遂に、登場。
待望中の待望。
Araki Yuu。
コットン100%の半袖シャツだ。
ただ、この半袖シャツ。
コットン、ヤバい。
そして、そのAraki Yuuの構築も凄まじい。
僕にとっても、喉から手が出まくってるし、垂涎どころの騒ぎではありません。
心して見て。
まず、素材。
先述の通り、コットン100%。
しかし、このコットン。
僕としても、とても思い入れの強いもの。
"Suvin Gold Supreme (スヴィン・ゴールド・シュプリーム)"だ。
そう。
この前の12月。
nonnotteの杉原さんと、カネタ織物の太田さんに大変な尽力をして頂き、
日本で初めて"織り生地"の洋服として、当店CASANOVA&COで販売をした綿繊維。
その時は、"平織りVer."と"綾織りVer."の2種類があったのだが、当初のnonnotte別注では、"平織りのみ"で進行してた。
しかし、その超絶原料を最大限に活かすために、直前までカネタ織物の太田さんが裏で研究試作をして、"Suvin Gold Supreme"原料を最高潮に高めた生地をつくってた。
そのことは、nonnotteの杉原さんも、僕ももちろん知らなかった。
そして、その生地を使ったものが今回Araki Yuuで登場したもの。
そもそも、そのSuvin Gold Supreme原料は、日本に通常に入ってくることがまずない。
そのため、それで洋服をつくろうと思うと、夥しいほどまでのエゲツない生産ロットが必要となる。
しかし、太田さんがカネタ織物として、そのロットを在庫してくれるということもあり、12月で当店で販売をすることが実現したというもの。
その時には、そのような経緯もあり、Suvin Gold Supreme原料の初のお披露目は、当店CASANOVA&COで。ということにしてもらえたんですよ。
その後は、カネタ織物さんでいくつかのブランドさんに使用を検討してもらうということは聞いていた。
しかし、僕もいくつかのブランドさんが検討はしてくれたが、原料が高価であり、また非常に特殊素材であるというため、nonnotte以外では、なかなか踏み切るブランドが現れなかったと聞いていた。
一つのブランドを除いては、、、
世界一の綿繊維 Suvin Gold Supreme × Araki Yuu
まさに、夢のような洋服がこの度、誕生したのである。
僕がAraki Yuuから、Suvin Gold Supreme原料を入手したということを聞いた時に、もう既に、ハンパじゃないくらいに楽しみにしていた。
そして、いざ、実際に実物を目にした時には、もうね、"息を飲んだ"。
その完成度。
だって、半袖シャツですよ。
皆様、半袖シャツで心が震えることありますか??
僕は、人生で圧倒的No.1にブルブルなった半袖シャツ。
さすが、Araki Yuu。
別格だ。
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これ。
世界最高の綿繊維。
"Suvin Gold Supreme (スヴィン・ゴールド・シュプリーム)"。
12月にこのブログでも書いたのですが、スヴィン種の第一世代。
スヴィン種は、"劣勢遺伝"であるために、第一世代、第二世代、第三世代、、、と、どんどん原綿の品質レベルが下がってくるそうだ。
スヴィン・ゴールド・シュプリーム (第一世代)
スヴィン・ゴールド (第二世代)
以下は、全てスヴィン (第三世代)
・
・
・
となる。
世界的に見ても、総産出量の非常に少ないスヴィン種は、なんとその生産量の内の、ほとんどが日本国内に流通するというもの。
だから、我々日本人からするとスヴィンコットンってあんまりありがたい感じがしないけど、その現象は日本だけのものですごく特殊。
でもね、そのスヴィンの"親"の"親"。
Suvin Gold Supreme。
これはハンパなく凄まじいのだ。
もう一回見て。
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日頃から、カネタ織物さんの生地を使ったブランドの洋服をご覧頂いてきた方には、分かってもらえると思いますが、カネタさんの生地は、めちゃくちゃ特徴的。
機屋として、所有する織機のほとんどは、最もアナログな"シャトル織機"。
それを駆使して、超高密度、超強烈タッチの生地をつくることが特徴の機屋さん。
しかしながら、これはそのような超高密度なタッチとはまるで違う。
最高と言える原料を使い、それを最高に活かすために、カネタ織物さんの持つ経験値、計算、研究を重ねまくってくれた生地なのだ。
繊維の"撚りの角度"と"糸の角度"、この2つが極限まで同一方向になるように設計したという生地。
その上、"カバーファクター"という、生地の表面がどのくらい糸で占められているのか。
ということを非常に狙って、出来る限り、糸に直接触れることがなく生産をするSuvin Gold Supremeの綾織り生地。
"密度"という言葉は、生地でよく聞いたことがあると思うが、"カバーファクター"という言葉は、マジでみんな知らないと想像します。
僕もカネタ織物の太田さんから初めて聞いた用語だった。
このSuvin Gold Supremeの生地は、太田さんが設計した、カバーファクターで、
原綿の良さ、糸の良さが活きるように、高密度にせず、
隙間がちょうどきっちり埋まり、ゼロになるように設計したというもの。
要するに、表面積をSuvin Gold Supremeの糸で、ピタッと埋めたということだ。
これよりも、糸と糸の隙間を空けると"透けてしまう"。
反対に、これ以上、隙間を詰めると、原料と糸の魅力が減少してしまう。
つまり、"ギリギリ透けない"というカバーファクターを狙って、設計したものだそうだ。
この生地の輝き、タッチの素晴らしさ、風合いの良さ。
世の中の全員に知ってもらいたいと心の底から思ってる。
そして、そのようなコットン原料で極まった生地を、Araki Yuuが洋服に。
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Araki Yuu
Short Sleeve Shirt
material _ COTTON 100% (Suvin Gold Supreme)
color _ WHITE
size _ 1,2
※サイズ1は完売致しました
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Araki Yuu
Short Sleeve Shirt
material _ COTTON 100%
color _ DYED DARK
※完売しました
こちら。
ブランドで非常に珍しい半袖の洋服。
Araki Yuuで考えに考えられ、見事なものに仕上がった半袖シャツ。
ちなみに、DYED DARKのカラーリングの方は、減産したため、全然用意できなかったこともあり、既に完売しました。。。
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これ。
Araki Yuuのテクニックが入りまくってるシャツ。
断ち切り箇所と、そうではないところ。
ステッチを入れるところと、入れないところ。
様々な縫製仕様とテクニックを駆使し、めちゃくちゃカッコいいシロモノが出来上がってる。
まず、柔らかいニュアンスを感じる衿。
少し小ぶりで、ゆるやかにカーブを描く、この衿の箇所には、ステッチが入りません。
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小さく広がるオープンカラー。
抑えのステッチが入らない衿に対して、前立て端にはステッチが入る。
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バック。
後ろ衿は、Araki Yuuで時折目にする形状のクラシックな衿。
ヨーク高で、断ち切りで仕上げられた後身頃との縫い合わせバックヨーク。
そして、バックヨークの箇所には、ブランドのシャツの代名詞であるアンティークレースが備わる。
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アームホールは、袖高で、断ち切り仕様。
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前身頃とバックヨークの縫い合わせは、断ち切りではないだけではなく、コバステッチ入り。
特に、この写真の箇所は、見もの。
・シームの入らない衿
・コバステッチを入れた身頃とヨークの接ぎ
・断ち切りのアームホール
3種類の仕様が混在する超絶箇所なのだ。
僕としては、あまりにも美し過ぎる縫製仕様のコントラスト。
でも、このようなことも、Araki Yuuの荒木さんが、着用時に着た人が"最も綺麗に見える"ようにということを考え、試行錯誤して生み出した縫製仕様だそうです。
このような縫製仕様を見てると、Araki Yuuで、一着の半袖シャツをつくる際に、考えて試行錯誤した、"思考の痕跡"をすごく感じることができる。
だって、フツーに考えて、縫製工場で量産をするブランドだったら、ブランドで初めてつくる半袖シャツが、このような出来、このような仕様のものには絶対にならないですからね。
Araki Yuuの目指す洋服づくりの考え方が、とても濃厚に反映されたシャツだと思います。
だから、僕は、このシャツを初めて見た際に、オーダー内容を持ち帰らず、その場でオーダー。
それは、これほどまでのものづくりの半袖シャツを、出来る限りの方に紹介したい。と心底思ったから。
秋冬シーズンが立ち上がりを迎える8月に納品がある。ということは分かっていても、関係ない。
Araki Yuuの洋服づくりは、絶対的な存在だと思ってる。
どれだけ生産数が少なくなってしまっても、一貫して自分自身でつくり続け、その濃度は、どんどん向上していく。
僕は、このような"自分で考えたものを自分で形にする"ということを続けているブランドを紹介できなくなったら、自分の存在してる意義を見失う。
全然フツーじゃないし、合理的でもないし、めっちゃ大変だと思うけど、それを続け、しかも、つくるものが一流であれば、そのような人物が間違いなく世の中に知れ渡り、評価されるべきだと思う。
特に、洋服の世界においては、強くそう思うの。
それが、ダサいもの、低レベルなものをつくってたら、そんなことは1ミリも思わないですけどね。
このような領域のブランドは、みんな本当に知るべきだと思う。
そうすることで、洋服から"学び"が得られ、所有者自身の"価値観"に大きく作用してくれると思います。
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話を戻しますね。
裾は、断ち切り。
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サイドビュー。
裾の脇には、マチが入ります。
裾そのものは、ご覧のように断ち切りで、ダブルステッチが入り、糸が飛び出る。
でもね、
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これ。裏から見た裾。
Araki Yuuの断ち切りのシャツでは、採用されるディテールですが、裾を断ち切りにした際に、同じ生地で、裾の形状と完全に同じように見返し布を縫い付ける。
しかし、この裾の裏に縫い付けられる見返し布。
生地の地の目が、バイアス状(斜め)に設定されることによって、見返し布の方は、ほつれが非常に少ないの。
表は、地の目が縦方向であるから、糸が吹き出すのですが、見返し布がダブルステッチ(2度縫い)され、それがバイアス状に縫い付けられることで、一定範囲で糸の吹き出しは収まり、シャツの形が変わってしまうことがないように設計されてる。
Araki Yuuの洋服は、ただの雰囲気ものではないですからね。全然。
細かく細かく、仕様を設計し、それを自ら時間をかけて縫い上げる。
とても手が入った、良い洋服ですよ。
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そして、このシャツ。
特徴的なのは、この胸ポケット。
見たことのない形状をしたもの。
これは、Araki Yuuの荒木さんが、夏場に胸ポケットにサングラスを入れた際、前屈みになるとサングラスが滑り落ちることが気になっていたそうです。
そもそも、ブランドとしても半袖シャツをつくるということは、とても珍しいこと。
これまでは、生地を開発し、その季節に適した生地を用いて、洋服をつくることを考えていました。
しかし、どんどん夏場の気温が上がる現在の日本。
そのことを考え、Suvin Gold Supremeの生地を活かすためにも、今までのAraki Yuuの洋服とは少し違った側面でのアプローチ。
"仕様の構築や洋服のボリューム"で盛夏に相応しい洋服をと考えたShort Sleeve Shirtだそうです。
その夏場には、サングラスをかける機会も増え、それに伴って、外したサングラスをポケットに入れることもある。
だから、胸ポケットにスッポリとサングラスが収まり、ボタンを止めなくても、ポケットに入れたサングラスが落ちてしまわないように。と考えられたディテール。
そういう荒木さん自身の、つくり手自身から生まれた胸ポケットの仕様です。
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そういう考えによって生まれたポケットではあるのですが、ディテールとしてめちゃくちゃ良くできてると思います。
この五角形のフラップ。
上部には、ダブルステッチが入るのですが、そのステッチがSuvin Gold Supremeに果てしなく映えてる。
正真正銘の"良い生地と、良い縫製"。
これが組み合わされることで、本当の意味でのものの良さを感じることができる。
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この五角形のフラップは、二枚の生地が縫い合わされたもの。
加えて、ポケットそのものにも非常に細かい運針が入る。
更に、加えて、ポケット口の両端にはシルク糸での手縫いのカンドメ。
感激のポケット。
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そして、そして、袖にもAraki Yuuのオリジナリティを感じるの。
今まで、Araki Yuuでつくってきたシャツは、比較的、アームそのものが細めのものが中心でした。
それも僕は大好物なのですが、
今回は、盛夏に相応しいというアプローチでの半袖シャツ。
風が通り抜けることを考えた5部袖のボリュームや、その風の通り抜けの調整が効く剣ボロの仕様。
着用する方に、このシャツを心地よく着てもらえるように、ということを第一に考えた袖の設計です。
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ちなみに、これは、剣ボロの裏の写真です。
ちょーフラットで、ちょーキレイ。
ここまで剣ボロがフラットで、綺麗に仕上がっているシャツを皆様はご覧になられたことがあるでしょうか??
僕は、、、
ありません!
この剣ボロ裏の処理は、数年前だったかな??
荒木さんが考えたもので、"どうやったら袖口の肌当たりが一番気持ち良くなるのか"と研究し、出来上がったディテールです。
これ、ほんっっとすごいから。
Araki Yuuは、誰もができないレベルで、裏の処理を極めてる。
そういう洋服づくりをしてるブランド。
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裏の全体像。
今回の半袖シャツの裏の処理も、尋常じゃないくらい綺麗な仕上げです。
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表では、断ち切りになっている箇所も、裏側はとっても綺麗な縫製してる。
これが、Araki Yuuの洋服の着心地の良さを現してる。
特に、今回の半袖シャツは、インナーが薄いものである可能性が高いじゃないですか。
だから、文字通り、肌でAraki Yuuの縫製の良さを感じてもらえると思いますよ。
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前立ての裏です。
前立て裏の生地端も、きちんとオーバーロックをしてる。
この半袖シャツは、裏前立てが広い仕様で、Suvin Gold Supremeがとても柔らかい生地ということもあり、薄い芯地が貼られています。
Araki Yuuの服のムード、生地の柔らかいニュアンスは崩さずに、半袖シャツでも、軽薄なものになってしまわないよう、保形するために芯地を貼ってるんじゃないかと思いますね。
今回のShort Sleeve Shirtは、裏前立てが広いこともあるのですが、僕の印象では、あまり前合わせの箇所に芯地を貼るイメージがないブランドです。
でも、この半袖シャツについては、いつものシャツの延長線上につくったものではなくて、"Araki Yuuとして盛夏に着るのにベストなもの"を考えて開発したシャツだと思う。
だから、さっきも言ったけど、Araki Yuuの"思考の痕跡"がすごく感じられると僕は思うんですよ。
それで出来上がってる100%の半袖シャツ。
これみんな持っていた方が良いと思う。
まあ、みんなって言えるほど、納品してもらえてないんですけど。
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裏から見た袖口。
裏からの写真なのに、洋服のクオリティの高さが溢れてまくってるでしょ。
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着用。
身長167cm、体重52kgで1。
いつもなら、Araki Yuuは僕はサイズ0で着用をするのですが、僕くらいの体格の方や、もう少し大きい方でもサイズ1で、良いボリューム感で着られるだろうなって思ったので、今回は、サイズ1と2だけの取り扱いにしています。
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いや、やばい。
半袖シャツで、このレベルのオーラ。
見たことない。
ちなみに、無論、当店の春夏シーズンは、このAraki Yuuの半袖シャツがラストです。
物理的に限られた方のみしか所有頂けるものではありませんが、手にして頂けた方は、カネタ織物さんのSuvin Gold Supreme生地を、Araki Yuuの洋服づくりを、思う存分ご体感ください。