こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。
今日も今週末からのこちらのイベントに関して。

IRENISA 26SS / LIMITED STORE
2026.03.14 (SAT) - 2026.03.18 (WED)
今週土曜日からです、IRENISAのリミテッドストアー。
期間中は、26SSシーズンの3rdデリバリーのローンチと、プラスアルファのモアバリエーションで皆様をお待ちしております。
その26SSの中でも、いや、いままでの12回のIRENISAのコレクション全ての中でもトップクラスに興奮したのが、先日のブログの最後にご紹介したこの生地。

別に優劣をつけるつもりは全くないし、僕はブランドがつくるインラインのアイテムは全てそのブランドの血や肉が形になって現れたものだと思っているから全てが最高だと思っているのだけれど、今回のこれは正直かなりガツンと喰らいました。
IRENISAがより多くの人に見てもらえるようになってきたこのタイミングで、かなりストロングにつくり込まれたパワーファブリック。
しかもそのつくり込みは決して分かりにくい部分に着地させたものではなくて、誰が見ても「どうなってるの?」と感じてしまうほどのもの。
「分かる人だけ分かればいい」という類のものではなく、見た者全てを引き摺り込む見た目の引力と、引き摺り込まれた先で待っているバックグラウンドの奥行き。
かなりヤバいです。

IRENISA
DOUBLE-BREASTED CHESTER COAT
color _ BEIGE
size _ 2

IRENISA
SHORT LENGTH SHIRT BLOUSE
color _ BEIGE
size _ 1
IRENISA
REVERSIBLE TIGHT SKIRT
color _ BEIGE
size _ 1
現状で当店に到着しているのは、この3型。
メンズのチェスターコートと、ウィメンズのブラウスとスカート。
3rdデリバリーにパンツと半袖シャツも含まれているので、イベントのタイミングではご覧いただけると思います。(半袖シャツはイベント間に合わないかも...)
確かIRENISAでこの生地で展開されている洋服、全型セレクトしたんじゃなかったっけな。
展示会の時に小林さんと安倍さんの話を聞いて、それくらい心を根こそぎ持っていかれてしまったのです。
そのお二人によると、この生地が生まれるきっかけになったのは、機屋さんが持っていた”とある生地サンプル”なのだとか。
桐生の産地の機屋さんに訪れた時、機屋さんが所有する膨大なサンプルを見せていただいたそう。
その膨大なサンプルたちの中に、今回のIRENISAの着想源となる生地があった。
”ほぐし織り”と名付けられた、その生地。
話を伺うと、1960年代頃にその機屋さんで生産されていた生地らしいのですが、あまりにも生産が困難&非効率的ということで、現在ではその機屋さんではもう生産できないようになってしまったらしい。
いわゆる、ロストテクノロジーってやつ。
では、その”ほぐし織り”なる生地とはどのようなものなのか。
ここからは僕も現物を見たことがないし、展示会時に聞いた情報がベースになってしまうので伝わりにくい部分もあるかもしれないけど、皆さんのイマジネーションでカバーしてください。笑
”ほぐし織り”とは、一言で表すと、”経糸だけにプリントを行った状態で織り上げる”という技術のこと。
、、、僕はこの時点で既に?マークが頭の周りを飛び始めた。
「”経糸だけにプリントをする”ということがそもそも可能なのか?」という僕の疑問は間違っていなかったようで、
”ざっくりと緯糸を打ち込んで仮織り”して、
”版でプリント”して、
”緯糸を抜き取り”、
”本織り”する。
という、そりゃロストテクノロジーになるだろ、って感じの工程で”ほぐし織り”は行われていたそうです。
この”緯糸を抜き取る”ことから、”解し”という織りの名前になったようです。
このように信じがたいほど面倒な工程で経糸の表面だけにプリントされた柄は、本織りの際に緯糸が高速で飛び交うことで経糸が回転したり捻れたりして、経糸にプリントされた本来の柄からぼやけた状態になり、あたかも柄の層が重なっているかのような表現が可能になるのだそう。
僕が展示会の場で「なんですかそれは!?」となったのと同じように、小林さんと安倍さんも桐生の機屋さんで、「これをやりたい!」となったみたいですが、先ほど書いた通りこの”ほぐし織り”はロストテクノロジー。
であれば、”ぼやけたような柄の層”を生み出す技法を生み出すしかない。
そうして生まれたこの生地。

ベースとなるベージュカラーの生地の上に、紫と緑の滲んだような柄、そしてその上に重なるようにアイボリーの刺繍のような植物の柄。
見事に柄と柄がクロスオーバーしている。
ただしこれは”ほぐし織り”ではなく、IRENISAが今回生み出した”ジャガード”のテクニック。
つまり、前述の”刺繍のような植物柄”は、刺繍ではなく、ジャガードによる織りでの表現です。

ただし特殊なのが、”ジャガードの植物柄”が”プリントの柄”の上に覆い被さっているということ。
ジャガードの柄は生地が織られている最中に生まれる柄。
対してプリントの柄は、織り上がった生地の上から表現されるもの。
つまり本来なら、”ジャガードの柄”の上に”プリントの柄”が重なっていなければいけない。
なのに、逆になっている。
プリントが奥にあって、ジャガードが手前にある。

今回IRENISAは、”ポリエステルの糸”でジャガードの柄を表現し、”特殊なインク”で生地全体にプリントを行い、”生地に洗いをかける”ことでポリエステル部分だけプリントを落としているのだそう。
これによって、本来ジャガードの上にプリントが重なるはずが、あたかもプリントされた生地の上から刺繍を入れたかのように見せている。
元々こういう技法の前例があったのかどうかも僕には分かりませんが、”ほぐし織り”を着想源に、本来の工程から生まれる必然的なレイヤーの順番をひっくり返した表現を生み出したIRENISA。
かなりぶっ飛んでる。
これは、イケすぎている。
そして最初にも書いたように、その結果として生まれたものが、「マニアックなことをやっててカッコいい」という範疇を軽々と超えて、一目見て吸い込まれるような引力を持っている。
これだけの背景と発想と技術が込められたものが、見た目に魅力的であるということは何より本当にすごいことだと思います。
普通、そこは両立しないから。
でも一目見て目を奪われてしまうほどかっこいいし、IRENISAらしさもめちゃくちゃ感じる。

素材はレーヨン65%にポリエステル35%。
パンツや半袖シャツを作れるくらいの軽い生地なので、このコートも分量感に対しての着心地は軽いです。
ですが、肩には薄くパッドを入れることでだらっとしたオーバーコートにはせずに、IRENISAらしい色気と緊張感で軽さとのバランスをとっています。


生地の軽さに対してここまで凛とした形が出るのは、さすがIRENISAです。
パターンの良さ、線の美しさがあるからこそ、こういう素材をバッサバッサ靡かせて切るのが美しいと思います。
着ている人の動きが止まった時に、自然と洋服もあるべき位置に戻り、それが美しい線を描いている。
ボリュームを出して着るのが美しいのは、そういう洋服だけやと思います。


IRENISA定番のセットアップの上から羽織るだけで、一発で空気を変えることができる。
「どうやって着たらいいんだろう」って思う方ほど、一度袖を通してみてください。
驚きが待っていると思います。

ウィメンズのブラウス&スカート。
僕が着ると大変なことになるので、トルソーちゃんに着てもらいました。


ブラウスは裾をドローコードで絞ってブラウジングできる仕様。
スカートは腰位置に濃いベージュのオーガンジーが付いています。

スカートは、実はリバーシブル。

この生地は先述の通りジャガードとプリントでの柄なので、裏っ返すとプリントの柄は透ける程度の見え方になり、ジャガードの柄は光の当たり方できらりと光る。
スカートをひっくり返してセットアップで着るなんて、超洒落てると思うのです。
IRENISAファンを旦那様or彼氏様にもつ女性の皆様には、ぜひこちらを試してみて欲しいです。
このセットアップにジャケットを羽織れば、カジュアルなムードの結婚式とかならいけそう。
男性陣はこの生地でパンツと半袖シャツもあるので、ぜひそちらも楽しみにしてて。
他にもかなりのラインナップで14日を迎えることができそうなんだけど、多分明日到着でアイテムが届くから、金曜日に改めて主要なラインナップなどをご紹介しますね。