圧巻のPainter Pants "A.PRESSE"

早く11月から春夏シーズンという括りのデリバリーが始まってるA.PRESSE。 当店でも今シーズンもいろんなものをオーダーしてるし、納品してもらえる予定だからこの先も楽しみにしてもらえればと思います。 今日は、先日納品してもらったペインターパンツを紹介させてもらいますね。 アプレッセは、ブランドの重松さんがデリバリーがある半年前に、コレクションのどの洋服がどの店舗で取り扱いをするのかというのを事前にインスタグラムで公表するというスタイルなのですが、今回のペインターパンツはその投稿を見てみると、どうもとても取り扱い店舗が少ないみたい。 僕は、コレクションのラインナップを見た時に、とてもパワフルなこのペインターパンツにすごく心惹かれたんですけどね。 結構プライスがプライスというのもあるのかもしれませんが、このペインターパンツは、かなりキテるね。 まあ、そうとは言いながらも当店でもそんなに多くない数量でしかオーダーはしていないのですが、まだオーダーしたサイズ分は揃ってるので紹介させてもらいます。 A.PRESSE Painter Pants material _ LINEN 100% color _ SAGE size _ 1,2 これ。 最大の特徴というか、僕が心を鷲掴みにされたのが、生地。 素材は、リネン100%なのですが、よくある感じの、ぺランとして、デロデロしたリネンの生地じゃないんですよ。 生地の名前的には、ヘビーリネンキャンバスって付いてるけど、その言葉さえも凌駕してるような生地ですね。 かなり太いリネンの糸で、平織り。 全体的に経糸と緯糸のそれぞれに太い番手の中でのムラはありますね。 重松さんも言ってたけど、キャンバスというよりは、"帆布"に近いようなイメージです。 そう思ってもらっても良いくらいのものですね。 でも、まあ、本当に帆布だったら、硬くて着れたものではないけど、着用時の硬さによるストレスは感じないと思います。これ。 それは明らかに原料のリネンのレベルの高さから。 クオリティの低いリネン繊維だったらこんな感じにはならないですね。 そのリネン繊維を太く紡ぎ、潔く平織りにされてる生地です。 そして、誰もが分かると思うけど、この皺。 このニュアンスの皺が箇所にもよるけど、全体的に存在します。 この感じは、完成した段階での製品洗いが入って、それをほとんどアイロンプレスせずに納品してくれてるから、このような皺になってると思うんですが、この手の生地って、通常は、生地を織り上げた後に縮みにくくする加工をかけるんですよ。 サンフォライズとか防縮とか言われますね。 そのような後加工を施してから、裁断、縫製、仕上げの順で生産される。 でも、このパンツに関しては、重松さんの狙いはそのセオリーではない。 防縮が施されていないデニムと同様か、もしくはそれ以上に、洗うとギュンギュンにリネンは縮みが出る性質があるのですが、これはそのような防縮などは未加工。 だから、洗って思いっ切り縮ませてる。 それにより、このリネンの糸が縮み、ヘビーリネンキャンバスの膨らみが一層生まれ、より目が詰まり、分厚くなる。 しかしながら、やはりただ製品洗いをしただけだと、オーセンティックなデニムと同様にゴワツキが出るものですけどね。 さっきにも言ったように素材のレベルが高いから、この手の生地組織のリネンとは思えないような、皮膚への優しさ。 ただ、ディテールは完璧にペインターパンツ。 いろんなディテールが付くわけじゃないですか。ペインターパンツって。 ということは、生地と生地の重なる部分も多くなる。 しかも、きちんと忠実にほとんどのディテールが3本針での縫製。 想像に容易いけど、縫製工場さんはとても縫うのを嫌がったみたい。 この辺りの生地の重なりの部分、ヤバいから。 ガッチガチ。 ハンマー使って叩かないと生地の厚みも全然なくならないし、ゆっくり縫わないと針が折れるし、針が折れたら工場はかなり入念なチェックをしないといけないし、もう縫う工程だけでも通常以上の労力が必要。 ミシンの針が折れた場合、針の先端が100%見つかるまで縫い進めることはできませんからね、針が折れるってかなり大変なことなんですよ。 ただ、そうしてでもこのように縫い上げて、製品にできるとその力強さはかなりのもの。 まあ、特にこのペインターパンツは、明確に生地にとても力があるのですが、日本国内のブランドの通例では、ここまでのストレートな強さのある生地はあまり使わないんじゃないかな。 これは、やはりA.PRESSEをやってる重松さんだからこそ見事に形にできてる。 新品でもコットンとは明らかに違う雰囲気が漂ってるのは一目瞭然だし、パンツによくあるリネンが採用された時にあるペラペラ感も皆無。 トップスとは違って、パンツってより負荷がかかる服だから、生地の物理的な強さはもちろん必要なんだけど、余裕でそこもクリアしてる。 それに加えて、硬さを感じるどころか、着用時の肌当たりの滑らかさはこのリネン特有のもの。 結果的にそれを気に入って穿いていたら、気付いた時にはアタリが強く出て、見た目が更に力強くなる。 新品時の高いクオリティはそのままに。 起こる変化。 ただ、生地プライスだけでも相当なものだし、通常よくあるリネンのパンツではあまり存在しない価格だから、とても振り切れてると思う。 やはり、重松さんがこれまで培ってきた礎が、生み出す洋服にとてもよく表れていると思う。 もの凄い量の服を持ってるし、服をとても熟知してるし、世の中の市場の動きを生み出せるような人でもあるから、そういう人が本気でつくってる洋服はそこにしかないものがあるし、それがとても楽しく、良いものだと思いますよ。 さっきも言った通り、防縮がかけられていない、製品洗い時に縮み放題のリネンキャンバスだから、生地の洗い晒しの皺はもちろんですが、夥しい量のシームパッカリングが入ってる。 あと、生地染めだと思うのですが、リネンの糸の内部が、気持ち白くて、染まり切ってないんですよ。 だから、製品洗いの影響で、既にアタリの種がふんだんに出てる。 穿いていった暁には、凄まじい見た目に変化してるのがとてもイメージできるパンツですね。 デニムとも通じる新品からの生地の変化をポジティブに考えて頂ける方は、全員好きなシロモノだと思いますよ。これ。 フロントは、ファスナー。 でも、生地の縮みによるファスナーテープの波打ちも少なく、安定した稼働をしてくれるので安心。 ご覧の通り、カラーリングは、サージという色。 こういう色合いなので、感覚的にはミリタリーパンツを穿くような感覚でもいけるのかな。 人によると思うけど。 見た目にも、雰囲気が強いパンツなので、好きな人なら春夏にはとても活躍してくれると思います。 見てみてください。
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