こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。
GW、みなさまいかがお過ごしでしたでしょうか。
CASANOVA&COは、遠方からお越しいただいた皆様と、いつもお越しいただける皆様にご来店いただき、ごった返すことも閑散とすることもないThis is GWといったウィークでした。
今週末の10日(日)まではDAN TOMMATSUのオーダーイベントを引き続き開催中ですので、こちらも引き続きご覧いただけましたら幸いです。
で、本日は、WR/ESSEのお話。
今シーズンは2月末から3月の頭にかけて恒例のイベントを開催させていただきました。
その際には”PEBBLE”のThe Stepと”SHADOW”のThe Plainにフォーカスしてご紹介させていただきました。
特に”PEBBLE”は、シャツ生地のような布帛という選択肢を持たないWR/ESSEの新たな可能性を切り拓いた天竺素材。
これはブランドの今後のスタイルにとっても、僕たちの生活にとっても革命的なものだったと思います。
ただね、今シーズンのWR/ESSEは、まだまだ終わってない。
当店ではほとんどのブランドの納品がオールインした状態で、こないだWR/ESSEからたくさん届きました。笑
これからの季節に最適であり、一年を通して欠かすことができなくなるような、まさにエッセンシャルな新しい裏毛。
ECHO(エコー)。
WR/ESSEの生地開発を担う圍さんの新境地とも言える裏毛だと思います。

これ。
これが”ECHO”。
これはね、ほんとに良いです。
”良い裏毛”の概念が、アップデートされる。
パラダイムシフト裏毛ですな。
一般的には”良い裏毛”と言われれば度目の詰まったヘヴィーで肉厚な裏毛を連想する人が多いと思います。
それは昨今のトレンド的にもその流れだったように感じています。
そのゾーンに関しては、WR/ESSEにおいては”WHALE”が担っており、”WHALE”はトレンドだとかそういう概念を超越した質ものだったのですが、そこではない裏毛の表現を見出したのが”ECHO”です。

これが”ECHO”の裏。
初期からご覧いただいている方にはお馴染みかもしれませんが、ブランドではファーストシーズンとセカンドシーズンに展開された”FRIEND”という生地がありました。
実はこの”ECHO”、”FRIEND”があったからこそ生まれた表現です。
”FRIEND”が端正な表情を目指したジャガード裏毛だったのに対して、”ECHO”では新品の時から着古したような柔らかな表情を目指しました。
圍さん曰く、「FRIENDは真面目すぎる」のだそう。
いや、圍さんの生地は真面目を通り越してクレイジーなストイックさのものしかないでしょ。とは思ったけど。笑
ただ、その"FRIEND"の真面目さをより柔和にして、そして”FRIEND”が標榜した「365日着られる裏毛」という狙いをそのままに、より夏場への適性を高める。
これらの狙いを叶えるために生まれてきた”ECHO”は、シルクを掛け合わせた裏毛素材。


それを踏まえて、もう一度、表と裏。
どちらも表面にボソボソとしたテクスチャが見えると思います。
これが、今回取り入れたシルクネップ混の糸が生み出す表情です。
この着古したような表現においてシルクネップを用いるメリットとして、
①シルクの調温、調湿機能
②コットンやリネンで表現するネップには無い軽さ
③撚糸の強さに対しての肌当たりのソフトさ
などが挙げられます。
①と②はなんとなく伝わりやすいと思いますが、個人的には③が結構重要だと思うんですよね。
”ECHO”においては、1年を通して着用できるエアリーさを追求する上で、表糸/中糸/裏糸の全てを単糸で構成する設計になっています。
ただし、単糸での設計は軽さが出る反面、双糸や3子撚りに比較すると生地としての耐久性に支障が出てしまう。
でも、それを糸番手を太くすることでカバーしようとすると、今度は重量が増して通年着用できるものではなくなる。
この狭間で圍さんは、細番手の強撚糸にMVS加工をかけることでピリングを防ぐとともに糸自体に強さを持たせることにしました。
ただね、これもまた糸のタッチに変化が出てしまうことになるんです。
どういうことかというと、強撚糸にMVS加工をかけるということは、当然糸はジャリジャリとした硬いタッチになる。
軽くて通年着られるウエイトの裏毛でも、肌あたりがジャリジャリでは意味がない。
そこで、登場したのがシルクネップ。
綿糸だけで構成するのではなく5%のシルクネップをミックスし、強撚MVS単糸にすることで、肌当たりと肌離れを両立して、生地のエアリーさ、シルク特有の調温調湿機能、さらには着古したような柔らかなムードの全てを”ECHO”に与えた、というわけです。
...まぁ、言葉じゃわかりにくいですよね。
まぁ要は”スウェットという響きから連想される感覚をぶっ壊したヤバい裏毛”とぐらいに認識してもらえたらいいです。
触れていただいたら、なんとなーく感じていただけると思いますので。


WONDER ROOM ESSE
The Line
material _ [ECHO] cotton 98%,silk 2%
color _ STONE GRAY,BLACK
size _ S,M,L
"ECHO"を使用しているアイテムは3品番ありますが、まずは長袖クルーネックのThe Line。
このThe Lineは天竺でも裏毛でも使用される型でして、形としてもまさにロンTとスウェットの中間のようなイメージ。
個人的にはまさに”ECHO”がピタッとハマる型だと思っています。

ネックは詰まりすぎず、緩すぎず。
今までのスウェット系に比べると少しゆとりがあるように思います。

肩はいつものスプリットです。

イベントの時にご紹介していた”SHADOW”のThe Plainと同様に、The Lineも背中心にシームが走ります。
僕はこのシームが肝だと思っていて、ここに接ぎがあることで余計な分量を削ぎ落とし、裏毛でありながらWR/ESSEらしいシャープなフォルムを演出しています。

袖&裾はリブ。
しっかりしてるけど、キツすぎない感じ。
気軽に腕捲りできるくらいのイメージです。


写真だと分かりずらいですが、ブラックもシルクネップの表情があることによって柔らかな表情になっていると思います。
今までの圍さんの裏毛や天竺は限界まで度目を詰めて編み上げた生地が多かったのですが、今回の”ECHO”はその逆。
なるべく甘い度目で編み上げることでよりエアリーな質感に仕上げて、シルクネップの表情にブーストをかけるイメージ。
その分、タンクトップの上から着るのが似合う裏毛になっていると思います。



WONDER ROOM ESSE
The Flow
material _ [ECHO] cotton 98%,silk 2%
color _ LIME,STONE GRAY,BLACK
size _ S,M,L
こちらも初紹介の型、The Flow。

アウトシームの無いワイドシルエットのフルレングスです。

一般的にはアウトシームの切り替えを利用してポケット口を作りますが、アウトシームが無い構造でもこのピシッとしたポケット。
裏毛素材では通例省かれてしまうことが多いアイロンワークを怠ることなくやっているからだそう。
圍さんのアトリエでのインハウス縫製だからこそのクオリティーコントロールです。

ウエストはゴムとスピンドル。
社会の窓は無しです。

先ほどの写真でお分かりの方もいるかもしれませんが、このThe Flowは生地を横使いにしています。
布帛素材のパンツでの生地の横使いは、一般的には横方向のハリを利用してシルエットを張らせて見せるというのが目的のように感じていますが、この"ECHO"の横使いは、着用や洗濯によって起こる伸びや縮みなどの”生地の縦の動き”が形に影響を与えないようするのが目的。
おそらく普通に地の目にそって縦に生地を使っていたとしたら、着用を重ねると生地が伸び、さらにはアウトシームが無いことによってその伸びの差も生まれてパンツのラインが崩れてしまうのだと思います。
つまり生地を横使いにすることによって、縦方向への生地の動きによる歪みを最小限に抑えているということ。なんじゃないかな。
布帛と異なり、生地の動きの自由度が高い裏毛素材を狙った形にコントロールするための仕様であり、それが新品状態だけでなくガンガン着ていった先にピントを合わせていることが素晴らしいと思います。
圍さんの生地はとてもタフですが、縫製も仕様も共にタフであるということがWR/ESSEの考える”エッセンシャル”だと思います。


WONDER ROOM ESSE
The Edge
material _ [ECHO] cotton 98%,silk 2%
color _ LIME,STONE GRAY
size _ S,M,L
"ECHO"の最後はこれ。
裏毛のノースリーブ。
マニアックな選択肢のように思えるかもしれませんが、これは名作です。
タックトップの上からノースリとしてもイケるし、Tシャツの上からベストとしてももちろんOK。
さらにその上に何か羽織ればクルーネックのスウェットを着ているように見えるのに、アームはもたつかない。
これこそ1年を通して着用することを目指した"ECHO"の最適解なのではないか。

肩の落ち方、脇の開きも絶妙。
ノースリとしての着用にも、ベストとしてのレイヤードにも、どちらにとっても最適解を導き出したんじゃないでしょうか。
これはとにかく着てみてください。
"裏毛のノースリ”という想定していなかった選択肢が生まれると思います。

あ、そうそう、大事なことを言い忘れてました。
今回ご紹介している"ECHO"のシリーズは全て製品染めで染色されています。
淡いLIMEも、パープルっぽさを帯びたSTONE GRAYも、BLACKも、全て製品染め。
この製品染めが、シルクネップのどこか古着っぽいような表情を後押ししています。
そして前述の通り"綿糸だけで構成するのではなく5%のシルクネップをミックス"しているのにも関わらず、商品時点での混率としてはシルクが2%しか含まれていないのも、この製品染めによって起こっているのだそうです。
僕は今日の朝まで全く知らなかったけど、WR/ESSEでは生地の混率検査を2回行っているのだそう。
1度目は生機の状態、2度目は染め終えた状態。
今回の"ECHO"のような製品染めに限らず、生地染めの場合でも同様だそうです。
これは、染めの工程を経ることによって混率に影響が出てしまうことがあるから。
特に"ECHO"で使用しているシルクやカシミヤなどの繊維が含まれる場合は、染めの工程でそれらの繊維が落ちてしまう現象が起こりやすいらしく、どれだけ圍さんのように糸づくりからコントロールして何%ブレンドしたのかという事実を知っていたとしても、製品の状態ではそれは嘘になってしまう可能性がある。
圍さんは今まで世界のトップメゾンとの仕事を行ってきたからこそ、そのような事実確認にとてもシビア。
この混率検査、もちろん専門の機関に依頼をして行うことになるので、一回の検査になかなかのコストがかかるのですが、それでもお構いなし。
たとえ圍さんが自分で混率をコントロールした糸だったとしても、WR/ESSEにとっては必要な工程。
2回に渡って混率検査をすることが異例かどうかまでは業界の全てを知っているわけではないので僕には分からないけれど、これだけでもWR/ESSEがどれだけ真っ直ぐにものづくりをしているのかは感じていただけると思います。
なので設計段階ではコットンに対して5%のシルクを投入した"ECHO"ですが、商品の品質表示にはちゃんとシルク2%で表示されています。
差分の3%のシルクは事実上飛んでいってしまったのかもしれませんが、生地の表情からその面影を己のハートで感じ取ってください。



全身"ECHO"のThe Line×The Flowスタイル。
僕は長袖のインナーで着ちゃってるけど、タンクトップにThe Lineで最高に気持ちの良い季節だと思います。


裏毛の概念を覆すほどエアリーな"ECHO"だからこそのドレープと、その動きを完璧に読み切ったThe Flow。
圍さんと濵田さんの抜群のコンビネーションです。


個人的にはLIMEの色味が抜群に良いと思う。
生地の着込んだような表情も相まって、気取らずに着れるイエローだと思いますよ。


The EdgeのLIMEなら、これくらいテキトーな力の抜けたレイヤードが気分です。



STONE GRAYになるとモダンな感じ。
"裏毛=スウェット=ほっこりしたもの"というステレオタイプを打ち破った傑作裏毛だと思います。
"ECHO"シリーズは、明日8日(金)から店頭にて販売開始いたします。
"スヴィンの向こう側"を味わえるCAMELLIA、夏のPEBBLLEの選択肢となり得るThe Drift、SHADOWのThe Plainなどと共に店頭にてWR/ESSEスペースをご用意致しましたので、ぜひ手に触れてご覧いただけましたら幸いです。
お好きな方は見てみてください。