IRENISA × CASANOVA&CO
先日よりお知らせしているIRENISAとのパンツ。
今回のパンツは、IRENISAの生み出す、アウトシーム側だけではない、インシーム側、つまりは、"内股"の美しさが際立つこと。
それでいて、このパンツを中心として考えた時の服装の組み合わせの上と下。
上=トップス
下=シューズ
そこがどんなボリュームの、どのような見た目のものが組み合わされても、尋常じゃなく対応できうる完成度のバランスを持つパンツを目指しました。
だから、そこを目指している以上、あまりにも極限的にパンツの主張が強いものでもダメ。
反対に、単純に、綺麗で上品なだけでもNG、僕の思う、ある意味で、針の穴を通すようなことにトライしたパンツです。
でも、使い勝手が良いパンツとかっていうことではなくて、しっかりとIRENISAのクオリティが注がれているから、これまで未体験の"感動"をご体感頂けると思っています。
そもそも、ブランドのコンセプトっていうのがあるんですよ。
IRENISAは。
"CHIC WITH SARCASM"
「上品と皮肉」
当店で、IRENISAを取り扱いスタートしたのは、幸いにもブランドデビューのシーズンだった。
例えば、シンプルでミニマルな服装を好む方にも、手持ちのワードローブと馴染むような服でありたい。
反対に、クリエイションが前に前に押し出され、デザイン性の高い、前衛的な洋服を好きな方にも手に取ってもらえる洋服を。
そういう気持ちで洋服をつくっていきたいと思っている。
と伝えられた通り、このIRENISAの洋服の持つ、凄まじい幅の対応能力。
それには、洋服として完成したときには、なかなかパッと見では分かりにくい、深層での素晴らしい洋服づくりのテクニックが満載に込められているから、そういうことが実現できる。
心からそう感じる。
これは、同じように考えたとしても、世界中の誰もができることではないし、ウルトラハイレベルなこと。
だからこそ、日頃は、比較的それぞれがいろんな方向に偏った当店の洋服ラインナップですが、今回のIRENISAのパンツは、サイズさえ間違わなければ、当店史上、これまでにないくらい、全員中の全員に感動してもらえるものが生み出せたと思っています。
これ、僕は既に一ヶ月前くらいから穿いてたんですけどね、本気でそう思ってる。
そりゃあ、まあ、仮にね、スキニーしか穿きません。みたいな方には、違うかもしれませんよ。
あとは、例えば、全くデザイン性がないものが良いんだ。っていうような超人的なノームコアな方にも難しいかも。
でも、そうじゃない方には、このパンツ、己の体を入れた時の完成度の高さ。
ここにしかない、"アウトラインの美しさ"と"クオリティ"、これを体感してみて。
IRENISA × CASANOVA&CO
DOUBLE CENTER PLEATS PANTS
material _ WOOL 79%,MOHAIR 21%
size _ 1,2,3
これ。
IRENISAの2020年秋冬のデビューシーズンから知ってる方は、知ってるパンツのベースかもしれません。
ブランドの中でも、ファーストシーズンと翌シーズンでは、とてもアイコンとして存在したパンツ。
まあ、そういう当店でもデビューシーズンの時は、自分の中でほんの少しだけ、納得できない部分が、僅かにね、僅かにだけあったから取り扱いしてなかったんですが、2回目のシーズンのときには、すごくクオリティが高くなったように思えたから取り扱いしたんですよ。
ブランドでは、そのどちらのシーズンも生地は違えど、"ブラック"のみでの展開だった。
そういう、最初から取り扱いさせてもらっていたブランドだから、その"原点"という意味でも、このDOUBLE CENTER PLEATS PANTSをベースにしたんですよ。
いろんな特徴があるパンツなんですが、絶対に欠かせないのが、やはりその"アウトライン"。
外側はもちろんのこと、内股のアメージングな"線"の描き。
これ激ヤバ。
そして、前身頃、後身頃ともに入った、"二本のセンタープリーツ"。
クラシカルなトラウザーに入る、フロントのセンタープリーツは、"一本じゃなきゃダメなのか"という疑問から、ブランドオリジナルでつくってきたIRENISAの象徴的なディテール。
その二本のセンタープリーツは、前後ともに裾端まで貫いて走る。
そして、動作時には、そのプリーツが開く。
新品の状態では、静と動で異なる顔を見せるって言うと分かりやすいかな。
あと、このプリーツはトワルの段階で、コバステッチで抑えるかどうか、という仕様の悩みもIRENISAの安倍さんとしていたんですよ。
生地がウールモヘアで熱可塑性があるから、コバステッチがなくてもプレスは取れにくい。
ただ、僕の前提は、とにかくヘビーユースすることによってこのパンツのポテンシャルが感じてもらえると思っていたから、絶対にプリーツがとれないようにするため、コバステッチを入れてもらった。
でも、そうすると仕上がり時の縫製面での不安があったのですが、それも見事に解消。
素晴らしい上がりになってる。
パンッと張ったウールモヘアの生地ですからね、ハンギングの状態でもその美しく描くアウトラインの片鱗を感じさせてくれる。
バックの腰回りには、ウエストにしっかりとフィットするように二本のダーツが入るのはもちろん、センタープリーツのたたみがウエスト帯までやってくる。
ウエストは、ベルトループが付きますが、ウエスト帯に両サイドアジャスターが付属。
これにより、10cm以上のウエスト調整ができる。
アジャスターの共地のベルトも、両端が2箇所ずつカンドメで補強されてるから、心置きなく締めてもらってオーケーです。
サイドビュー。
サイドのスラッシュポケットには、ポケット口のステッチは入りません。
ベルトループ、アジャスター、カンドメ、そして、二本のセンタープリーツには、ステッチが入るのですが、これが全部のディテールにステッチが露出すると、かなりカジュアルなジャンルに寄ってしまうんですよ。
でも、露わになるステッチが少なすぎるとスラックスに振りすぎてしまう。
だから、そのバランスを適材適所に見極め、両方のエッセンスを併せ持った縫製仕様での仕上がりにしてる。
更に拡大。
これ、とてもよくできてる。
アジャスター箇所のウエスト帯の切り替え。
これにより、アジャスターを強く締めた時でも、この切り替え箇所のみがスマートに収縮してくれる。
フロントトップボタン。
トップボタンと、左後身頃の両玉縁、内側の天狗を留めるボタンは、どれもIRENISA刻印入りのホーンボタン。
手付けで、ギュンギュンの根巻きだから、とてもしっかり取り付けられていますよ。
ベルトループ。
ベルトループ付けも、とても丁寧に処理がされてる。
上部は、3つ折りでたたまれ、下部は、ウエスト帯に流し込み。
更にね、ベルトループ裏もこの仕様。
中に芯地を入れ、アイロンできちんと折りたたんでいく。
そして、本縫いで仕上げたループです。
ベルトループは、実用としてのパーツですが、そういう箇所もきっちりとつくってくれてるから、信頼してもらって良いですよ。
IRENISAのクオリティ。
フロントのセンタープリーツは、ベルトループの下に消えていき、美しく佇むベルトループ。
ウエスト内側。
ファスナー抑え、天狗、持ち出し、パイピング、マーベルト。
どこも、生地端ギリギリの均整のとれたコバステッチ。
裏。
前身頃。
この写真を見て分かる通り、裏地は付きません。
ウール79%、モヘア21%の生地ですが、チクチクするとかは一切ないからご安心ください。
特にね、モヘアは毛が強いものが多いから、肌への刺激が強いものが一般的ですが、これはそんなレベルのモヘアではない。
平織り生地に対して、更に、緯糸でパンッと張ったハリを加えることで、フォルムの維持につながると考えたから、この生地を採用してる。
ウールトラウザーは、裏地を付け、肌当たりの向上と同時に、フォルムを保つために裏地を取り付けることが通例だけど、これには必要ないと考え、裏地は付けなかった。
それにより、春夏に心地よい肌当たりを実現できましたね。
後身頃。
この写真じゃ全然細かいところ見えないけど、綺麗な仕上がりなのを感じてもらえると思う。
シック布まで付いてるし。
内側を見ると、完全にきちんとしたスラックス仕様なんですが、やっぱり二本のセンタープリーツがかなりの異物感がありますね。
センタープリーツの裏側もコバステッチで留めてる。
どんなにヘビーに穿いてもこのプリーツは消えることがない。
あと、このプリーツのお陰で超特殊構造になってるし、ブランドがコレクションでは使ってこなかった生地特性のもので、先述の通り、相応の不安材料はあったのですが、見事に全て解消されてる。
そして、内股にはシック布付き。
これは、昔ながらのスラックスには付くのですが、股擦れの防止や、引き裂け予防にも効果を発揮してくれる。
だから、手にして頂いた方は、ヘビーユースして。
あとは、自転車に乗ることが多い人にも適していますね。
満載の安心感。
やっぱり、形と生地だけではなく、着ると見えない細かい仕様も洋服を構成する上ではとても重要になってきますからね。
この三位一体が大切。
完成した最初の段階が最上ではなく、重要なのは"その先"ですからね。
それを実現するためにも手をかけてつくられてることは、絶対に必要な条件だと思ってる。
また追って紹介しますね。
続く。。