こんにちは。
CASANOVA&COの野口です。
いよいよ明日からに迫ったFUKUBORI ORDER EXHIBITION。
まず、ご来店予定の皆様への注意事項なのですが、イベント期間中は展示内容の関係で当店ガレージ内の駐車スペースが使用できません。
当店南側に4台分のスペースを確保しておりますので、そちらに駐車をお願いいたします。
満車の場合は近隣のコインパーキングへの駐車をお願いいたします。
ご不便をおかけすることもあるかと存じますが、何卒ご了承くださいませ。
さて、本日の本題。
先日のブログで最後に触れた、”もう一つの選択肢”。
今回このイベントを開催するにあたって、河原さんと様々なことを話しました。
”服ヲ掘ル”の活動について、
”FUKUBORI”の根幹となる部分、
今後のビジョン、
などなどなど。
その中で、河原さんから強く感じたのは、価値あるヴィンテージウェアを破壊する身としての覚悟と責任。
そしてパタンナーという視点から、いかに洋服の世界を開かれたものにするか、という信念。
実は今回、CASANOVA&CO仕様のFUKUBORIとして、生成りではなく色を使ったものを作るのはどうかという提案もいただいていた。
でも、そのような河原さんの想いを感じていたからこそ、”FUKUBORIは生成りしかない”という点に関しては今回はブレてはいけないと思った。
そこでたどり着いたのが、生成りデニムへのパラフィン加工。
パラフィン加工とは、すごく簡単に言うと、生地に蝋を染み込ませる加工。
これによって撥水性を持たせたり、生地に硬さが出て特有の変化が味わえる。
ただ、今回デニムにパラフィンを施したのは、もっと精神性を重んじた部分。
精神性とはつまり、河原さんの覚悟や責任、信念をより強く表現するための選択。
河原さんが分解するデニムは古ければ1940年代ごろ、新しくても1970年代までの所謂ヴィンテージ。
昨今の市場においてはそのようなデニムの価格が跳ね上がっていることは言わずもがななのですが、その中でも価格を大きく左右するのが、色落ち。というか色の残り具合。
当然、色が濃ければ濃いほど、価格が上がる。
未使用で糊付きのリジット状態だったとしたら、色が落ちている個体と桁が変わるほどに価格が違ってもおかしくない。
もちろん希少価値という点からそのような価格になることは当たり前なのですが、僕自身が河原さんの”服ヲ掘ル”と”FUKUBORI”の活動の視点に共感した際には、感覚としては逆のことを考えると思う。
つまり、積極的に分解したいのは履き込まれて色が落ちたりダメージが入った個体で、その方が洋服に刻まれた”時間”や”想い”が、着用を繰り返して表面に出てきているのではないかと思う。
そしてそれが分解されることによって、その”時間”や”想い”が丁寧に取り出され、FUKUBORIの洋服に宿る。
先日のブログで「過去に接続するヴィンテージウェアに対して、FUKUBORIはその思想を抜き取り未来に接続させるもの」的な僕の考えを書かせていただいたのですが、もしそうであると仮定するならば、やはりダメージ加工などが存在しない時代のヴィンテージのデニムたちが最初そうであった通り、リジットのように硬く糊のついた状態こそ、過去と未来を数直線上にプロットした時のちょうど真ん中、つまり”0”のスタート地点なのではないかと思う。
だったら素直に生成りのデニムをリジットで、でももちろん悪くないのですが、”0”であるように見えて”0”ではない、後加工という足し算をしているのに”0”のようになるのが”生成りデニムにおけるパラフィン”だと思った。
もしこれがインディゴのデニムだったら、バッキバキの色落ちになってしまって純粋な足し算になると思うので。
あくまで”生成り”のデニムだからこそ、パラフィン加工が足し算なのに”0”に戻す装置として機能するんじゃないかと思った。
あと、もう一つの理由は、純粋に超カッコ良さそうって思ったから。笑
こっちの方が圧倒的に重要です。
思想は濃厚だけどかっこ悪いものや日常的に着れないものは、未来に残っていかないと思うので。
結果的に想像していた以上であり、想定外の着地の仕方をしてくれたので、一安心です。
FUKUBORI
5 POCKET JEANS (TAPERED) PARAFFIN
color _ 生成り
size _ 1,2,3
FUKUBORI
TRACKER JACKET TYPE1 PARAFFIN
color _ 生成り
size _ 1,2,3
パラフィンバージョンがこちら。
写真じゃ何も伝わらないでしょ?笑
こうなることはわかっていました。
すみません。
ただ、寄ってみると結構違いがはっきりと出ています。
蝋が染み込んでコーティングされた糸たちは、リジットからワンウォッシュされたものよりも圧倒的に糸の毛羽立ちが抑えられて、撚糸回数が違うようにすら見える。
この糸の締まりが、デニムらしい良い表情を生んでくれます。
そして何より、着用を繰り返していくことでパラフィンの粘りっけのある硬さがデニムに刻まれていく。
河原さんに無理やりサンプルを上げてもらったので正直なところまだ4日くらいしか着用できていないですが、これを履いてノコギリで木を切ったり、バールで板をぶち抜いたりしたので、かなりハードワークしてます。笑
脱いだ状態でこの形。
めちゃくちゃアナトミカルな洋服を得意とするインポートブランドみたいにいなっちゃってる。
もちろん全く立体裁断とかではなく、505ベースの細身なデニム。
この505をベースとした型へのパラフィンが、個人的にはとても良かったと思ってる。
細いからこその、この膝裏。
これがインディゴでバキバキにハチノスが出ると、いかにもヴィンテージをベースにしてます!って感じが出過ぎてしまうし、ブラックとかだったらお兄系的なオラついたムードになってしまうけど、生成りというFUKUBORIの個性が絶妙にバランスをとってくれてる。
着用するとこんな感じ。
178cmの60kg、最近ブラックコーヒーをやめてから体の調子が良い僕でサイズ1を着用してます。
こういう膝裏のバキバキなパンツ、昔履いてたなぁってちょっと懐かしくなりました。
圧倒的にFUKUBORIの方がかっこいいいですが。
パラフィンだからというのもあり、着用していくと伸びる部分は伸びます。
ただ、個人的にはこの膝の抜けた感じがとても気に入ってる。
足を通した時に膝でハマる感覚があって、硬いんだけど窮屈さは感じない。
FOKUBORIならではの格子状のプリントは、ロールアップした時の程良いアクセントに。
裾が汚れてても、ブルーのラインが入ると汚れがムードに変わる。
もちろん洗濯は可能ですが、パラフィンは着用と洗濯によって落ちていきます。
ただそうなった時には、また”0”に戻す装置として、Reパラフィンするのもアリかも。
形はあくまで原理主義的なのでヒップなどは適度にゆとりのある設計だと思いますが、縫製の精度でいい意味でアンバランスなところにあるのがFUKUBORIの面白さ。
前立てやポケット口が見えると、その縫製のムードで一気に引き締まる。
生成りのデニムってどうしてもナチュラル感が強いし、さらに細身となるとちょっとキザな印象もして、僕自身も敬遠していたのですが、縫製とパラフィンの作用でめちゃくちゃいいところに着地したと思います。
トラッカーの方は着用写真はないのですが、店頭にサンプルがありますのでぜひ試してみてください。
数時間だけ僕が着て人間の体を少しだけ叩き込んであるので、イメージしていただきやすいと思います。
あと、写真にはないですが、501型(ストレートタイプ)もパラフィンにできます。
個人的には505が好きなのですが、これはもう好みの問題だと思います。
501もサンプルをご用意しておりますので、ぜひ試してみてください。
そしてもちろん、デニムはパラフィン無しでもオーダーできます。
パラフィンはあくまで、一つの選択肢だと思ってください。
ただ、お好きな方はお好きだと思います。
デニムに限らず、サンプルから変更点があるものもありますので、その辺りは店頭にてご説明させていただきますね。
そうだ、大事なことをお伝えし忘れていました。
現状、会期中の土日は河原さんが終日店頭に立っていただける予定です。
”服ヲ掘ル”の解説などは、知識量が半端じゃないので、僕らでは到底カバーできないので、ぜひ河原さんに色々と聞いてみてください。
僕たちも一緒に皆さまとディスカッションできたらと思います。
それでは、明日より、皆様のご来店を心からお待ちしております。