数日前から店頭で並べてみてるんですが、帽子をつくるHAAT-ery(ハーテリー)というブランド。
 
全てU.K製の帽子ですが、デザイナーがインド人でイギリスに住んでるんだったか、インド系のイギリス人だったか忘れましたが、とにかくインドにルーツのある人がつくってる帽子。
 
もうずっと何年も、いや、十何年もずっと丸坊主だから、寒いから秋冬はニット帽を被ってることばっかりで、イノウエブラザーズの黒のアルパカニット帽もeverydayで使ってたから凄まじいレベルの日焼けが起こってるくらいですが、それくらい使ってた。
 
まあ、秋冬はその寒さから頭を守るために使ってたんですが、それ以外ってなるとアルパカの保温力はデメリットとして働いてしまうし、ずっと探してたんですよ。
 
数年前までは80年代のアメリカ製のNIKEのキャップが長いツバや異様に浅いヘンテコなバランスが好きだったからよく被ってましたが、今はそういう間の抜けた感じがスタイルとして出来上がってしまってるから、そうじゃないし、メイドインジャパンの帽子ブランドもいろいろとあるけど、全部優秀過ぎるというか、良すぎるんですよね。見た目とか品質が。
 
あとは、その帽子を生み出す必然性を感じるものがそんなにないなって思ってた。
 
例えば、先日NEATと一緒につくった生機デニムのトラウザーを発売した時には、それをご購入頂いた方は買うことができる"NEAT CAP"を限定販売したんですが、それは西野さんは常に帽子を被ってるし、帽子の品質も全然やり過ぎてないし、っていうか既成のキャップベースだし。
特別生産のトラウザーの販売時だけに買うことができるっていうフェスティバル感があるからすごく良いと思うの。
西野さんのパーソナルな部分がすごく出てるって思うんですよ。あのキャップは。
通常展開はできないキャップですからね。
 
でも、それ以外の帽子メーカーさんのものは被るとお洒落になり過ぎてしまうものばかり。
特に国内のものは。
 
何年か前にフェルトハットが異様に流行ったときあったじゃないですか。
みんな、全員フェルトのハット被ってたトレンド。
 
もちろん時代の一過性の現象として作為的につくられた一つの時期だったと思うんですが、今もはや完全に"過去"のものじゃないですか。
それは心からの生み出されたものじゃないからだと思う。
 
そういうビジネス性も必要だし、作為的になんでも新しくつくられるものなんだけど、丸坊主の自分には、もっとそっちのベクトルとは大きく離れたところで生み出される帽子が必要だった。
 
そして、これ。
 
 
HAAT-ery。
 
 
誰がどう見ても、近年のファッションシーンで登場してきたものとは違う見た目。
それは、きちんと内在するものがあるから。
 
全然誰もが被ることができる帽子ではないし、誰もが被ってみたい。とは思わない見た目なのは明白。
 
それは、デザイナーのルーツから湧き出てくる、「つくりたい」という感情で生み出されたものだから。
 
そういう"必然性"を求めてた。
 
 
 
 
 
 
 
 

HAAT-ery
Nainsukh
composition _ Brick Red Botanical Dyed Cotton(handwoven)
size _ 大体59cm
 
遥か昔から天然染料として使われていたサフラン。
サフラン染めは黄色いイメージがあるけど、染料に一緒に加える媒染剤(ばいせんざい)っていう染料と生地との仲介役を何にするかとか、方法によって色合いが変わるみたいですね。
だから、こんなオレンジ色っぽいブリックレッド。
 
今では天然染料の中でも超高額になるサフラン染め。
あと、色落ちもすごいからあまり使う人は今はいないそうです。
 
でも、インドには馴染みのある染料だからといって今回(21SSシーズン)の最も象徴的なカラーリングとして使われています。
ちなみに秋冬シーズンももう決まってるけど、全然違うものつくってます。
 
で、サフランでの染色は、生地段階で行われてるから生地染めですね。
 
表地自体は、インドの手織り。
それを染めた後に、古い刺繍糸で手刺繍がされてる。
何か意味のある刺繍だったと聞いていますが、忘れました。インドのなんか意味のあるものだったけど、これがなんなんだ。とか、そういうんじゃないです。
 
 
多分、おじさんと魔女と花。
 
でも一つ一つ、全然刺繍の入り方違います。
 
今この手の刺繍は、コンピューターミシンでデータ化されて均一な刺繍がされることがほとんどだけど、これは手刺繍。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

表地も手織りということもあって、織りキズが入っていたり、かなりムラがありますね。
 
 
 
 
 

内側は中国の20世紀頃のものみたいです。
これは無染色で、時間を経てる分、変色やキズなどがより分かりやすい。
 
 
で、届いてから毎日被ってるんですが、先にも書いたけど、最初は色の移りがハンパなかった。
最近気温がちょうど良いから、毎日着てるseya.のジャケットの衿がオレンジ色に変わりましたね。
洗濯したらすぐとれたけど。
 
あと、サフラン染めの安定度も見てみたかったから、手洗いしてみたんですよ。
そしたら、エゲつない程、水がオレンジ色に変わった。笑
 
すんごい色の落ち方だな、これは確かに今はあんまりサフラン染めはされないなって実感しました。
 
ただ、一回洗ったら移染もなくなったのと、帽子そのものの色合いはそんなに変化なかったですね。
だから、ホント最初だけですね。注意が必要なのは。
結構思ったよりも安定してますね。
 
あとは、縮んだ。笑
でも、被ってたら元に戻った。
 
しかしながら、最大の恩恵として、表面のテクスチャーが進化しましたね。
 
見た目というより、表の生地が想像よりも硬くなり、大幅に点数UP。
 
 
これを経験したので、これからの時期にはアルパカニット帽から変更して、こればっかりですね。
汗かいたと思ったら洗えば良いから。
それが劇的にポジティブに作用する帽子だと思いますね。
 
まあ、服装はだいぶ選ぶけど。
 
 
 
 
 
 
 
 

HAAT-ery
Traveller
composition _ Undyed Khadi Cotton(handwoven)
size _ 大体59cm
 
これは似てるけど、少しさっきのよりもツバが短くなるものです。
まあ、ほとんど同じだけど。
 
 
 
 
 
 

こちらは、表地にインドならではの手織りカディ。
に加え、ラダーステッチと赤いハンドステッチ。
 
 
 
 
 

無染色ならではの夾雑物が混入してますね。
充分にスタイルは選ぶけど、HAAT-eryの中では幅広く服装に対応してくれるものかもしれませんね。比較的。
 
 
 
 
 
 

どのように被ってもらっても構いません。
一応、ライニングにはタグが付いていて、そこが後ろみたいな設定にはなってるんですけど、かなり自由度が高いと思います。
僕は、途中までツバ折り曲げて、途中からは下げて、内側のタグが左オデコのところに来るようにしてる。
 
 
 
 
 

捉え方的には、少しホームズキャップ、ホームズハットに近いような部類かな。
 
 
 
 
 
 
 
 

HAAT-ery
Traveller
composition _ Indigo Dyed Woven Cotton
size _ 大体59cm
 
これは先ほどの白い帽子同様、トラベラーという名前のインディゴ染めです。
 
 
 
 

めちゃめちゃそうと分かる、手刺繍。
玉結びさえも露出してる。
大歓迎なのよ。そういう、きれいにつくろうとかって考えずに濃厚にやってる感じ。
 
日本人がこれできないですからね。
しかもブランドとしてこれだけでやっていこうって、日本では考えられないんじゃないかな。
 
 
 
 
 

こういうところも手で縫い留めてる。
 
 
 
 
 

サイズはオーダーしてるのは、全て男性の一般的な頭囲の59cmです。
でも、その大きさになるようにつくってると思うんだけど、一つ一つ微妙に違います。
これ困ったなって感じですが、まあまあそんなにめちゃくちゃは違わないです。
 
 
そういう均整のとれてない手刺繍とかサイズとかって日本だと製品としては除かれてしまう傾向があるから、こういうものって誕生しにくいのが現状ですね。
でも、こう一見するとそういう製品ブレしてるところが目につくけど(良い意味で)、実は結構、帽子として構築するのも熱入れてちゃんとしてるんですよ。
 
手刺繍の部分以外は、ミシンステッチとか一切露出してないし、デザイナーが目指す高い位置の帽子づくりをきちんとしてる。
まあ、ものづくりでお伝えしたいワケじゃないんですけどね。
 
ブランドしてはデビューして2シーズン目みたいだから、良いベクトルでのデザイナーのエゴが入りまくってると思うし、その分すごく濃度が高くつくられてると思いますね。
 
 
 
こういうの好きな方は見てみて。
 
 
 
明日は、DAN TOMIMATSUを紹介しますね。