今日は、calmlence。
ブランドとしては、初めてとなる春夏時期の洋服ですが、春夏の季節の立ち上がりとなる第一回目の取り扱いのものは全て完売。
ちょうど、1st Deliveryのものが完売をして、calmlence難民の方が複数現れ始めているときに、2nd Deliveryとして到着。
納品をしてもらったのは、少し前だったんですけどね、やっとここで紹介できるタイミングがやってきました。
今回もすんごいですから。
このタイミングで皆様に紹介するのは、4つ。
calmlence
BAND COLLAR PULLOVER SHIRT
125/1 HIGH DENSITY LINEN CLOTH
material _ LINEN 100%
color _ BLACK
size _ 1,2,3
calmlence
SINGLE PLEATED WIDE PANTS
Co/Li STRIPE CLOTH
material _ COTTON 51%,LINEN 49%
color _ KHAKI STRIPE
size _ 1,2,3
calmlence
HUNTING JACKET
Li/Wo/He KASURI CLOTH
material _ LINEN 84%,WOOL 11%,HEMP 5%
color _ LIGHT BEIGE
size _ 1,2,3
calmlence
TRIPLE PLEATED WIDE TAPERED TROUSER
Li/Wo/He KASURI CLOTH
material _ LINEN 84%,WOOL 11%,HEMP 5%
color _ LIGHT BEIGE
size _ 1,2,3
以上の4つ。
もうね、この写真だけ見ても、かなり良さそうでしょ。
僕がこのようにブログで書かなくても、洋服にめちゃくちゃクオリティの高さが漲ってるから、充分なんですけどね、何も書かないとなると、もはや自分の存在する意味がありませんので、少しね、少しだけ、紹介させて。笑
まず、これ。
リネン100%のブラックのプルオーバーシャツ。
これ、全然、フツーじゃない。
リネン100%のシャツって春夏の季節では、目にすること多くなると思います。
しかしながら、これは当店史上、最もクオリティの高い"リネン100%"かもしれませんね。
どういうことか。
使うリネンの糸の細さは、"125番手"というもの。
まず、これヤバい。
かなりエゲツない。
125番手に限らず、"〇〇番手"というのは、シャツでは時折、"コットン"で目にするようなことが多いと思います。
特に、シャツでは、柔らかさや肌触りの良さ、滑らかさというのが重点を置かれるものではあると思うから、もしかしたら実物を見ないでも"ある程度"までは、皆様がイメージしやすいものとして、市場から供給される認識項目の一つなのかもしれないですね。
まあ、数字では全然図れないこともたくさんあるんですがね。
あとは、コットンでは多分、125番手というようなものは存在しないんじゃないかと思うのですが、今回はコットンではなく、"リネン100%"。
これ、すごく重要で、コットンは、綿花の綿毛(わたげ)の細い繊維を採取して、加工をするものだけど、リネン繊維は、植物の茎の繊維。
綿毛と茎とだったら、なんとなく、スタート地点の繊維レベルでの細さが全然違うように思うじゃないですか。
だから、例えば、コットン100%では、100番手とかは、日本市場では優秀なブランドが多いから頻繁に目にするような機会があると思う。
でも、同じように見える数値(厳密には、綿番手と麻番手では、換算も表記も異なる)だけど、コットンとリネンでは、仮に同じ数値でも世界が違うの。
今回のcalmlenceのシャツだと、先述の通り"125番手"。
この125番手クラスになってくると、ことごとくお目にかかれる機会は、少ないと思います。
これ。
リネン原料特有の自然なムラがありながら、細い繊維が"ギュッと"詰まり、締まった生地。
夏場には、快適な風の通りを約束してくれる上、見た目の良さも伴ってる。。。
だけじゃない。
これ、本当にヤバいのはここから。
ここからは、心してご覧ください。
通常、リネン100%でこのような非常に細い糸を織り上げる場合には、"水溶性ビニロン"という、織り上げるのに補助の役割の糸をリネンに巻き付けて織り上げる。
そうじゃないと生地を織り上げることができない。
具体的には、大体、80番手という細さのリネンからは、リネンの糸が切れてしまうことがないようにするために、水溶性ビニロンを補強のために、巻き付け、織り上げた後に、水でビニロンを溶かす。
今回のcalmlenceのシャツは、125番手。
当然のように水溶性ビニロンを使ってる。
と思ってた。
そう。
使ってないの。
今回のこのcalmlenceのリネン生地は、絶対的に使う水溶性ビニロンを使用することなく、極細のリネン糸が切れてしまうことがないように、文字通り、本当に少しずつ、少しずつ、じっくり、ゆっくりと、機屋さんが"気合い"で織り上げた生地だそうです。
その理由は、一つ。
125番手という、滅多に出会えないレベルのリネンの糸を使い、それを"超高密度"な生地にするため。
熊谷さんが言われるには、水溶性ビニロンを使うと、ビニロンを溶かした後に、その溶けた"隙間"が生まれるから、今回の生地ほどの"超密度"にはならないそうですよ。
だから、気合いと技術力で完成させた"とても極まった生地"なの。今回の。
信じられない。
これは、、、持っておいた方が良いかもしれないですね。
当店でももうほとんど在庫ないけど。笑
先述のような生地であるため、かなり細い糸が、ミッチミチの密度で詰まりに詰まってるのが、皆様の肌で直接感じて頂けると思います。
非常に細く、滑らかで、まだ気持ち少しだけハリのあるリネンが、超密度で貴方の肌へ触れてくれるの。
もう、このキメ細やかなタッチは、"驚きの心地良さ"以外の何ものでもない。
明らかな質の高さ。
最適シーズンの夏には、お持ち頂けた方への恩恵を約束しますよ。
もうね、余裕でそうやって言えるレベルだから。
しかしながらね、calmlenceの熊谷さんは、そういう生地を使って、「どうだ。すごいだろ。」っていう感じにしてるのではないの。
こういう素材使いもcalmlenceの洋服の一つの要素。
このような素材をどのように洋服として完成させてるのかが、熊谷さんのハンパなさを感じさせる。
後身頃には、バックヨーク下からのBeautifulなギャザーが入る。
これ。
この細かく繊細に入るギャザーを伴った後ろ姿。
我々のようなおじさんが着ると、マジでスーパーカッコいいと思うの。
フロントには、両胸にフラップ付きのポケットが備わる。
もうね、calmlenceでは当然だから、ステッチワークが細かいなんて、いちいち言いませんよ。
このポケットディテールは、全体がしっかりと角が立ってる。
そして、フロントプルオーバーの開き留まりの箇所も、四角形の角があるステッチ補強。
対して、袖口のカフス。
カフスは、角が落とされた丸みのあるもの。
尖り、角がある部分と、丸みがある部分。
一着の中で全部同じではなく、それらが混在することで、一つの洋服として表情の高まりが生まれると僕は思うの。
剣ボロは、クラシックタイプ。
ちなみに、当然だけど、衿やカフスは、フラシ芯。
だから、着用と洗濯をするに従って、より柔らかく、膨らみが出てきますね。
そういう芯材使いも、着心地ももちろんだけど、見た目にもそれなりに影響してくるものだから、結構重要事項だと思います。
裾は、ラウンド。
前よりも後ろが気持ち長いです。
見たら分かると思うけど。
次は、これ。
SINGLE PLEATED WIDE PANTS。
非常にクラシックな面持ちをしてるトラウザーです。
というか、見た目は重厚。
ウエストの両サイドには、真鍮パーツでのサイドアジャスターが付属し、ウエスト帯もなく、生地のムードがムードなだけに、かなり古い時代の時間が流れているのを感じる。
フロントには、大きめのワンタック。
トップボタンには、皮付き水牛ボタン。
ウエスト内部の構造もとてもきちんとしてる。
クラシックに穿くことができるオールドムード満載なパンツ。
早速裏側。
このようなパンツなのですが、裏地は前後ともに付属しません。
そして、このウエスト裏の箇所。
この箇所をめくると、芯地が登場。
でも、この箇所もただものではない。
実は、デビューシーズンの時のcalmlenceのパンツは、このようにはなってなかったの。
熊谷さんが言われるには、この芯地は、マーベルトパーツの下に、"1枚の状態"で配置させていたそうです。
しかしながら、熊谷さんがご自身で考え、検証した結果、その1枚の状態よりも、更なるウエストのフィッティングの向上、着用感の安定を考えて、2ndコレクションで、すぐにバージョンアップ。
芯地の1枚使いではなく、1枚の芯地を折り返して、二重で使うことによって、より理想的なフィッティングと、着用者の方への一層の快適性を考えた仕様へと変更されたの。
30年以上の洋服づくりを行なってきた熊谷さんであっても、常に洋服の向上を図ってる。
こういうことって、そう簡単には実現できない。
人間ってついつい、「これでいいか。」って楽な方向に、簡単な方向に思考が行きがちだと思うから。
長年の洋服づくりをやってきた上で、今の現在でも、更に、つくる洋服に磨きをかけることって、本当にすごいことだと思いますよ。
そして、先日、熊谷さんとcalmlenceの洋服の"洗濯の基準"について話をしてたんですよ。
calmlenceは、基本的にコレクションのほとんどが、生地で洗いをかけ、製品完成後に、熊谷さん自身がアトリエで製品洗いを施す。
このことは、calmlenceをご覧頂き、お好きな方には周知のことだと思います。
ただ、calmlenceの洋服で、品質表示の箇所に、"手洗いマーク"が付いているものと、"水洗いNG"が付いているものとが存在します。
その理由を、僕は熊谷さんから聞いて、とても納得できた。
皆さんも、そもそも、生地洗いと製品洗いをかけてある洋服が、家庭で洗えないはずがないって思うじゃないですか。僕はそう思う。
ただね、calmlenceで、家庭洗濯の可否を定めているのは、洋服によって、明確に熊谷さんが考える「こう着てほしい」ということがあるの。
例えば、シャツは基本的にほとんどのものが洗濯OK。
ジャケットは、基本NG。パンツは、モノによる。
理由が、上記の写真の"縫い代"。
calmlenceでは、アトリエで熊谷さんが製品洗いを施した後に、きちんと縫い代の仕上げが行われてるの。
家庭で洗濯をすると、上の写真のように、"割り縫い"の裏の縫い代箇所が、立ってしまうの。
割り縫いの縫い代箇所が"立つ"と、表から見た際に、洋服のアウトラインに影響をするんですよね。
パキッとフォルムが出ずに、シームがビロビロになった不明確な輪郭が出ることになる。
だから、特にジャケットは、洗濯をすると袖や、脇、肩の"裏の縫い代"が立ってしまい、アダルトジェントルマンに相応しいフォルムが出ない。
仮に、裏の縫い代が立った場合でも、アイロンを当てればすぐに修復可能。
ただ、これは、ジャケット専用のアイロン台やちょっとした技術が必要になってくる。
それを家庭で完璧に行なうのは難しいため、洗濯をしても生地が縮むとか、変質してしまうということはないけど、着用時の美しさを保つために、ジャケットには原則として、洗濯NGという表記を付けてるの。
だから、基本、ジャケットはクリーニングに出しましょう。僕のお勧めはウェットクリーニング。
しかしながら、クリーニング屋さんにお願いするときは、仕上げにきちっとしたアイロンプレスをかけられることがないように、入念に伝えましょう。
それでも、クリーニング屋さんで、アイロン仕上げをされてしまい、ピンピンのシワなし状態でcalmlenceの洋服が戻ってきたら、家庭で少し濡らして、ちょっと脱水かけて洗い晒しの自然なシワ感をつくりましょう。笑
熊谷さんが言われるには、シャツは家庭でどんどん洗って着てください。とのこと。
パンツは、モノによるので、品質表示を見た方が良いですね。
今回紹介しているこのパンツは、洗ってOKです。
しかしながら、洗濯後には、できればスチーマーではなく、アイロンで、写真にある割り縫いの縫い代をきちんと寝かせましょう。
そのほうが、着用時に明らかに洋服のフォルムに違いが出ます。
先日、熊谷さんとこのような話をしてて、コレクションをつくって終わり。ではなく、所有してくれた方がcalmlenceの洋服を着て"どのように周囲に見られるか"ということをきちんと一着一着考えられてることを実感しました。
そういったことも含めて、calmlenceの洋服は、全部が"熊谷さんの手が最後までとても行き届いた洋服"だと思う。
そして、話を戻すと、このパンツ。
すんごいの。
これには、驚いて。
見た目と生地の質感との、大きすぎるギャップ。笑
見た目は、重厚なオールドムードが漂う。
誰が、どこをどう見ても、仕立ての良い、質の高いパンツを穿いているように見える。
しかしながら、生地のタッチは、、、
"超軽快"。
これ穿いて、夏場に河川敷でバーベキューでもできちゃうんじゃないかっていうくらいの軽快さ。
それくらい、夏場の暑い時期には強い味方になってくれる生地してるの。
混率は、冒頭にある通り、コットン51%、リネン49%。
もともと、ボーダーで織り上げた生地を横づかいして、ストライプにしてるんだと思うのですが、
経糸に、80番手というパンツでは非常に細いリネンを複数色。
緯糸には、コットン。そのコットンは、ダークブラウンかブラックの色合いなんだと思うんですが、コンパクト糸っていうものを使って、非常に毛羽をなくしてるものを使ってる。
経糸のリネンよりも、緯糸のコットンの方が、色合いがダークトーン。
加えて、リネンもコットンもフツーのパンツで使われるような類の糸の細さじゃないから、見た目が驚きの軽さしてるの。あと、糸が細いのに加え、毛羽立ちがない糸だから、動いた時の"輝き"。
この生地はね、いろいろ含めて、見た目とタッチが違いすぎて、「嘘だろ。」って思っちゃう感じ。笑
まあ、先ほどの125番手リネンも、信じられなくて、「嘘だろ。」って感じですけどね。
これまで見て、知ってきた洋服と全然違って、そう思っちゃいますね。
最近は、改めて、自分自身の洋服の概念が更新されていくから、とても良いことだと思ってる。
これ。
なんとなく、伝わりますかね??
ボケてるけど、気にしないで。笑
見た目とは違う、生地の質感の軽やかさと、光沢。
まあ、実物見て、驚いてもらえたらオーケーです。
HUNTING JACKET。
TRIPLE PLEATED WIDE TROUSER。
この2つ。
どちらも生地は、calmlenceを代表する"KASURI"。
これもすんごいの。
超ムードの洋服。
絣を表現するために行なう、熊谷さんのテクニックが隠されてる。
この生地。
混率は、リネン84%、ウール11%、ヘンプ5%という1%単位のオリジナルレシピ。
目のしまった生地に、ランダムに現れるような絣のチェック。
その様子がとても美しく、目を惹きつけられる生地。
混率を見る通り、84%という大部分をリネンで占める。
カラーリングにもある通り、ライトベージュの色合いがリネンですね。
そのリネンは、均整が取れながらも、生地の奥行きを出すために、一本の中でも、太い箇所と細くなる箇所とが織り交ぜられ、少しのムラを残したもの。
そして、黒っぽい糸。
ここがすごい。
混率の"11%のウールと、5%のヘンプ"。
この16%が、黒く見える糸で、これがcalmlenceの"絣表現の技術"が注がれてるの。
上記の通り、グラウンドのライトベージュカラーは、"リネンの単糸"。
あとの16%の黒い糸がウールヘンプなのだが、ウールとヘンプは、"混紡の単糸"。
つまり、繊維の状態でミックスされ、同じ糸になっているもの。
ウールとヘンプの繊維を混ぜ、糸をつくる。
その後に、ウールのみ染まる染料で、黒く染める。
そうすると、同じ糸の中で、ウールのみが黒くなり、ヘンプは未着色のままのナチュラルカラー。
一本の糸の中でも、"片サイド染め"という、片側だけを染めることで、色合いに表情が出る。
そして、そのウールのみ黒く、ヘンプが無染色のままの糸を、そのまま織り込むのではなく、更に、グラウンドに使うリネンと撚り合わせる。
つまり、ウールヘンプ(ウールのみ黒)+リネン(グラウンドの色)を組み合わせ、双糸にしてる。
生地の絣チェックの部分だけが"3種類の繊維を使った双糸"になっているということ。
それにより、グラウンドに比べて太い、黒染めされたウールが、ナチュラルカラーのヘンプとミックス、加えて、リネンと同調することで、"曖昧さがある黒"として表面に現れ、熊谷さんが設計する"calmlenceの絣生地"が生まれるというワケ。
これは、生地の完成形が見えていないとできないことだと思うし、そこからの逆算。
素材はもちろん、糸づかいを駆使した上で、どう生地をつくるのかということがよく考えられてると思う。
更にはね、3種類の素材がそれぞれ特性も、使ってる量も違うから、生地洗いと製品洗いによって、縮みの差が生まれ、より一層の表情の演出、ムードの格上げがされてるってワケですよ。
さすがですよ。calmlence。
スタンドカラーのハンティングジャケット。
ブランドでは、1stシーズンより展開されてた"calmlenceの完成された形"ですが、当店では、今回の2回目のコレクションで初めて取り扱いをしますね。
少し高めに設計された衿。
首周りの余白も、衿の高さも完璧なネック寸法だと思う。
でもね、全然ただのスタンドカラーじゃないですよ。
上の写真の通り、全然左右で形状の違う衿。
時々、この手のジャケットで衿を折り返して着用される方もいると思いますが、このHUNTING JACKETは、衿はスタンドのままがベストだと思う。僕は。
めちゃくちゃな大人の色気が出てくれると思うから。それがちょーカッコいいのよ。
肩線は、少し落ちるようになっています。
肩の構造については、パッドとかは入ってないけど、袖の方がボディより高い、"袖高"の設計。
おかげで、ただのカジュアルウェアには成り下がらない。
これにより大人の男性がパッと羽織るジャケットとしては、ちゃんとしてるし、とても相応しい見た目をしてると思います。
肩の中心部ではなく、後身頃側にスライドした、前後の身頃の切り替え。
前から見た時に、前身頃と後身頃の切り替え線が存在しないことで、肩が綺麗に見える上、前後の分量がきちんと考えられて設計されている洋服であるという古い時代の証だそうですよ。
僕の持ってる非常に数少ない古着情報だけど。笑
古き良き時代の洋服を踏襲し、つくりの良さが伺えるディテール。
フロントには、カーブした形状のパッチポケットが3つ。
どちらにもポケット裏には、別布が当てられています。思いやり。
近くで見ても、もはや同化してポケットがあるのかどうか、はっきりと分からないレベルできちんと縫い付けられたパッチポケット。
ポケットのカーブのラインも文句ないほど綺麗。
HUNTING JACKETという名前ですが、本当にハンティング感はしてませんね。
なんか時々、この手のジャケットで目にするようなアクションプリーツや、ベルトや過剰なポケットを見ることがあるけど、僕はそれが苦手なんですよね。
アウトドア感があるものがあまり得意じゃないから。
大人の男性には、そういうアウトドアディテールは不必要。あとは、ワーク感が強過ぎるものもNG。
だから、スタンドのジャケットで良いなって思えるものって、ことごとく少ないんですけど、僕の中では、今シーズンは、calmlenceと先日紹介したJohn Alexander Skeltonくらいかな。
そうは言っても、僕はエルボーパッチは好きなの。
実用的だし。
calmlenceでは、ほぼ同化したエルボーパッチが付く。
袖口には、開きはありません。
ハンガーの状態でも、既に、アームの美しいアウトラインを醸し出してる。
これが、着用時には、袖のボリュームも形状も超絶イケてるから。
まあ、実際に着てご確認ください。
ボタンは、calmlenceを物語る皮付き水牛ボタン。
このボタンはかなり高価なものですからね。
普通とは全然違う。
ボタンホールは、これ。
"両玉縁ボタンホール"。
ボタンホールミシンでつくったホールじゃないの。
両玉縁のポケットと同じ感じかな?でつくるボタンホール。
ボタンホールミシンとは、時間のかかり方が全然違うホールです。
これは、とてつもなく久しぶりに見たんだけど、久しぶりに見ると、やはり見た目の美しさが全然違って良いものですね。
とても何気ないディテールだけど、洋服としての出来栄えがかなり高まってる仕様だと感じてる。
それに加えて、ビンッビンに立ったボタン。
とてもしっかりボタン付けと根巻きが施され、安心感の塊。
裏。
裏側もめちゃくちゃイケてるでしょ。
見返し、ポケット、身頃裏のフラワージャガード、袖裏、力ボタン、パイピング、、、エゲツないほど、カッコいい裏の見え方。
これからの時期に適したジャケットとしてつくられてるので、身頃裏は背抜き仕様ですね。
ほら。
ヤバくないですか?
この裏側のカッコよさも。
僕が"カッコいい"と思うのは、もちろん、生地使いや、色使い、裏のパターン設計もあるんですが、全てのシーム。
これが、やっぱり、切り替え線が"生きてる"んですよ。
calmlence。
裏の生地と生地が切り替わる線が"鮮明で"、"左右対称で"、"整ってる"。
この要素って結構重要だと僕は思ってて、裏がポンコツの洋服は多いけど、そういうのは、着てると瞬く間にネガティブなことが感じられちゃうし、すぐに着なくなると思う。
だから、洋服構造における"裏"の部分というのは、とても大切なのです。
袖裏地の縫い付けは手縫い。
これにより柔らかく仕上がる。
calmlenceオリジナルの裏地。
ちなみに、僕は知らなかったんですが、calmlenceのジャケットやコート、ベストなどにも使われるこの裏地ですが、実は、生地の厚みが違う複数種類のものを洋服によって使い分けてるそうです。
全部一緒だと思ったら大間違い。
熊谷さんは、この洋服には、こうあるべきだ。っていうのを考えて使い分けをしてるそうですよ。
だから、今回のHUNTING JACKETには、これから暑くなる季節を迎えるということで、少し薄めで比較的清涼感のあるオリジナルフラワージャガードが使われています。
パイピングと背抜きの裏地。
この裏地をめくると、手作業で糸ループで留めつけられてるのが見てとれる。
あとは、裏地のオリジナル生地も、見えないところまでオーバーロックで生地端の処理がされてるの。
どこをどう見ても、ホンット、手が行き届いてるの。
感激。
そして、組下となる同生地のパンツ。
こちらもcalmlenceを代表するパンツです。
先ほどのトラウザー同様に、ウエスト帯が存在しない仕様で、こちらは、3タックで、後身頃はハイバック。
ボタンは水牛の皮付きで、ファスナーフロント。
マーベルトや、ウエスト芯の構造は、先ほどのトラウザー同様。
後身頃は、ご覧のようにシンチバックが付属し、左右どちらも両玉ポケットで、左身頃側のみポケット口より小さいフラップが配置される。
そして、このパンツ、とても特徴的なのがそのフォルム。
前と後ろで全然見え方が違うの。
フロントは左右にそれぞれ3タック入り、特有のボリュームが生まれる。
上の写真をご覧頂いても、なんとなく、前身頃には、タックを伴った分量がありそうなのが分かって頂けると思います。
対して、、
後身頃。
これ。
フロントと比べた時に、そのボリュームが少なく、非常にスッキリとしてるのが分かると思います。
calmlenceのこのパンツは、分解したことないから、どんなパターン線をしてるのか分からないけど、着用時には、圧倒的違いを感じてもらえる。
前はボリュームがあり動きに合わせて生地の余白が揺れ動くのに、後ろはとてもシャープ。
写真では分からないけど、ハイバックの腰へのグッと食らいついてくるフィットがあり、そこからヒップラインがスッキリと無駄なく演出される。
その上、前身頃の太もも周りの分量は、膝下から一気に裾で集約されるから、とても陰影の効いたアウトライン。
例えば、このパンツも、先ほどのHUNTING JACKETの組下としての役割もある。
でも、セットアップのパンツって、大体ジャケットの付属的な役割になるものがほとんどに感じるけど、calmlenceのは、上も下も一級品。
パワーピースとパワーピースが掛け合わされる感じ。笑
あとは、レングスとしては、裾にワンクッション溜まる感じなんですが、これも見事なバランスですよ。
熊谷さんの凄みを感じられるパンツで、僕は似てるものをこれまでに一度も見たことがない。
凄まじいオリジナリティーをバチバチに感じるの。
当店でも、2シーズン目にして、既に、このパンツの形を生地違いで所有する方が複数いるくらいですからね、、、そういうこと。
熊谷さんの洋服は全然違う。
こちらのパンツも、これから迎える季節を歓迎する裏地なしの仕様。
生地の心地良さもふんだんに感じられるパンツですよ。
calmlenceの洋服、期待に大きく胸を膨らませてご覧ください。