こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。
先日までの”SARTO - andante - ”、たくさんの方にご来店いただき、誠にありがとうございました。
とんでもないボリュームと、1着1着の迫力に圧倒されながらも、ファッションが持つ根源的な楽しさを感じていただけていたのではないかと思います。
SARTOチームにとっても、僕たちにとっても、非常に幸せな時間となりました。
本当にありがとうございます。
ただ、このイベント期間中にもたくさんのデリバリーが到着しておりました。
すでにインスタグラムにてご紹介しているものから、そうでないものまで。
本当にたくさん。
追いつかねえでございます。
でも、今日ご紹介するものは、どうしてもどうしても見て欲しくて、知って欲しいものだったので、ここでご紹介させてください。
GERNOT LINDNERの全く新しいシリーズ。
ご存知の方も多いかと思いますが、GERNOT LINDNERはその名の通りゲルノット・リンドナー氏が立ち上げたブランドで、シルバー925をメインの素材として据えてメガネを制作している。
強度だけではなく弾性が求められるメガネフレームにおいて、シルバー925は非常に扱いづらい素材。
ただ、ゲルノット氏は素材の開発から時間をかけまくり、長年の夢であったシルバー925のメガネを現代において確立し、自身の名前を冠したブランド名とした。
それが、GERNOT LINDNER。
そんなゲルノットさんがGERNOT LINDNERの全く新しいシリーズとして挑戦したのが、GERNOT LINDNERでは扱ってこなかった素材。
それが、
バッファローホーン。
ブランドの代理店を勤める担当の方からお話を聞いた時にはビックリしすぎて椅子から転げ落ちそうになった。
”バッファローホーン”の”GERNOT LINDNER”って???
だってブランドとしてはゲルノットさんが長年かけて開発したシルバー925が圧倒的な強みであり個性なはずで、そのラインナップにメガネにおけるラグジュアリー素材筆頭のバッファローホーンのメガネが加わるなんて、色んな意味で信じられなかった。笑
でも、実物を見て感じたのは、それは紛れもなく”GERNOT LINDNER”の”バッファローホーン”だったということ。
理由は簡単。
なぜなら、
バッファローホーン × シルバー925
だったから。

GERNOT LINDNER
GL-601 [Horn]
material _ Buffalo Horn × Sterling Silver 925
color _ black brown gradation
temple _ 145mm
それが、こちら。
ご覧の通り、リム周りがバッファローホーンで、テンプルはスターリングシルバー925。
そもそもシルバー925というのは、92.5%が銀でできた合金という意味で、合わせる金属として鉛やアルミを用いることなどがあります。
その中で割金に使う金属を”銅”だけに限定したものにのみ、”スターリングシルバー”という名称が用いられます。
つまりGERNOT LINDNERのシルバーは、純銀92.5%と銅7.5%によって生み出されているということです。
ただ、ゲルノットさんはそこに対して熱や圧力の掛け方に工夫を凝らし、シルバー925に弾力を持たせることでメガネフレームとして最適なものへとしています。
そのスターリングシルバー925製のテンプルが、バッファローホーンに合体。
人類史上初じゃないですか?この組み合わせのメガネ。
僕は初めて見たのですが、こんなものが存在してしまって良いのかよ、とすら思った。
とんでもなくかっこいい。

バッファローホーンは、もちろん天然の素材なので、色味やそのグラデーション具合を完璧にコントロールすることはできません。
ただ、今回はオーダーの際に、「ブラックからブラウンに変化するようなグラデーションでお願いします」とリクエストしておりますので、先ほどの写真のようなトーンとなりました。

ブラック(厳密に言うとダークブラウンかな)から、リムの下側にかけてベージュのような明るいブラウンに変化します。
実物は写真よりももう少し赤みが強いかも。

テンプルの鋲付近がわかりやすいですが、ホーン特有の筋模様も美しいです。
この辺りも一切コントロールが効かないので納品されるまでどのような見た目になるかわからず不安でしたが、とても品よく上げてくれたと思います。

バッファローホーンとシルバーの最大の繋ぎ目となるテンプル部分は、少しだけホーンに埋め込むようにしてテンプルを鋲で止めています。

天然の素材と人工の素材が見事に繋がるヨロイ部分。
それぞれの素材の力強さと精緻な手仕事の静けさが交わる美しさ。
たまらんでしょ。


テンプルがシルバーになっているのは、実用面でもメリットが大きい。
テンプルはメガネの中でもフィッティングにおいて非常に重要な箇所。
ブランドによると、バッファローホーンでつくられたテンプルよりも繊細な調整が可能で、着用時の頭部への圧迫感も軽減されるそう。
ケアや日々のメンテナンスの面を考慮しても、テンプルのみをシルバー925製にすることが合理的な選択なのだといいます。
この辺りもとてもドイツらしいし、GERNOT LINDNERらしい。
あ、そうそう。
サイズとしては、今回店頭にご用意しているものはテンプルの長さが145mmのもの。
多くの日本人男性の場合はこのサイズで問題なくフィッティングできると思いますので、ご安心ください。

そして、改めて、顔となるホーンの部分。
今回GERNOT LINDNERでは、ドイツの天然素材専門のメガネフレームメーカーがつくるバッファローホーンのリムを採用しています。
昨今はバッファローホーンの生産はインドなどを含めたアジア圏が多いと聞きますが、そのドイツのメーカーは今ではヨーロッパでは2,3社しか無くなってしまった天然素材専門メーカーの一つなのだそうです。
そのリムパーツを、ゲルノットさんの工房に持ち込んで、ドッキング。

この写真でなんとなーく分かるかもしれませんが、リムの厚みの部分を上から見るとツートーンになっている。
バッファローホーン自体は、皆さんがイメージする通りの水牛のツノの形状。
そのツノを板状に加工して削っていくのですが、この時にツノの板を2枚貼り合わせて使用しているそうです。
それが先ほどのツートーン模様。
このツノの板を貼り合わせるのは厚みを出すためでもありますが、その際にホーン特有の筋の方向をクロスさせるように貼り合わせる。
そうすることで、経年によって筋の方向に沿って変形してしまうホーンの特性を打ち消し合うように働かせ、フレームの変形を防止しているのだとか。
メガネになった状態では綺麗に研磨されているので、筋の存在はほとんど見えませんが、展示会の時に見せてもらったバッファローホーンの一枚板は確かに筋に沿って湾曲していた。
素材が持つデメリットや苦手な部分を製品のデザインの文脈の中でどのように解消するか。
そういったところに作為性を感じないのがGERNOT LINDNERの凄みだと思います。

光を受けると飴細工かのようにトロッと輝くバッファローホーン。
全体がバッファローホーンで製作されたメガネによくあるようなゴツいフレームではないので、ホーンが持つ表情の柔らかさにも目が行きます。

そこに、緊張感のあるシルバー925。
バッファローホーンもシルバー925という対極とも言えるような2つの素材は、メガネとして非常にラグジュアリーなチョイスでありながら、GERNOT LINDNERとしての表現の中で調和が生まれ、視力を矯正するために身につける器具としての実用性にも抜かりがない。
見た目に派手さやキャッチーさはないかもしれないけど、とてつもなく深みを感じることのできるデザイン。
僕が見てきた中では、キング・オブ・メガネ。
素晴らしい素材を用いた、素晴らしいメガネだと思います。
ただぁ!
僕が素材や技術の凄さ以上に感動したのは、ゲルノット・リンドナーさん本人の情熱。
ゲルノットさん、今年で84歳だったと思うのですが、そのご年齢で新たなチャレンジをしている凄さ。
それも今まで触れたことのない世界でのチャレンジではなく、彼が70年間突き詰め続けてきたアイウェアという世界の中でのチャレンジ。
これは、もう文字にはできないほどすごいことだと思う。
ちょうど先日、お客様に「何事においても分かった気になっちゃたら終わりだよね」という言葉をいただいたんです。
分かったつもりになって、新しいものを受け入れたり取り入れたりする事をやめたら、ジ・エンド。
いつまでも受け入れることができる自分でありたいけどそれって意外と難しいんだよね、と。
僕はとても共感したし、とても勉強になった。
と同時に、受け入れた上で”求めている”ゲルノットさんの凄みを再確認した。
まさに探究心という読んで字の如くですが、”道の先にあるもの”を探し、究めようとする心。
ゲルノットさんその情熱が誰よりも強いのだと思います。
そして、それが楽しくて仕方ないのだろうとも思います。
もちろん僕は本人にお会いしたこともないし言葉を交わしたこともないけれど、じっくりとGERNOT LINDNERのメガネと向き合ってみて、自分自身でも日頃から使ってみて、そんなふうに感じた。
物を買って身につけるという行為を通して、心が温まるような経験をしたのはGERNOT LINDNERが初めてでした。
むちゃくちゃかっこいい洋服を買ってテンションがブチ上がることも、逆に背筋が伸びる思いになることも最高に素敵だけど、それとは少し違う感覚。
こればっかりは個人の感覚なので、だからいいですよGERNOT LINDNERっていうのは大袈裟かもしれないけれど、業界の発展に寄与し続けたレジェンドが放つメガネたちにはそれくらい感じれるものがたくさんあると思います。
分かった気にならずに、受け入れる気持ちがあれば。ね。
最後に、現在のCASANOVA&COでのGERNOT LINDNERの在庫状況を掲載しておきます。
オンラインストアへの公開はしておりませんので、お問い合わせいただく際やご検討いただく際にご活用ください。
まずはKYOTOシリーズ。


GERNOT LINDNER
KYOTO Ⅰ
material _ Sterling Silver 925
color _ SN
temple _ Adjustable


GERNOT LINDNER
KYOTO Ⅱ
material _ Sterling Silver 925
color _ SN
temple _ Adjustable
KYOTO Ⅱはクリップオンもご用意がございます。
今ではメガネのスタイルとして一般的になったクラウンパント型ですが、KYOTOシリーズはGERNOT LINDNERの空気を纏った一味違うクラウンパントだと思います。
お次は定番の150番台


GERNOT LINDNER
GL-153
material _ Sterling Silver 925
color _ SN
temple _ Adjustable


GERNOT LINDNER
GL-151
material _ Sterling Silver 925
color _ SN
temple _ 140mm
かなりラインナップが少なくなってしまいました、、、
まぁ、変わるものではないので、気長に選んでやってください。
そして次はツーブリッジ。


GERNOT LINDNER
GL-250
material _ Sterling Silver 925
color _ SN
temple _ Adjustable


GERNOT LINDNER
GL-253
material _ Sterling Silver 925
color _ SN
temple _ Adjustable
ツーブリッジタイプはノーズパッドが付くので、レンズが重くなってしまいやすい強近視の方には良い選択肢かもしれません。
そして最後にリムレスシリーズ。


GERNOT LINDNER
GL-401
material _ Sterling Silver 925
color _ SN
temple _ 140mm,145mm


GERNOT LINDNER
GL-450
material _ Sterling Silver 925
color _ SN
temple _ 140mm,145mm
当店では今年の春からお取り扱いをスタートしたリムレス。
メガネの最小単位で構築されている究極のデザインだと思います。
以上が当店の現状のラインナップです。
王道のものから、ツーブリッジやリムレス、さらには今回のバッファローまで、GERNOT LINDNERを体感していただくには最高の状態だと思います。
気にかけていただける方は、ぜひご覧ください。