久しぶりにブログを書きますね。
それこそ、今年に入ってからは色々と慌ただしくしてしまっていたり、この間も海外出張に行ったりして10日以上店にいなかったから、なかなか書けなかったんですよ。
海外はいわゆるパリですね。
この時期なので、今回は前回よりも日本のバイヤーさんは行ってる人が多かったみたいです。
まあ、僕は泊まったところも日本人があまり泊まらない地域だったみたいで、ほぼ日本人バイヤーには会わなかったんですけどね。
今回は、豊作ですよ。豊作。
期待してもらって良いと思いますよ。まあ、まだまだ先なんですけどね。
あと、パリのアポイントが終わった後は、ロンドンのIsabella Stefanelliのアトリエに行きました。
それについては、またこのブログで書くつもりではいるんですけどね。
日本の店舗がイザベラさんのアトリエに行ったのは、初めてのことだったみたいですが、世界の一つの頂上でもあるデザイナーの製作現場に行けたことは、自分にとって、とても良かったと思ってる。
あと、そうそう。
当店でも取り扱いをしているIRENISAですが、ご存知の方もいるかもしれませんが、23年の春夏シーズンは、既にスタートしてるんですが、そのタイミングでは僕自身もパリにいたのと、IRENISAのデザイナー二人もパリにいたんですよ。
当店では、これまで続けてデザイナー二人が在店するイベントを行ってきたので、今回もその予定です。
だから、当店では、IRENISAはまだスタートしていません。
予定では、今月の中頃の18日(土)に、デザイナー二人が在店のもとスタートするので、お好きな方は楽しみにしておいてください。
そして、今日は、MOTHER HAND artisanのニットを紹介しますね。
ニットとはいうけど、秋冬のウォーム感のあるセーターとは違います。
どちらかというと、カットソーに寄ったような感覚かな。
使い方的には。
でも、コットンとかのカジュアルなものとは全然違うから。全っっ然。
MOTHER HAND artisanの手横編み機を駆使して、独自理論でのシルク100%のニットです。
これまた秋冬のセーターとは全然違うの。
こっちもヤバいから。
しかも、シルクって言っても、”絹紡糸(けんぼうし)”が100%。
フツーはね、シルク混紡のニットは存在しても、シルク100%でってなると、なかなか製作面のハードルの高さから、でき得るものではないんですけどね。
それも、”絹紡糸100%”というのは、僕はMOTHER HAND artisan以外では見たことない。
圧倒的な着用感と、快適性をお約束しますよ。
紹介しますね。
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MOTHER HAND artisan
HUY
material _ SILK 100%(絹紡糸)
color _ ANDORRA
size _ 3,4,5,6
これ。
まず、そもそもこのニットなのですが、ブランドの秋冬のセーターとは素材が全然違います。
“どっちが”良いとかじゃないの。
“どっちも”ヤバいから。
秋冬シーズンのセーターは、ブランドのメインシーズンでもあり、日本でもメンズ店舗・ウィメンズ店舗合わせて10〜15店舗くらいかな。
はっきり知らないけど。
それくらいで展開されるのが、秋冬のMOTHER HAND artisan。
そして、今回の春夏シーズンとなると、2年前の春夏から始まったものなんですが、MOTHER HAND artisanの永井さんが”シルクが好きそうなお店”に声をかけて展開するシリーズです。
それが、晴れて初めてのシーズンから永井さんに声をかけてもらって、当店でも2年前から展開をしているニットということです。
これまで過去2回は、少しだけ重たいトーンのグレーベースのニットをつくってもらっていたのですが、今回は、当初の2年前からつくってもらいたかった色でお願いしました。
赤っぽく見えるけど、そうじゃないの。
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“ANDORRA”と名付けられてる色。
単色ではなく、赤褐色と、パープルにもブラウンにも見えるような色とが混ざったカラーリング。
そもそも、絹紡糸でのニットですからね、相当お好きな方じゃないと手にしてもらうことはないんじゃないかなと思ってるから、今回の色合いは結構変わった感じにしました。
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これまで過去2回は、絹紡糸特有の繊維の輝きから、鉛のような重たい色での重厚さを出したかったのですが、僕の中で今回のは、”鉄が錆びた”イメージ。
それでいて、”焼けて”いるような。
赤錆びの色のニュアンスで、それでも奥の方から複数の色が折り重なり、複雑に見えることを狙ってた。
そういうカラーリングの奥行きに対して、絹紡糸の、誰もが文句のないほどの繊維の上質さ。
これを掛け合わせたかったんですよ。
絹紡糸シルクならではの、繊維特有の、上の上の上の輝きと質感。
そこに大きく時間が経過したような古びたような色。
これを、漢のお好きな方にお届けしたかったの。
お待たせ。
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まあ、”絹紡糸”については、これまでもブログで同じようなことを何度も書いてきたのですが、、、
シルクは、蚕が口から吐く糸ですね。
それが一定期間ず〜っと吐き続けるので、途切れることがなく、とても長いの。
天然繊維の唯一の”フィラメント” = “長繊維”と言われますね。
1km?くらいだったかな?いや、10kmかな?忘れたけど、かなり長いのよ。
それが、塊になったのが、繭玉ですね。
その繭玉を”煮繭”って言って、煮てほぐす。
それで、一本の長〜〜〜い繊維を取り出すのですが、その後にも加工をするの。
そこから加工をしていないのを、”生糸”。
精錬という加工をしたものが、”絹糸”。
絹糸を短く切って、短く切った繊維を紡績して、強くしたものが、”絹紡糸”。
絹紡糸をつくる時に出てくる、綿(ワタ)を集めて、それを紡績したのが、”絹紡紬糸”。
というような段階がありますね。
大体、ファッションシーンの中では、大半の洋服がシルクと表記してあると、”絹紡紬糸”であることがほぼ。
それでも、かなり良いものをつくってるブランドで、”生糸”や”絹紡糸”を使ってることがある。
でも、それも他の繊維と混紡して使うことの方が多いと思います。
“絹糸”に至っては、洋服には全然向いてないから、見ることはないと思います。
非日常の服向き。
そういうシルクの段階ですが、それぞれに特性がある。
ただ、まあ、やはりシルクという繊維の質感、潜在能力を最高潮に感じられるのが、”生糸”もしくは”絹紡糸”だと思う。
しかしながら、それが100%で使われることは皆無だから、今回のニットは、どんな洋服よりも、”シルクを着る感覚”というのが体感できる。
それには、大きなメリットがたくさんあるの。
まず、肌当たり。
これはシルクそのものがダイレクトに体感できるから、文句ない。
そして、吸湿性。
着てるとあんまり感じにくいかもしれないけど、とにかく快適だ。
ニットの内部を柔らかく保湿・保温してくれるのだ。
呼吸してるし、常に快適。
更に、家で洗っても縮みが起こらない。
これはシルクの特徴だ。
ケアが大変とか、洗えないようなイメージもあるかもしれないが、一切そんなことはない。
これが真実だ。
まあ、洗濯ネットに入れてしまえば、洗濯機にブチ込んでもモーマンタイ。
あと、着てる時に、肌に吸い付くような、超絶優しく寄り添う感じ。
これヤバい。
この心地よさは、MOTHER HAND artisanのこのニットだけだと思う。
僕も2年前に販売したものを今もとても着るが、無茶苦茶に気持ちが良いから。
もう何回も洗ってるし。
ただ、まあ、メリットだらけということではないのですよ。
デメリットに感じられることでは、さっきも言った、
“吸い付くような、肌に寄り添う感じ”
というのが、キーワードなのだが、シルクは、特有の静電気を持つの。
だから、着脱時の、特に、脱ぐときに、静電気がバチバチなることがある。
ですので、ゆっくり脱いで。ゆっくりね。
あと、洗えるのですが、洗って乾いた後に、”ヨレた”ように見えることがあるの。
これは、本当に”ヨレて”はないから、大丈夫なんですが、シルクはもともとシワになりやすい繊維。
だから、繊維の柔らかさもあり、洗濯して乾いた後には、ヨレてしまったかのように見えることもある。
これは、もしかしたら気になる方は気になるかもしれません。
しかしながら、アイロンのスチームや、スチーマーを当てれば一瞬で元通りになります。
僕も最初、永井さんからそう言われてて、一回洗った時には、気になった。
だけど、2回目からはそういうものだって思ったら、何にも感じなくなった。
あと、洗濯して、干すときは、平干しにしてください。
縮みは一切ない繊維だから、臆せず洗濯してくれて良いし、ウルトラヘビーユースしてもらえれば良いんですが、洗濯後の自然乾燥時に、ハンガーで吊って干すと、縦に伸びる可能性が高いので、平干しでお願いしますね。
それ以外は、完璧なニット。
それが、MOTHER HAND artisanの”絹紡糸100%”のニットの特徴です。
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そして、仕様においてはいつも通り、超ハイレベルなMOTHER HAND artisanしてる感じ。
見た目は、ネックも裾も袖口も、リブの切り替えではなく、編み地の特性を利用したカーリング。
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少しネックが首に寄り添う設計のHUYというモデルなのですが、首裏には一切の不快感がない超フラット仕様です。
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後身頃の裾から編み始め、アームホールで目の調整(増し目、減らし目)をし、肩でも編み目を調節し、そのまま前身頃を編み進めるオリジナルパターン。
今回のシルク100%ニットも極限までシームが存在せず、アームホールと左右の身頃の脇のみ。それだけ。
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これが裏。
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脇のシームは、以前の11月に店頭で実演してくれましたが、永井さんがリンキングミシンでクルクルと脇を縫製する。
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そして、アームホールは手縫い。
カーブが多いから。
永井さんの奥さんが一目一目数えながら、編み進め、永井さんがそれをまた一目ずつ数えて、縫っていく。
身頃と袖は、腕を動かすために、目の数が違うから、それを均等に分散させて、腕を不快感なく動かすことができ、それでいてブランドの独自理論で設計したパターンでの肩の丸みを実現するために、見事に手で縫っていく。
一着一着全て。
とても気の遠くなるような作業の繰り返しだ。
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これが肩の構造。
負荷のかかりやすい箇所に編み目が増えたり、減ったりしてる。
分かりにくいけど。
着続けることをとてもよく考えられているニットです。
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ここは、袖の裏。
通常は、内側の袖の部分に縫い目が存在し、シームの膨らみができてしまう。
しかしながら、MOTHER HAND artisanには、それが存在しない。
今回のシルクのニットは、素材が5月頃か6月頃まではとても快適に心地よく着ることができる。
暖かい時期になってくると、必然的にインナーも軽装になるじゃないですか。
もちろん、これを素肌の上から一枚で着てもらっても良いんですが、僕のベストは、OLDE HOMESTEADERのスリーブレスをインナーにして、その上からこのシルクニットを着てもらうこと。
それが超絶良い感じなのよ。
だから、OLDE HOMESTEADERのスリーブレスを持ってる方は、是非そうして。
そうすると、腕にこのニットの袖も当たるじゃないですか。
そこにシルクだけが存在し、シームのゴロつきは皆無。
これ、ちょーパラダイス。
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これ全部裏側の写真です。
想像してみて。
これが、肌に直接当たるんですよ。
とっっっても気持ち良いから。
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そして、先述の通り、洗濯オーケーです。
まあ、手洗いマークにしてあるけど。
洗濯機の場合は、ネットに入れて、中性洗剤でお願いしますね。
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そして、これ。
色はこういう感じです。
身長167cm、52kgで4のサイズを着てる。
自分にとってちょうど良いサイズは、一つ下の3なんですが、僕は4のサイズにしてる。
2年前のもサイズ4です。
理由は、シルクの落ち感がとても出るから、ダラダラに着るのが良いなって思ってる。
その分、大き過ぎるようには見えないと思いますよ。
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まあ、身幅はもともと多少ゆとりはありますね。
170cm中盤から後半くらいの方は、5。
それ以上の方は、6だと思います。
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あんまりこういう色のニュアンスは、通常の日本のブランドだと出せないと思うし、かといって、海外の雰囲気強めのブランドなどになると、ドロドロのダークカラーしかないことが中心。
それ以外は、めっちゃポップな色とか。
だから、結構こういうクオリティで、このような方向性のニットって、そうそうないんじゃないかと思ってる。
世界中見ても、MOTHER HAND artisanのクオリティは一級品だから、お好きな方は、今回の見てみてください。