもオーケー。
ベルトを付けるとドレープが一気に後身頃に集中し、
ベルトを外すと、
"全面にSuvin Gold Supremeが流れ出す"、圧巻のAラインのフォルム。
このように、前身頃は真っ直ぐの縦方向の地の目でありながら、脇線を設けずに、後身頃をバイアス使いする構造は、プログラミングや平面設計でのパターンでは、確実に不可能なことです。
杉原さんは、"ドレーピングテクニック"を用いて、自分の目と手で、一つずつ立体物をつくるように洋服を組み上げる。
生地の方向をセオリー通りに意識する洋服づくりでは、決して生み出せない洋服。
これが、まさに絶叫するようなコートのムードを醸し出してる。
そして、僕の中では、コートのこのフォルムがあるから、この"Amphora"という色合いが存在するんですよ。
今回のこの洋服をつくりあげていく時間軸で言えば、杉原さんがコートのドレーピングに取り組んでくれているタイミングと、生地の色を決定するタイミングが重なっていた。
僕は、その時、杉原さんがつくっている真っ只中のコートを、"頭の中でフル回転で想像"し、その上で、自分が目指す洋服の行き着く先を想像した、ゴール地点のカラーリングを考えてたの。
圧倒的なSuvin Gold Supremeの生地が光りを放ち、その驚異的な陰影を覗かせながら揺らぐ様子。
加えて、僕の中では、このコート、"綺麗に大事に着る"というのは違うの。
フェレイラ・モヘアの生地は、僕は洗わないことをお客様方に推奨してるし、自分でも洗うことはあまり考えていない。
ただ、このSuvin Gold Supremeの生地は、4種類の洋服、全てを洗うことしか考えてないの。
だから、凄まじいドレープのコートが、繰り返し、繰り返し、洗って使うことで毛羽立ち、それでも消えない光沢を放ち続ける。
甘撚り設計のSuvin Gold Supremeの綾織り生地の"毛羽立ち"と"消えない輝き"。
いつの日にか、そのように繰り返し使い続けられたことで、着古されたこのコートが、アンティークのものに見えるかのような、いかにも現代的ではない、でも、いつの時代につくられたものなのかは全く見当がつかないような、"このコートだけが持つムード"を目指して考えました。
だから、そのためにはこの"Amphora"という色しかなかった。僕の中で。
"絶対的な高級感"とともに、"着古すことが歓迎されるコート"を目指してた。
そういった意味では、新品は綺麗すぎるかもしれないですね。
僕は既に2回洗いました。
手洗いと洗濯機で、1回ずつ。
それはまた写真を撮って掲載するかもしれないですし、しないかもしれない。
もちろん僕のもまだまだ発展途上の、"ひよこコート"です。
店頭では着てるから見てもらえたらと思いますが、着古しても変わらず美しいコートって、本当の意味ではあまり多く存在しないと思う。
特に、"コットン"では。
だから、最強の布陣で、そのことに挑戦したコートです。
そして、裏。
名前の"Two Side of The Same Coat"というように、裏も同じ"Suvin Gold Supreme"の綾織り生地。
洋服を支える芯地は、極力使わず、表側にはほとんど反映されない程度のみ使用しています。
そうすることで、とにかく生地のムードを引き出すことに振り切ってる。
内側には、かなり大きいポケットを配置し、この箇所は"三枚構造"となり、毛芯のような保形にもつなげてる仕様です。
もちろん、全面が"二重構造"。
特に、後身頃は、先述の通り、バイアス使いをした上で、"二重"。
バイアスというのは、縫製にも無茶苦茶なほどに難易度が上がります。
簡単に縫うと、縫い目がビロビロに伸びてしまうから。
更には、実物を触ってもらえたら全員がご理解頂けると思いますが、この生地はとにかく縫いにくい。
そのような"バイアス"・"二重"・"むちゃくちゃ動く生地"という複数の超絶難易度が重なる中で、ファッションいずみさん、見事中の見事にすごい出来栄えで縫い上げてくれました。
これには、チョー感激。
この技術は、凄まじいですよ。
ファッションいずみの水出さんは、今回の4つの洋服の中で、一番コートが大変だったそうです。笑
平織りのパンツは、同じ二重ながらも、ウエストと裾で一緒に縫い付ける仕様にしていましたが、綾織りの方は、裾は縫い付けないフラシ仕様にしています。
その理由は、揺れ動く生地のドレープを最大に出すため。
ちなみに、裏の力ボタンまで、水牛ボーンを焼いてるものを使用。
途轍もなく縫製をするハードルが高いコートを、裏のどこをどう見てもとても綺麗に縫い上げてくれてる。
実際にご覧頂ける方々は、是非ひっくり返して見てみて。
こうね、細かいシワもすごく似合う生地だと思いますよ。
僕も洗い晒しにしてますが、そうやって使うことが、とても良く似合う洋服が出来上がってると思っています。
そして、、、
最後。
nonnotte × カネタ織物 × ファッションいずみ × CASANOVA&CO
<Drape Twill -Suvin Gold Supreme->
Two Sides of The Same Wide Trousers
material _ Suvin Gold Supreme 100%
color _ Amphora
size _ S,M,L
こちら。
コートと同じ、綾織りSuvin Gold Supremeのワイドパンツ。
コートは2サイズですが、こちらのパンツは、3サイズでのバリエーションです。
僕は、日頃あまりワイドパンツというのは穿かないんですが、自分のようなタイプの方が穿け、その上で、コートと同様に生地のドレープを引き立たせることができるように目指したパンツです。
印象はだいぶ違うけど、イメージとしては、ちょうど1年前に販売をした山内のフェレイラ・モヘアのパンツがあるのですが、その時のパンツのフォルムと遠くないと思います。
ただ、その中でも"杉原マジック"がかかってる。
ここ。
後身頃。
ウエスト帯から、玉縁ポケットを貫き、その下でタックに変わるディテール。
平織りのパンツと共通する事項でもあるけど、こちらのパンツの方がオーセンティックに設計してるから、方向性としては近いけど、違います。
メンズのパンツというのは、通常、腰位置にダーツが2本入る。
それが、腰からバックの玉縁ポケットまでの"短い距離"で入っているものばかりだと思います。
僕は、それでお尻の丸みを出していると認識していたけど、それは間違いではない。
ただ、人間の腰からお尻までの"膨らみ"を"あの短い距離のダーツ"だけでは、丸みをカバーすることはできないそうです。
でも、メンズの洋服は"伝統の範囲内"でデザインされることばかりだから、洋服を製作する人のほとんどの方は、そこを疑うことをしなくなった。
だから、大体のメンズのパンツは、同じような箇所に同じような距離の、同じようなダーツがいつも入ってる。
しかしながら、今回は、そこを杉原さんと疑ってかかったの。
本当にそれが正しいのか。と。
そしたら、杉原さんの答えは、ノーだった。
では、真に"腰からお尻にかけての膨らみ"を、100%カバーできるような仕様にするのにはどうすべきか。
そこで、きちんと意味があるディテールがこれ。
本来、玉縁ポケットの箇所で、何事もなかったかのように消失するダーツも、ポケットを貫き、そして、最後はタックで丸みを解放する。
こうすることで、きちんとしたお尻の膨らみをカバーし、更には、ヒップラインが露わにならないようなアウトラインを描いてくれる構造。
しかも、、、、
それを、、、、
パンツの"アウトサイドシームなし"で実現したの。
このパンツ、かなり革新的だと思う。
むちゃくちゃ"杉原マジック"がかかってる。
フロント。
こちらもウエストにゴムを入れてますね。
こちらのパンツにゴムを入れなくても良かったんですけどね、、、
ただ、この生地を触ってもらえるとみんな納得してくれると思います。
この生地のパンツは、永久的に穿き続けていたいと思うはず。
だから、気持ちの上でもイージーに穿けるように、いっそのことゴムにしました。
でも、ちゃんと穿く時には、ベルトもできるようにベルトループは完備してます。
ちなみに、nonnotte史上、初めてのインタック仕様のトラウザーです。
トップボタンは、これまでの洋服同様のボタン。
ファスナーはエクセラです。
フロントの前開きのステッチは、杉原さんがドレープのある素材でパンツをつくるときに施す、途中でステッチが消える仕様です。
これにより、股の部分が硬くならず、前の部分に"面"をつくりだし、足のラインが露出しないことを実現してるディテールです。
そして、バックポケット。
これはとても思いやりのある仕様です。
バックの片玉縁ポケットの口が重力に負けて、開いてしまうことがないように、水牛ボーン半焼きボタンを取り付け、ループで固定する。
我々、よく考えてると思いますよ。まあ、この仕様を考えたのは杉原さんで、出来上がるまで僕は知らなかったけど。笑
裾。
アウトシームは、先述の通りありません。
インシームは、割り伏せ縫いです。
そして、パンツの裾も三つ折り、生地端から5mmのステッチ。
この裾の仕様は、着用時にめちゃくちゃ恩恵があるから、それは着用写真をご覧頂けたら察知してもらえると思う。
ちなみに、このパンツは、裾で生地が溜まり、クッションができることを狙ってつくっています。
そのため、レングスは長め。
しかも、SからLで超変則ピッチ。
総丈が、SとLで12cmも違います。笑
SとMで3cmの差で、この幅は通常通りだけど、MからLで大幅に伸びる。笑
ですので、身長が高い方を大歓迎します。
だから、このパンツを選んで頂ける方によっては、裾上げが必要だと思うのですが、今回の裾上げは、全て実際に商品を縫ってくれたファッションいずみさんにお願いをする予定です。
商品のレングスが長い方でも、しっかりと良いレングスで、バッチリの仕様で着用してもらえると思いますので、安心してください。
裏。
こちらも"二重"です。
これ、ホンッッッと、超絶的な気持ち良さ。
シルク100%のパンツだったら、この手のものは穿いた瞬間には冷たく感じるけど、これは穿いたその瞬間からパラダイス。
そして、体温が浸透すると、もはや何も感じない。笑
スッポンポンのような解放感。
内側の裏もちゃんとタックが入ってる。
裾は、こちらも縫い付けられていないフラシ仕様。
綾織りのトラウザーも極限ドレープを目指した設計です。
そして、肌にあたる面のシームもフラット構造。
裏の裏をめくるとこの仕様。
割り伏せ縫いが、互いに向き合ってる仕様です。
とても美しい生地と縫製の"Two Side of The Same Wide Trousers"。
一週間の延期をしてしまい、洋服の紹介も日が空いてしまい大変恐縮ではありますが、先に紹介している"無染色平織り"タイプと合わせて、以上の4種類の洋服です。
その全てが杉原さんと"Suvin Gold Supreme"の生地をどう活かすかということを、何度も何度も何度も時間をかけて話し合いました。
お互いにピンと来ない時もあったので、その時には話すことを一時中断してみたりしたこともありました。
でも、杉原さんは、超がつくほど忙しい中、寝る間も惜しんで、今回の洋服の設計に取り組んでくれました。
僕は、店頭にお越し頂ける方々にはよく話をしていますが、これだけ実力があり、その上、これだけ人間として優しく、強く、人を思いやれるようなデザイナーは、他にいないんじゃないかと思うような人です。
僕は、心の底から杉原さんのつくる洋服が好きだし、杉原さんがやってる洋服づくりは、絶対に、間違うことなく、正しく、世の中に伝わっていくべきだと思っています。
2年以上前にスタートし、僕たちがずっと連絡を取り合って、東京でも頻繁に会い、話し合って出来上がった洋服です。
皆様が好きか嫌いかはさておき、一般的な洋服ではないけど、自分たちの心がある洋服をつくろうと思い続けてきました。
販売は、12月16日(土)からです。
初日の16日(土)は一日中、翌日の17日(日)は夕方までかな。
nonnotteの杉原さん、カネタ織物の太田さん、ファッションいずみの水出さん。
この洋服づくりに関わってくれた方々、皆さんが当店に在店をしてくれます。
価格は、最後に発表しますが、ご検討頂ける方々は、当日を楽しみにしていてもらえたら嬉しいです。
続く。