こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。
本日も今週末からのこちらのイベントに関して。

WONDER ROOM ESSE
collection 004 launch event
2026.10.24 (SAT) - 2026.11.01 (SUN)
一般的にはTシャツの素材である天竺と、スウェットの素材である裏毛。
僕はWR/ESSEに出会って、圍さんの生地に出会って、天竺・裏毛に対しての感覚がひっくり返りました。
それまではパッと見では大きな違いを見出せなかったのですが、WR/ESSEの背後にはとんでもなく奥深い世界が待っていた。
そしてその奥深い世界は、皮膚を通した身体感覚としてジワジワと伝わってきます。
今のご時世、物事の価値がとてもクイックに判断される時代であることは承知しています。
それでも僕は、WR/ESSEのようにジワジワと価値が伝わってくるものの方が楽しい。
その楽しさ、奥深さを体験する入り口となれればと思い、今回もWR/ESSEの渾身の生地を軸にラインナップをご紹介致します。
本日は裏毛編。
今回初登場の生地をメインでいきますね。

fabric _
< PATINA >
まずはこちら。PATINA(パティーナ)。
WR/ESSEとしては初めてフェードする加工を施してヴィンテージスウェットのような見た目に着地させたシリーズ。
ただしそこはWR/ESSE。昨今よく見るエイジング加工系のものとは一味も二味も違います。
圍さんはこのPATINAに辿り着くまでに何100着ものヴィンテージスウェットを研究しました。
色のフェード感だけでなく、半世紀近く経って生地が痩せて薄くなったり、裏糸がボソボソとダマになったり、そもそも当時のアメリカの裏毛特有のネップ混かのような荒さだったり。
古いスウェットに宿る、時間の経過が生み出した風合いへの挑戦。
PATINAはここからスタートしました。

これはPATINAの裏。
その挑戦において圍さんが出したアンサーは、「裏毛の構造そのものを変える」ということでした。
はい、お察しの通りここからは超難解。生地オタクのお話です。
ずっと分かってたんですけど、やっぱり圍さんはヤバい人でした。笑
僕もまだ理解が甘く伝聞ベースな感じになりますが「裏毛の構造そのものを変える」という話、少し踏み込んでみます。
まずは大前提として、このPATINAはジャガード裏毛です。
今までの圍さんの生地では、FRIENDやFEATHERがジャガード裏毛です。
このジャガードというマシンの特徴は、柄を出すことができるということ。
実際にPATINAを作っている工場さんも某メゾンブランドの柄パターンのニット生地などを手がけているらしく、それはもうもちろんクオリティは折り紙付きなのですが、そういう柄物を作るときに用いられるのがジャガード編み機、というわけです。
編み物において柄を出すことができるということは、つまり糸の飛び方を自在に設計できるということ。
圍さんは、ジャガードのこの特性を活かして裏毛の構造自体を書き換えました。


表と裏。
表からは普通に見えますが、裏は少しボソボソとした表情。
これが特殊な構造によって生まれた表情です。
この構造、WR/ESSEでは”スキップパターン”と呼んでいましたが、簡単に表現すると「裏糸の飛び方を工夫している」そうです。
これ以上詳しくここで書くことはできないのですが、糸の飛ぶリズムやルートをセオリーから書き換えて、本来の裏毛の規則性を無視する。
さらに糸が飛ぶ際に強弱をつけることで、より当時のスウェットのような風合いや軽さを表現したとのこと。
原料や糸の質を落とすことなく、当時のムードを構造で表現したということです。
ただしさらにヤバいのは、このPATINA、加工を前提とした設計になっているということ。
つまり、編み上がった時点では風合いは完成しておらず、染めの工程を経て狙った表情と肌当たりになるようにコントロールしているのだそう。
さらに、その染め加工の種類によって生まれる表情が変わるらしく、天然染色の場合や高温のプレスを必要とする染色など、様々なプロセスを想定して全てに対応できるようにバランスも取ってある、と。
え、そんなこと出来るの?
もうね、未知の世界すぎるよ。笑
そもそも加工前提で構造を書き換えてることとか、その不規則な設計に至ること自体が訳わかんないけど、そこから生まれる表現は限りなく無限大に近いってヤバい。
ちなみに今回のPATINAは顔料染めを行っているのですが、顔料だと少し肉感が薄くなり、軽さが際立つのだそう。
圍さんは「生地屋として本気で加工に勝負した」と話していました。
まさにそう思う。流通している生地に加工で個性を出すのとはちょっと次元が違う。

WR/ESSE
[PATINA] The Line
color _ INK BLACK

WR/ESSE
[PATINA] The Flow
color _ INK BLACK

WR/ESSE
[PATINA] The Frame
color _ INK BLACK
PATINAからはこの3型。
クルーネックのThe Lineと、パンツはThe FlowとThe Frameの2種類。


The Lineは今まで通り天竺でも裏毛でも登場するオールラウンダーなクルーネック。
PATINAは裏毛なので立ち位置としてはスウェットですが、設計と加工のコンビネーションによって軽くドライなタッチに仕上がっているので通年で使いやすいデイリーなスウェットです。
背中側にはいつも通りシームが入ります。色味のフェード感や生地のテクスチャにはヴィンテージかのようなムードがありますがフォルムはストイックに。
このバランスはWR/ESSEらしさを象徴していると思います。

こちらはThe Flow。
The Flowは、26SSにおいて当店ではECHOの生地でご紹介をしましたが、脇接ぎのないワイドなシルエットです。

形と生地の相性や動き方の習性から生地を横使いにしています。
生地と形を深く理解し合っているWR/ESSEチームだからこその連携プレーです。
このThe Flowの形だと裾幅も広いので、PATINAの生地は特に通年で使いやすいものになると思います。
独自の変則裏毛構造は肌離れの良さにも効果を発揮。フェードした表情もあって身体的にも見た目的にも重くなりすぎずに履ける。
今回PATINAは秋冬シーズンでの提案ですが、季節に囚われずにご覧いただきたいです。


The Frameは今回の新型。
The Flowに比べるとコンパクトめなスウェットパンツ。
いわゆるジョガーパンツ的なバランスですね。
個人的にこのバランスはかなり今の気分です。


ヒップやワタリは比較的スッキリめ。
その分運動量を確保するために股下にはガゼットクロッチ。

しっかりとしたリブと、細めの裾幅。
リブの上に溜めるイメージではなく、ストンと落とし切るイメージ。
着用した写真がなくて申し訳ないですが、久しぶりにこのバランスのスウェットパンツ、かなり良いと思います。
スポーティーなイメージのあるジョガースタイルも、生地がここまでやり込まれているとアスレチックウェア感が出ないですね。


WR/ESSE
[WHALE] The Flow
color _ BLACK,DUSK


WR/ESSE
[WHALE] The Frame
color _ BLACK,DUSK
このThe FlowとThe FrameはWHALEの生地でもご用意がございます。


fabric _
< WHALE >
WR/ESSEが誇る、究極の吊り裏毛、WHALE。
WHALEを使用したパンツは、実はファーストシーズンぶりの登場です。
WR/ESSEファンには待望でしょう。
そもそもWHALEとは。簡単に言うと、改造に改造を重ねた特殊な個体の吊り編み機でしか生み出せない超高密度かつ柔らかなタッチを実現したウルトラ裏毛。
WR/ESSEの吊り編みの生地は全てWHALEを手がける職人さんによる生地なのですが、この職人さんは自身で改造を重ねた吊り編み機(45号機というそう)だけで生地を作っています。
10年ほど前まではまだ何台か稼働している状態だったらしいのですが、今ではもうこの45号機だけ。
他は全て壊れてしまったり、この45号機を生かすための生贄としてパーツを捧げたりしたのだそう。
なので、この機械が壊れれば、もうおしまい。
たとえ同じ型番の吊り編み機が世界のどこかにあろうが、それに同じ改造を行うおが、同じ職人さんにお願いしようが、もうWHALEは出来ない。
それくらい前代未聞の奇跡的な裏毛。
そんなWHALEの久しぶりのパンツ。
体感できる時に体感してください。


The Flow。
PATINAのものと形や仕様は基本的に同じで、こちらも地の目の向きは横。
PATINAやECHOのThe Flowよりも、生地に圧倒的な肉感とハリがあるのでより大胆なシルエットを描きます。
その分重みがあり、高密度すぎて風も止めてしまうので冬には最高なスウェットパンツ。

WHALEは製品染めで仕上げています。
新品時は製品染めとは思えないほど端正な表情ですが、50回くらい洗うと次第に表情が豊かになり始めます。
イベント中は僕が100回以上洗ったWHALEのパーカーを着ていると思うのでエイジングの感じはそれで確認してください。

こちらはThe Frame。ジョガースタイルです。
裾リブもつくので、より冬には最高。
楽だし洗えるし暖かいし、気がついたら履いてしまう系の1着です。
あと個人的な見どころとしては、26SSから圍さんのアトリエを縫製工場化してWR/ESSEの縫製の品質管理を直接行うようになったことで、WHALEの顔つきがまた一段変わったように感じます。
縫製や仕上げの部分も進化し続けています、WR/ESSE。

fabric _
< NARWHAL >
そして今回、WHALEから進化を経た吊り裏毛が登場しました。
NARWHAL(ナーウェル)。
NARWHAL = イッカク。ツノが生えたようなクジラのなかま。
WHALEからNARWHALへ。その系譜を継ぐ者であることは明らかです。
ではNARWHALは、WHALEとは何が違うのか。
前述した通り、WHALEは圧倒的な密度からくる鎧のような表情とそのタフネスさが魅力。
着るとズシっと重みを感じ、絶対的な安心感のある着ごたえが魅力でした。
NARWHALではその吊りの魅力を損なわずに、少しの軽さとヌケを両立しました。

NARWHALはコットン80%シルク20%の吊り裏毛。
WHALEとの大きな違いはここ。
まだ複数台の吊り編み機が動いていた頃、WHALEの生産と並行して圍さんは様々な吊り編みのテストを行なっていたそう。
カシミヤやヤクなどの獣毛を試したり、配合を変えたり、肉感を薄くしたり。
聞いた限りでもとんでもなくハイレベルな試行錯誤を行う中で、ハリや肉感、現代の日本の気候への適性、何より見た目としての吊り編みの魅力、これらを高次元で兼ね備えることができるのがシルク混だとたどり着いた。
そこからシルクのパーセンテージを何パターンも試し、たどり着いたのが80%/20%のNARWHAL。
50%/50%まではチャレンジしてみたそうですが、シルクが強すぎるとすぐにダレてしまうらしく、45号機の吊りの表情とコットンのしっかりしたコシを残すには80%/20%が最適だったそうです。
厳密にいうと、表糸と裏糸にコットンシルクの糸、中糸にはコットン100%のオリジナル糸で構成されているとのことで、中糸をコットンにしておくことがコシのあるしっかりとした質感につながるのだとか。
その結果としてこのNARWHAL、肌へのタッチはものすごく柔らかく、モチッとした肉感の割に軽くて、温度湿度が過剰に溜まらずにヌケるので蒸れずに快適。
僕はWHALEの重さや不器用さもロマンがあると思っているので大好きですが、NARWHALはもっとオールラウンダーになったように感じますね。


WR/ESSE
[NARWHAL] The Line
color _ BLACK,SALMON
NARWHALのThe Lineはとにかくオールラウンダーなクルーネックスウェット。
吊りのカジュアルさもあり、やりすぎないシルクの程よい主張がある。さらに夏場以外は快適に着用できる。
カジュアルなのに上品だし、イージーケア。完璧でしょ。


SALMONはリブがほんのり配色になっていますが、かなりいいアクセント。
NARWHALもWHALEと同じく製品染めでの仕上げなので、着用と洗濯を繰り返した時により調和が取れてくるのではないでしょうか。

何度でも言うけど、僕はこの背中心のシームが生むシルエットにずっと感動しています。
シルエットのもったりした感じが原因でスウェットが得意じゃないんです、って人は十中八九この仕様で感覚が覆ると思います。

WR/ESSEらしいスプリットしたスリーブ。
見た目のモダンさと運動量、サイドからの見栄え、ヴィンテージのそれとは違う答えを導き出しています。

WR/ESSE
[NARWHAL] The Step
color _ BLACK,SALMON
NARWHALのパンツはThe Step。
26SSシーズン、革命的な天竺素材だったPEBBLEでご紹介した形です。
PEBBLEはまるで天竺らしくないスラックスのような立ち位置でしたが、NARWHALになるとまた表情が変わります。

PEBBLEよりも柔らかく落ち感が生まれます。
同じ型であっても、生地が変わると全く表情が変わるのもWR/ESSEの面白いポイント。
WHALEの派生として生まれたNARWHALですが、WHALEでは表現できなかったポジションがこのThe Stepにはあると思います。
この生地と形の相性はとても素晴らしいと感じました。

少し脇線を前傾させて、そのシームを利用してポケットを構築。
この辺りもとても洗練されていて、裏毛でこの縫製仕様なのにもちゃっとした厚みを出さずに処理しているのはとても綺麗だと思います。

スウェットパンツというよりも、トラウザー的な性格を強く持つThe Step。
The FlowやThe Frameとは異なるスタイルを持っているパンツだと思います。
天竺と裏毛だけでここまで様々なスタイルを表現できるのもWR/ESSEの凄みだと思います。
生地に圧倒的な強みを持つブランドですが、決して”プロダクト”にならず、”洋服”として表情や個性を持っている。
その表情や個性はパッと見て分かるものではないかもしれませんが、着ることを通してなら誰しもが感じることができる感性を超えた質だと思います。
本日はまずは裏毛編。
明日は天竺編が待っています。
土曜日からのイベント、お楽しみにお待ちいただけましたら幸いです。