こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。
ブログではご無沙汰しておりました。
もちろんサボっていたわけではなく、色々と今後に向けて東奔西走しておりました。
早いものでもう8月。
葉月です。
最近の日本列島は狂ったような暑さですが、そんな中でも秋冬シーズンの開幕は待ってくれません。
世間では早いブランドだと6月中旬から秋冬シーズンとしての納品が始まっていたりもするので、これでも当店の秋冬立ち上がりは遅い方なのではないでしょうか。
私共では先駆けてT.Tからの25AWはInstagramにてご紹介させていただきましたが、ブログでの25AWトップバッターは、”Nomàt”。
当店では25SSから共にお取り組みを始めたブランドです。
ブログでフォーカスするのは初めて?かな?と思うので、少しブランドについてご紹介を。
ブランドスタートは確か2020SSだったと記憶しています。
デザイナーは野村さんという日本人の女性。
途中、Nomàtの創造性をより高めていくための休止期間を経て、今回の25AWシーズンが10回目のコレクションとなります。
野村さん自身がモードのブランドでパタンナーとしてのキャリアを積んでいた経歴から、Nomàtの形づくりや技法はかなりテクニカルかつアーティスティック。
さらにシーズンルックの撮影はパリの撮影チームと連携しており、ルックの表現だけでも十分に見応えのあるアウトプットをしていると思います。(ブランドインスタグラムのハイライトに今までのルックをまとめてくれているのでぜひご覧ください。)
そのような洋服の外側を彩る発信と洋服本体の佇まいがそうさせているのか、ドメスティックなのかインポートなのかもよく分かりにくい印象をお持ちの方が多いように感じます。
もっと言えば、メンズのブランドともレディースのブランドとも、はたまたユニセックスブランドとも位置付け難い”強さ”もある。
めちゃくちゃ雑に言えば、男性が着ても女性が着てもかっこいい洋服であり、そこに年齢を問わない。
僕のNomàtのイメージはそんな感じ。
なので、今日ご紹介するNomàtの洋服も国境や性別、年齢を超えていると思う。
届いてるのが1型だけだからあんま伝わんないかもだけど。
Nomàt
COTTON Gathered Shirt
color _ Pearl Grey
size _ 1,2
こちらのシャツ。
その名の通り、ギャザーがたっぷり入ったシャツ。
僕個人的にはかなりNomàtらしさを感じられる要素がふんだんに盛り込まれていると思っているので、ちょっとご紹介させてください。
まずは特筆すべきは、名前にもなっている、ギャザー。
フロントもバックも袖もカフスも、夥しい分量のギャザーが入ります。
縫製者さんからしたら致死量なんじゃないかと思うくらいのギャザーですが、Nomàtは全て自社工場での縫製なので、完璧にクオリティーコントロールされています。
生地について詳しくは後述しますが、特にこのような縫い直しの効かない生地でのこれはかなーり神経を使うものだと思いますよ。
もう一度正面からの写真。
ギャザーから分量が広がり、裾にかけてカーテンのような揺らぎが生まれる。
横から。
とっても柔らかい表情。
ただその全体の表情の柔らかさに対して、注目して欲しいのは肩から袖にかけての流れと収まり。
ギャザーの始点と終点のメリハリ。
分量の出し引きの連続性。
これ、本当に美しいなぁと思うんですよ。
この部分が曖昧でホワホワになっちゃってたら、ギャザーたっぷりカワイイ系ガールみたいになっちゃいますからね。
もし仮にそうだったら、僕みたいなロン毛の髭ヅラが着ると好き好きロンちゃんみたいなキャラになっちゃいますから。(知らない人はググってください。)(ググらなくてもいいです。)
そこをモードに昇華するのが野村さんのパタンナーとしてのテクニックであり、それゆえの性別を超えた洋服なのではないでしょうか。
話が少し逸れてしまいますが、僕個人としては、”ユニセックス”という言葉がどうもしっくりこないのです。
それはNomàtに対してというのはもちろんですが、言葉の意味合いとして本来言い表したいこととはちょっとずれている気がする。
それだったら敬意を込めて「男女兼用でございます」と言った方が正しいと思う。
そしてそのような”男女兼用”の洋服、つまり一般的に言われる”ユニセックス”の洋服の概念と、Nomàtが捉えるジェンダー性は全く異なるように感じる。
これは当店でお取り組みさせていただいているKAKANにも言えることなのですが、女性に向けた洋服を得意とするブランドの中の中性的な洋服に男性サイズがあることによって、それらがユニセックスと語られてしまう現状があると思う。
僕もまだうまく言語化はできないのですが、それはちょっと違うんじゃないのかなって思っている。
NomàtやKAKANのような洋服には、社会性を演じるパフォーマンスとしてのユニセックスとはもっと違う豊かさがあって、それらはユニセックスであるというよりも、もっと自然な形で1着の凛とした洋服としてそこ存在している。
だからこそ男性が着るかっこよさと女性が着るかっこよさが両立していて、着る人にそれぞれの気づきを与えてくれる。
と、僕は信じている。
だからこそ、男性に向けても女性に向けてもこのような洋服は本気でおすすめしています。
話を戻して、このギャザーシャツ。
これだけのギャザーが入ることもあり、身幅にはかなりの分量があります。
腕を広げるとこのようにポンチョのようなバランス。
これが腕を下ろすと先ほどのように綺麗に流れ収まる。
摩訶不思議。
バックサイドはこんな感じ。
かなり迫力あると思います。
今の時期ならショートパンツにこのシャツで完成する。
ボタンはNomàtではちょこちょこ使われているメタルボタン。
染色時のエイジングなのかボタンは別で加工しているのかは分かりませんが、サビのようにしてボタンにも表情が生まれている。
確かに貝ボタンでも水牛ボタンでも着地できないムードに着地している。
そして生地。
素材はコットン100%。
こちらもNomàtがよく使用する、ベリーベリー高密度な近江晒し。
その生地に、”松煙染め”と呼ばれる染色を製品染めで行う。
松煙染めとは、日本では古くから行われている伝統的な染色で、松の木を燃やしてその煤を使い染め上げるというもの。
お着物などに用いられることが多いようですね。
松の煤だけではないですが、煤を主原料とする染色ということもあり、高密度な生地には均一に染料が入らず、このようなムラのある表情となるわけです。
先述したようにかなり高密度な生地なので、ミシンを通せば針の穴が開いてしまう。
おそらくそこに染料が溜まるのだと思いますが、シーム部分だけが少し濃く染まり、まるで配色ステッチかのような見栄え。
洋服全体の強さに呼応するかのようなステッチの存在感。
生地、縫製仕様、染色の3要素を噛み合わせることで生まれる微差にこそ宿るものがある。
とても表情豊かなシャツだと思います。
着用写真しかなくて分かりづらいかもしれませんが、女性にもめちゃくちゃおすすめです。
178cm60kgでサイズ1を着用していますが、女性があえてサイズ2を大きく着るのも表情豊かで素敵だと思います。
男性女性問わず、気にしていただける方にはご覧いただけましたら幸いです。
インスタやブログでのご紹介はまだですが、あのブランドやこのブランドから秋冬シーズンが少しずつ届き始めておりますので、店頭にてお楽しみいただけましたら幸いです。